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方向性はまだない

仕事の説明書読書会3回目のまとめ(後半)

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

前半はこちら。 patorash.hatenablog.com

4章に入った。4章は「数値化・言語化によりビジネスの解像度を上げる」というタイトルだ。

数値化と言語化の必要性

言語化すると数値化できる

ゲームのレベルデザイナーの話が出てきた。レベル2とはどういう状態か、を言語化すると自然とステータスの値が決まってきてレベル2の状態を数値化できるという話だった。

これは2章の問題解決のフレームワークの理想の状態を表すことのことだなと感じた。理想は注文がいっぱい入ることだが、いっぱいとはどういう状態か?本では生産可能な1日300個となっていた。状態を言語化すると数値が決まってくる。多分こういうのは、営業可能な数値とか、開発可能な工数とか、そういうのも言語化してから数値化できるんじゃないか?と考えた。

数値化すると言語化できる

ここでは、ソーシャルゲームのヘビーユーザー、ライトユーザー、ビギナーを、利用日数や経過時間でラベリング、グループ化していた。

ヘビーユーザーの定義を言語化して共有しておくと、説明がなくともヘビーユーザーというだけでみんながわかる、というのは確かにそうだ。ラベリングの力を感じた。パータンランゲージとか、デザインパターンもそうだもんなーと思った。共有できていると話が早い。

ラベルを用いて管理可能な状態にする

PPM分析の話が出てきた。PPMという略語は忘れていたが、問題児・花形・金のなる木・負け犬の4つに分けるやつだ。いろんな本に出てくるので何度か見たことある。Product Portfolio Managementか。

問題児は市場成長率が高いが競合も多いのでシェアを増やして花形に育てなければならない。通常、生まれたばかりの製品はここに属する。シェアを増やすことが目標となる。雑談では、最近のキャッシュレス決済の競争がまさにそれで、シェアを増やすためにめっちゃみんなキャッシュバックとかで投資してるよな~という話が出た。

花形は、市場成長率も高く、シェアも高い状態。ここでの利益を問題児に投資して新たな花形にしたりなどする。花形といえど、時間が経過すると市場成長率が下がってくるので、維持する努力が必要。

金のなる木は、市場成長率は低いがシェアが高い状態。伸びしろはないんだけれど、シェアが高いのでなんとかなっている。時代が変化すると一気に負け犬になりうる。

負け犬は、市場成長率も低いしシェアも低い状態。成長が見込めないので撤退するか検討するべきだが、それは他社も同様なので、他社が早期に撤退するとシェアが伸びて金のなる木に育つことがありうる。金のなる木に育つまで耐えられる資金力があれば、の話であるが…。

雑談で、「負け犬は今の時代だとFAXですかね~」と私が言ったら、「でもFAXは今、パナソニック以外売ってないんだよ。だから、パナソニックが資金力で他社が撤退するまで耐えて、シェア取って金のなる木にしたんじゃないか?」という興味深い話が出てきた。なるほど、確かに耐えればそうなるのか…。しかし本当にパナソニックにとって金のなる木なのかどうかは謎ではある(保守は大変だろうし)。でも価格競争しなくてもいいのはええのかも。 このあたりで、フロッピーもそうですよねとか、昔のデジカメは色んな記憶媒体があった。最終的にミニSDカードを出してきたSDカードが席巻したという話をおじさん勢が話していた。20代に「スマートメディアなんて初めて聞きました」と言われた。そりゃそうだろう…。

話を本に戻すが、本でもPPM分析は例で、これらのようにラベルを作ると話が入ってきやすくなるから分析結果をラベリングすることの重要性を説いていた。ポジショニングマップの軸を変えて、ラベルを変えることで、いろんなラベリングの可能性が見えてくる。ここでは、飲食店経営の例でガッカリ・定番・穴場・過疎というラベルに分けるのが出ていた。わかりやすい。

言語化が先か、数値が先か

分析が先だと思っていたのだけれど、言語化を先にしてから、じゃあどういう2軸が決まるとラベルを定義できるのか?という逆説的な話があった。そういうアプローチでもいいんだなと。PPM分析の考え方とポジショニングマップは新商品を考えるときにすごく使えそうだ。

重要度で分ける

ABC分析の話が出てきた。弊社の製品でよく扱っているやつなので、ここはみんな「なるほど~!」という感じで読めた。重要度で分けると、弱い箇所や、案外強い箇所などが見えてくる。それがわかれば打ち手を考えられる。パフォーマンス測定やっててもよく出てくる話だが、「推測するな、計測せよ」という名言が出てくる。計測したら、対処するべき箇所が見えてくる。ABC分析も同じだなと思えた。

同じ数でグループ化する

デシル分析が出てきた。これもまた弊社の製品でよく聞いているやつ。担当製品が違うので私はよくわかっていなかったのだが、顧客の購入金額で上位から10分割してグループ化するという感じで使うらしい。購入金額の低い下位7~10に打ち手を考えることができる(セールのDMや来店ポイント等をこの層に送って来店を促すとか)。

雑談で、「10分割するからデシルっていうんだよ」と言われて、全然ピンとこなかったのだが、「1デシリットルの、デシよ」と言われて、「あ~!!そういうことか!!」と一気にわかった。「でも10分割でデシとか使うの、リットル以外知らんね」とか、そんな話した。

顧客を複数の軸で分ける

デシル分析だと、1回で高額な買い物をした人と、普通の買い物を20回した人が同じグループに属することになるので、より詳しくグループ分けするのにRFM分析を使う。

  • Recency・・・最新購入日
  • Frequency・・・購入頻度
  • Monetary・・・購入金額合計

RFM分析ではこれらを各5レベルに分けて、5x5x5=125グループに分ける。こうすることで、顧客の状態が見えてくる。

最新購入日が3か月以上離れているけれど、購入金額合計が結構ある会員は、恐らく他のお店を使うようになった離反顧客であるとか、頻度は少ないけれど来店日が最近なのは新規顧客であるとか。全てが平均的な利用率な場合は安定顧客とか。125段階に分けても、ラベルがあるとわかりやすい。

1次元で捉える

面白かったのが、RFM分析の結果を1次元にしてしまえることだった。各レベルの合計値で分類するということだ。最低値は1+1+1=3で、最高値が5+5+5=15。合計額が被るところは全て同じグループとするわけだ。ザックリと知るにはよさそう。

2次元で捉える

2つの区分だけを使って分析することもできる。本では、購入頻度と最新購入日から、常連・安定・常連離反予兆・常連安定離反・新規・新規離反予兆・新規離反に分類し、離反予兆組をいかに安定に持っていくか、安定から常連にしていくかというのが視覚的にわかりやすく見ることができた。社内のセミナーとかでもよく出てくる話だったので、再確認できてよかった。

3回目のまとめ

4章の内容は、弊社で扱っている製品でまさに使っている分析手法の説明だったりしたので、みんなすごく興味深く読んでいたと感じた。やはり身近な話題だと盛り上がりやすい。3章で若干くじけそうになっていたが、なんとか盛り返せてよかった。

仕事の説明書読書会3回目のまとめ(前半)

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

前回の記事はこちら。 patorash.hatenablog.com

今回は3回目で、前回まではフレームワークを使ってビジネスを紐解いていくというところだった。自社・競合・顧客を分析していく3C分析を基本として、それらの周辺の分析を深堀していくという内容。今回は、その続き。

STP戦略

STP戦略は、顧客を細分化してターゲット層を抽出し、そこにたいして競争優位性を設定するマーケティング戦略フレームワーク。 本からの引用。

  • Segmentation・・・顧客を細分化して
  • Targeting・・・ターゲット層を抽出し
  • Positioning・・・ターゲット層に対する競争優位性を設定する

4つのセグメント

セグメントを細分化するのには、4つの変数がある。

  • 人口動態変数
  • 地理的変数
  • 行動変数
  • 心理的変数

セグメントを整理し、セグメント毎にデータを分析することでデータの差・変化・パターンを発見することで、特徴を定義できる。

ターゲティングにおける3つの攻略法

市場の攻略法は主に3つ。

非差別化マーケティングなんてあるのだな、とビックリした。セグメントが定まらない場合やセグメントに特化しなくてもいい場合に使うのかなと思う。

集中化マーケティングは自分が無意識で考えているマーケティングのパターンだった。私の担当製品も、まずターゲットを絞って、ここに特化したものを作った感じだ。そこから、データの見せ方を変えるなどで差別化マーケティングにしていっている途中。やっていることは間違ってなかったなと思えた。

ポジショニング

ターゲット顧客にリーチできるような差別化したポジションを探さなければならない。そのために、ポジショニングマップを使う。ポジショニングマップの中でも、特に顧客の商品認識を2軸で表現したものをパーセプションマップと呼ぶ。これはよく使うやつ。「質と量」、「品質と価格」のような対照的な2軸を定義する。他社の製品をこのポジショニングマップに配置し、空いているところがブルーオーシャン。しかしながら、空いているということはすなわち、潜在顧客がそもそも少ないという可能性もある。ポジションは競合から大きく離れることがベストではない。少し近づけることで、比較して優位性をアピールできるようにするなどもよさそう。

ゲームに置き換えて考える

やっとゲームの例えがきたー!という感じの空気が流れた。カートレースでの例。私の解釈だと、以下のようになる。

  • 顧客全体・・・グランプリ
  • Segmentation・・・コース
  • Targeting・・・コースを攻略しやすいカートの選択
  • Positioning・・・カート毎の性能の違い

敢えてマリオカートで例えると、

  • 顧客全体・・・キノコカップ
  • Segmentation・・・コース
  • Targeting・・・キノコカップを攻略しやすいキャラの選択
  • Positioning・・・キャラ毎の性能の違い

ターゲティングでいえば、

という感じだろうか?なお、例えで選択しているキャラは適当。最近マリオカートやってないし。

AIDA・AIDMA・AISAS

製品の価値を正しく伝えるためには、適切な方法・タイミングが必要となる。常に同じ方法が通用するわけではない。

AIDA・AIDMA・AISASは色んな本でも登場してくるので私は知っていたが、読書会の参加者は結構知らない人が多そうだった。現代だとAISASを意識することが多いんですよという話をした。ググって共有されて認知されていくので。

カスタマージャーニーマップ

AIDA・AIDMA・AISASを可視化したものがカスタマージャーニーマップ。意思決定プロセスを整理する。思考や感情、問題など顧客視点をより深めるために使う。

ペルソナ・テーマを決める

例えば、車を買いたい人がいるとして、初めての購入なのか、それとも買い替えなのか。それだけでもう動機や希望が異なるから、当然アプローチが変わる。

意思決定プロセスを決める

カスタマージャーニーマップの横軸となる。AIDAモデルなどを参考にゴールまでの道のりを決める。

明らかにすることを決める

カスタマージャーニーマップの縦軸となる。5W1Hを意識して、行動・思考・感情・問題を設定する。

定量調査・定性調査を実施

アンケートやインタビューだが、アンケートだと2択になったりして顧客の本音が抜け落ちたりすることがあるので、インタビューのほうが好ましそう。Whyを聞き出すことが重要。

マップで得られた見解から施策を打つ

作っただけでは意味がないので、ちゃんと施策を行う。

マップを作るときの注意点

顧客視点を重視する。主観が入るとずれてしまう。顧客視点だと、自社製品以外の選択肢もある。様々な選択肢がある中でペルソナの顧客はどういう状態であるのかを考える必要がある。 また、カスタマージャーニーマップはMECEには作りにくい。なるべくMECEみたいに作ることはできるが、その場合はその分だけカスタマージャーニーマップを考えなければならない。

3章のまとめ

一気に分析フレームワークが紹介されたので、みんなめっちゃ混乱していた。「これ仕事の説明書じゃなくてマーケティングの説明書じゃない?」という意見も出てきた。読書会の参加者は全員開発者なので、ちょっとわからんわーみたいな空気になってきた。

3C分析を基本に、自社と競合と顧客を深堀していかないと、いい商品ができないんじゃないですかねー?というふうにフォローしておいた。顧客の購入の動機や感情とかを考える手法なんて、恐らくこういう本でも読まない限り、触れてもらえないと思ってこの本を選んだというところがある。

まとめのページに載っていた図はすごくわかりやすいまとめになっていた。多分、これを先に見せておいてから、ここを説明していくよ、という感じのほうがよかったのかもしれない…。(個人の感想です)

長くなってきたので、前半と後半に分けてまとめていく。

仕事の説明書読書会2回目

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

前回、仕事の説明書読書会を会社で始めたというエントリーを書いた。

patorash.hatenablog.com

今回で2回目。今日は2-5のイシューツリーから。前回で、問題を深掘りするロジックツリーを学びMECEに問題を切り分けてイシューの質を上げていくところだった。

イシューツリー

イシューツリーはロジックツリーから出てきた課題から解決策をMECEにして分けていく。そのときに、How?を繰り返す。

問題を分解する切り口

  • 要素分解型
  • 因数分解
  • ステップ型
  • 対象概念型

よくある分け方ながら、言われたら成る程なと思う。

論理展開の基本

前提となる事柄から結論を導き出す。演繹法は論理的に事実を導くが、帰納法は傾向からの推測なので外れることもある。 アブダクションは結果から仮説を立てるやり方。

これらのことはドラッガーの問題解決の本で学んだことがあるが、それより簡潔でよかったかと思う。

ドラッカーが教える 問題解決のセオリー

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ビジネスというゲームを紐解く

ビジネスフレームワークを用いてビジネスを分析していく。3C分析が基本。 3Cに分けて、それをロジックツリーで分解していく。

ジョブ理論

これは最近Podcastで聞いたような記憶があるキーワードだが、「お客さんは物やサービスではなく、ジョブを片付けるためにお金を払う」というもの。お客さんは、ジョブを片付けたい人で、競合はジョブを片付けるニーズを満たしているもの。 普通は競合というと同業他社だが、実はそうではないケースもある。例では、新聞の競合はスマホゲームやSNSだという。なぜならば、お客さんは「暇を潰す」というジョブを解決したかったからだ。 ニーズを多面的に捉えると、思いもよらない競合がいるかもしれない。それにしても、それだと大概の競合はスマホになる…。現代の課題は、可処分時間の奪い合いなのだ。

海外旅行の帰りの空港で和食食べたい話があったが、物凄く同意だった。海外旅行は一度しか行ったことないが、帰国後のてんやの天丼は最高だった。

3C分析を深めるツール

分析を深掘りする分析。こういう使い方だと凄くシックリくるなと感じた。特にSWOT分析はドリルダウンできて分かりやすい。

自社を深掘りする

経営資源(ヒト・モノ・カネ)の配分。 ヒトはモノとカネを生み出せるが、カネは全てを生み出せる。

ビジネスモデル

  • 手作りモデル
  • 機械工業モデル
  • 商社モデル
  • 無形サービスモデル
  • 金融モデル

読書会の雑談の時間で、システム開発は手作りモデルと無形サービスモデルのハイブリッドで、エンジニアの匠の技で課題を解決したり、コンサルティングすることもあるので、資源を投入するとしたらやはり人件費やろ、という話になった。 これは読書会ではなく自分の考察だが、AWSなどのクラウドサービス事業者は商社モデルだったが、サーバ管理に抱えていたエンジニア(手作りモデル)にサーバ管理の機械工業化をさせて商売してるんだよなーと思うと凄い発想の転換だなと思った。

4P戦略

自社の製品、サービスを分析して戦略化する話。

  • Product
  • Price
  • Place
  • Promotion

最近ではさらにPackageが追加されることも。

プロダクト3層モデル

プロダクトのコア、形態、付随機能の層に分かれていた。コアはジョブ理論でいうところのジョブを解決できるもの。形態はデザインやブランドイメージ。付随機能はアフターサービス等。

話題にあがったのが、付随機能。ジャパネットの古い掃除機引き取りますとか、スーツ販売業者の古いスーツ買い取ります等。製品のコアは他所でも扱ってるから、付随機能で差別化してるところが凄い。

4Pと4C

消費者目線での分類の4C。どんなジョブを片付けたいかに近い考え方。 各社のCMが、4Pか4Cかの目線で面白いという話が出た。スペックをアピールしたいCMは4P。便益をアピールしたいCMは4C。車のCMよく見てみると面白い。

今日はここまでだった。

「やさしさ」という技術を読んだ

「やさしさ」という技術

「やさしさ」という技術

Slackのruby-jpの本を紹介するチャネルで紹介されていて面白そうだから買ってみた。

「やさしさ」とはなんなのだろう?この本では、多面的に「やさしさ」について触れられていた。

人に伝わるのは気持ちではなく行動

ちょっと身も蓋もないところはあるが、「大切なのは気持ちではなく行動だ」と序盤のほうに書いてある。これは真実なのでうなずかざるを得ない。気持ちで思っていても行動が伴っていなければ伝わらない。

体臭のきつい同僚に注意すべきか?

すごいトピックやなと思ったが、本の中では質問をすると大体の人が傷つけないために注意しないという感じだったが、果たしてそれでいいのか?という問いだった。本人は避けられている原因がわからないままになるかもしれない。孤立し、終いには仕事を辞めてしまうかも。そして次の職場でも、また同じ問題が起こるのでは…。と書かれていた。 真のやさしさは、注意するという行動であり、そのためには勇気が必要となる。仲間のために思い切った行動にでる必要がある。 体臭ではないにしても、こういう機会はわりかしよくある。そのときに、どう振舞えるか…。自分は行動に出る派でありたい。まぁ注意するにしても、人前では避けるようにしていかんとなと思う。

やさしくするのは難しい

本のタイトルになっているだけあって、やさしさは技術なのだからポイントを捉えればやさしくすることができるのであるが、そのやさしさを阻害する要因がたくさん列挙されていた。

  • リソース不足
  • 共感力不足
  • 思慮不足
  • 「他人事」主義
  • 理想と現実の落差に無自覚であること
  • 生物としての攻撃性
  • 無力感
  • 「誰かがやるだろう」という思い込み
  • 選べない選択肢

トピックのタイトルだけでなんとなく想像がつきそうなものが多い。余裕がなかったり、他人と干渉することを面倒臭がったり、やさしくしているつもりだったり、やっても無駄と感じてしまったり、自分がやらなくてもよいと思ったり。 全能感を持ってやさしくすることはできないし、その場にあるリソース・判断力で自分の中にある倫理に則った行動でやりくりしていくしかない。しかし、リソースが枯渇しすぎると、判断力が鈍る。マイナスの要因に気付けるよう、自分を見つめなおす、考える時間が必要。

利己主義と善は相反さない

世の中は「やさしくすると得をする」という結論になっていると論理的に導けるという。やさしさは常に他人のことを考えて自分を犠牲にして・・・と捉えられる場合があるが、本当はやさしい人の大半は利己的な動機に基づいて行動している。他人のために行動して自分も得をする。ここでは、賢い利己主義者と書いてあったが、違う本でも同様なことが書いてあって「健全な自己中心主義」と呼ばれていた(たしか)。健全な自己中心主義は、「だれかの為に役に立ちたい!喜ばれたい!」という欲求に従って善いことをするやつだったと思うが、そういう気持ちに火のついた人・チームは強い。

やさしさと成功の関係

成功とは何か?

本を読んだ感じだと、成功とは判断に時間のかかることで、死後に成功することもあるし、その逆で成功と思われていたが大惨事になることもある。年収などの外的要因を成功の尺度とした場合、最初はいいが慣れてくるとだんだん幸せを感じにくくなるという(まぁわからんでもないけれど年収が高いに越したことはないと思うが…)。外的要因に幸福度を求めれば求めるほど、青天井なので不幸を感じやすくなる。やはり大事なのは内的要因なのだ。内的要因による成功の定義は自分しか行うことができない。

やさしくなると成功する

成功者になるための行動が2つに集約されていた。

  • やさしい人になること
  • ものごとを判断する際、常にやさしさを基準とすること

「上司だって褒められたい」というところを読んで、感謝はちゃんと伝えなければと思った。また、「批判をしないのは相手が成長する機会を奪うこと」というのは気を付けたいポイント。ポジティブな批判、というかフィードバック。攻撃ではなく、仲間意識・思いやりを持った助言。前半のほうにもちょろっと書いたが、個別に。人前では避ける。

自分の欠点や失敗をオープンにするというのも、他人の欠点や失敗に寛容になるための行動。

衝突が避けられないとき

アンガーマネジメント的なことも多少書いてあった。運動がいいとか。 衝突は敗者を生む。なので、なるべく避けたほうがいい。妥協点を探る等。衝突してもメリットはお互いにほとんどない。面白いプラクティスに、視点を変えるというものがあった。ある物事の反対派と擁護派に分かれて議論すると、新たな気付きが生まれ、妥協点が見つかるようになるというものだ。自分の正しさの論理にしがみつくと、相手を従わせようとしている感じになってしまい、反発を食らってしまう。相手の論理がどうなのか?を自分なりに考える機会をお互いに設けることで、妥協点が見つかりやすくなるのだろう。そこでの気付きが、自分を変えるキッカケになる。人間は変わることができるが、それはあくまで内的要因からしか難しい。 衝突が起きた場合、大事なのはその後の行動。新しい関係を築けるように全力を出すこと。もし失敗してネガティブな感情を抱くと、自分を見失ってしまう。より攻撃的になる。 「もうこんなことはしないし、したくない」と決心すること、と書いてあったが、これを誠実に伝えられるかどうかだろう。

まとめ

やさしさとは、倫理的になり、行動すること。倫理感を育てるには、自身の行動を振り返り、よくなかった点について内省する必要がある。よく言われることだが、刃を研ぐ時間は、どんなことに関しても必要なのだろう。そして、思いやりを持って、勇気をもって、行動しよう。その思いやりは、巡りめぐって、自身に返ってくる。

仕事の説明書読書会を始めた

以前に文化を育んでいきたいというエントリーを書いた。

patorash.hatenablog.com

その際に触れていた、技術系じゃない社内読書会を開催した。毎週木曜日にしたのは、Okayama.rbと被っているのだが、私の帰りが遅くなる日をあんまり増やすのは家庭の負担になるから、木曜がいいかなと思ったため。

参加者が多い

この読書会、驚いたことに参加者が12名となっている(今日は10名だったけど)。社内の、しかも開発部内のみで。元々の目的は、若手の人達に技術書以外の本に触れてほしいことと、組織について考える機会を設けたかったというのがあった。

開発部全員のチャット部屋で告知

これもまた昇進エントリーのときに書いてるような上司との面談の度に、「開発部全員のチャット部屋を作ってほしい」と言っていた。これはもう事あるごとに言っていた。昇進エントリーはこちら。

patorash.hatenablog.com

当初は「作って何の意味があるの?」とか、「グループのチャットだけでいいのでは?」と言われてたが「そもそも交流が無さすぎる。雑談ができない関係は健全ではない。技術情報を共有したりもできるし絶対に有用だから」と口酸っぱく言ってたと記憶している。

それまでは、開発部内にあるグループ毎のチャットがあり、それは今でも健在なのだが、どうにも文化的な隔たりがあった。社内勉強会が活発なのは私がいる方のグループで、もう片方のグループの人も参加してくれる人はいたが、そういう人はそもそも社外の勉強会に参加してる人達だった。

そして共通のチャットができ、同じ部なのにあまり交流のなかった2つのグループが、雑談や勉強会の紹介や気になるニュースなどを流したりして、多少交流するようになった。今では昼飯をどこに食べに行くかを話し合うまでになった。

話が逸れたが、今回の読書会は、そういう文化に隔たりのあった方達が興味を持ってくれて、参加してくれるようになったのだ!これはすごいことだ!正直、うちのグループの人達ともう片方のグループの新入社員を巻き込めればいいな、くらいの気持ちだったので、完全に嬉しい誤算だった。

選んだ本について

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

選んだ本は「仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜」である。なぜこの本にしたかというと、若手の人達に仕事の捉え方・考え方を知ってほしかったから。この本は思考のフレームワークがよいサンプルと共に載っていて、とても為になる。著者の方もIT系のため、腑に落ちやすい文章だと思った。まぁ全部は読んでないのだけど、数章読んでこれにしようと決めた。

当初はClean coderとかにしようかと思ってたんだけど、そういうのよりもっと大事なのあるよなって、ずっとモヤモヤしていた。良し悪しじゃなくて、インプットしたほうがいい順番の話。

音読で輪読

弊社でやってる読書会は音読しながら輪読していく。一応、野次もOK。これが何気によい。一人で黙読すると見逃してしまったり理解できなかったことを仲間と確認できるので、新しい気付きが得られやすい。

今日読んだ分

仕事と遊びを比較して、仕事を楽しいことに近づけていくには?とか、多面的な視点を持つことの大切さ、問題解決のための考え方の途中まで読んだ。MECE(ミーシー)のことや、問題を深掘りすることの重要性を学んだ。イシューの質を上げることはなんで大事なのかを、勤続年数が多いベテランが本の内容に乗せて話すことができたから、若者にも納得感が得られたんじゃないかなと思う。コインの裏返しの話、結構よく聞くよねーとか。

初回の感想

まずまずの出だしで、よかったと思う。本の内容は人によってはやや難解な部分があったり、ピンとこないところもあったみたいだが、それを他のメンバーが補完できていた。長年やりたかった雰囲気の読書会ができて、本当に嬉しかった。とはいえ、まだ始まったばかり。この流れを継続して、よい文化に育てていきたい。

オマケ

twitterで読書会のことを呟いていたら著者の方からリプライを頂いた!

オ、オブザーバー…!!しかし、おそらく東京にある同名の会社と勘違いしているのでは疑惑が…😥

や、やっぱり…😅

うーむ、メジャーになるしかない…。

自閉症の人の綴る言葉はすごく心に突き刺さる

自閉症の僕が跳びはねる理由 (角川文庫)

自閉症の僕が跳びはねる理由 (角川文庫)

我が家は長男が自閉症と診断されていて、現在は療育施設に通いながら通院も時々しつつ…という生活を送っている。長男はまだ話すことができないので、話せるようになるためのヒントがあればと思い、Amazonで色々と本を購入して勉強しようと思っているときに見つけた。自閉症の人が綴った本。タイトルが「自閉症の僕が跳びはねる理由」なんて、すごく気になった。自閉症の子の特徴として、その場でグルグル回ったり、ピョンピョンと跳びながら大声を出したりというのがあるのだけれど、うちの子も正にそれが当てはまっているから、それの理由がわかるのなら、純粋に、知りたい。そう思った。

東田さんが中学生の頃に書いた本で、訓練の末に、文字盤を使ったりパソコンのキーボードを打ったりして筆談ができるようになって、この本を書いたらしい。そして、本を読んだら(言い方が悪いのは承知の上だけれど)ちゃんとしてそうなのだが、会話でのコミュニケーションはできないし、声が出るのを抑えられないとか、どうも軽度の発達障害とかではないみたいだった。

本は、質問形式で58個あり、それに東田さんが答えていく。

想像もできない感覚

健常者からすると、全く想像もつかない感覚であることがわかった。時間の感覚が違うこと、自分の体をちゃんと認識できないこと、すぐ忘れてしまうこと、思っていることが言葉に出ないこと、逆に思っていないことが言葉に出てしまうこと…。そして、精神はちゃんと成長しているのだけれど、他人とコミュニケーションがとれなかったり、物事をうまくできなかったりするから、すごく小さな子ども扱いをされて傷ついてしまうとか…。体が全く思い通りにならないというふうに書いてあるのが健常者としては「いやいや、自分の体やん!」と不思議に思うのだけれど、心と体の意思疎通がうまくできない、という状態のようだ。

悲痛な叫び

心で思っていることと、体で行われる行動が伴わないため、誤解されることが多く、それですごく傷ついたり、辛かったりするそうだ。「手をつなぐのが嫌いですか?」という質問のところで、「いやではないけれど、他に興味があるものが目に付くと、手を振りほどいてそちらに行ってしまう。自分でもいつ手を振りほどいたのかわからない」という答えがあるのだけれど、うちの子ももしかしたらそうなのかもしれない。

突然泣き出したり、笑いだしたりするのも、時間の感覚がわからないからか、辛いことを不意に思い出したり、楽しかったことを思い出したりして、急になってしまうらしい。こういうことも、よくある。

声をかけても無視するのはなぜ?という質問にも「声をかけられていることに気付いていないから」という、全く想像もしていない答えだった。てっきり、言葉が理解できてないからなのだと思っていた。だって、あれだけ目の前で声をかけたり、ジェスチャーしたりしているのに、気付いていないなんて!でも本当にそうなんだろうなと思えた。「名前を呼んで、気付いてから話しかけてほしい」という答えに、自分も気を付けようと思った。

質問の答えでたびたび、根気よく助けてほしい、理解してほしいというメッセージが伝わってきた。親がそんなふうに思うなんてと思われるかもしれないが、本当にしんどくて、どう接すればええんや!とストレスになることが度々ある。しかし、その態度こそが彼らを傷つけてしまうことにもなるし、こっちを落胆させていると感じて、申し訳ないと凹んでしまうらしい。感受性は強いのだと思う。だからこそ、その行動への理解が大事だ。

知りたかったことばかり!

あくまで東田さんの感覚であって、うちの子の感覚ではないので、必ずしも一致しないとは思うけれど、偏食の理由とか、バイバイするときの手の平が自分のほうを向いている理由とか、ダメなことを繰り返してしまう理由とか、すごく腑に落ちた。これはこう言われないと絶対にわからないと思う。何度も書くけれど、自閉症の子の行動の理由が理解できるようになると、気持ちに受け入れ態勢ができるので、寛容になれると思う。そうでないと、本当にしんどいだろう。いい親であろうとすればするほど、うまくいかないことで「私たちの何が悪いのか?」に気持ちがフォーカスしてしまい、頭ではわかっていても、つい自分たちを責めてしまう。

理解から、寛容さと余裕が生まれる。理解できれば、根気よく手伝うのを頑張ろうという気持ちになれる。

絶対に読むべき

もし自閉症児が身近にいるのであれば、対処法とかの本よりも優先して、絶対に読んだほうがいい。私も常々、「なんとかして直せないか、よくできないか」と、よく考えてしまっていた。そういう気持ちが先走ってしまう前に、本人の感覚・感情に理解を示して、寄り添えるようにならないと、お互いに幸せになれないのじゃないか?と思う。自閉症は本人はもちろんのこと、周囲の人も含めて、直すものではなくて長く付き合っていくものだと思うので、より理解を深めていくよう努めていく。

東田さんは何冊も本を出されているので、できるだけ読んでいこうと思った。

株式会社リゾームで昇進しました

うちの会社は期首が9月で、今期で昇進した。世間では退職エントリーとか入社エントリーが多いから、自分は昇進エントリーを書く。

専門職に昇進した

私の勤める会社はキャリアとしてマネジメント職と専門職がある。今回は専門職に昇進した。専門職というキャリアパスは、私が入社した当初は存在せず、役員との面談の際などで「管理職以外のキャリアパスがないと、管理職になれなかった人たちや、プロパーの人達の目指すべきキャリアパスがない。意欲のある人は辞めていくのでは?」と言っていたら、数年前に作られた(私が言ってたからだけではないと思うけど)

専門職の職責

専門職にもランクはあるが、今回は一番下のもの。職責は、

  • エキスパートとしてのプロダクト開発
  • 技術選定の舵をとる
  • 後輩の育成
  • その他、幅広く課題解決に取り組む

みたいなところで、一般職より範囲が拡がっている。

専門職になるには?

マネジメント職は、ポジションが空いていて適任と思われる人がその職に就く。しかし専門職は期が変わる前辺りで立候補というか自己推薦する必要がある。自分が専門職としてふさわしい人材であるとアピールする必要があるわけだ。具体的には、今までの実績や資格、社内や社外での評価、専門職になったらどう組織に貢献できるか等。

上司に相談して、そのあたりのアピール方法を一緒に考えてもらったりもした。

その申請が役員会議で通れば、次期から専門職となる。通らない場合は、通らなかった理由をフィードバックしてもらえるから、また次に挑戦すればいい。

専門職への挑戦

実は、専門職が創設されてから、弊社に転職してきてすぐ専門職になっているケースや、勤続年数が長いが部下のいるポジションではなかった人が専門職になっているケースはあったのだが、実際に立候補して専門職になった人はまだいなかった。

このままだと、そういう人達向けの調整ポジションになってしまいそうと感じたので、自分が申請してみようと考えた。私が専門職になれば、後輩たちに実際に通れるキャリアパスがあると認識してもらえるし、例えなれなかったとしても、何を満たせば専門職になれるのかを、より具体的に周知できるだろうから悪いことは無さそうだなと判断した。

結果的には専門職になれたので、自分以外の人達にも転職以外にもキャリアパスあるんだよということが示されてよかったと思う。

年収上げたければ転職という風潮に抗いたい

人材流動性が上がることはよいことだと思う。しかし自分の価値をあげるのは転職だけというのはなんだか寂しい。もちろん、他所でやりたいことが見つかったとかなら、それは仕方のないことだと思う。

専門職に昇進したので、年収はあがる。転職しなくても年収はあげられる。Podcastで聞いた記憶だが、「転職できる実力を持って会社に残る選択をするのが最良」というのが、私もよいと思う。

弊社はまだまだ悪いところというか古臭いところもあるけれど、社員からのフィードバックには応えてくれるし(今回のキャリアパスの創設とか)、育児休暇取らせてくれたり、リモートワーク可能になるなど、家庭の都合に寄り添った制度に柔軟に変更していってくれている。変わろうとしてくれる。そういう会社だからこそ、貢献していきたいなと私は思う。

挑戦はこれから

まだ専門職になっただけなので、これからが挑戦!結果を出していかないと専門職からの降格はあり得るので、組織に貢献できる取り組みをどんどんやっていこうと思う。