patorashのブログ

方向性はまだない

仕事の説明書読書会10回目のまとめ

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

前回の記事はこちら。

patorash.hatenablog.com

ちなみに私は10回目には体調不良のため、参加できなかった。そのため、読書会のまとめではなく、個人の感想のまとめとなる。

情報のフィードバックを大切にする

レポート化など、見やすい形で提供することは重要である。最近は自分もそれをよく痛感しているが、なかなか取り組めていない。

進捗をメンバー間で共有する

良い結果の模倣など、他の人とのやり方の違いを意識するなど、よい効果が出る。

ゲームに勝つための材料を提供する

画一的な視点でのフィードバックだと、他の点で優れている人が見えなくなる。優れている点はちゃんとフィードバックして、モチベーションを高くもってもらう。データを提供することで、ゲームに勝つためにヒントが得られるかもしれない。

フィードバックの仕方を工夫する

単に数値だけを伝えるのではなく、具体的な改善アクションをフィードバックとすることで活気づくという話があった。バレーの話ではあったが、営業とかだと、あと訪問件数を2件増やしましょう、みたいなことだろう。そう言われると、できそう、と思わせられる。

定性的なフィードバックについて

定性的なフィードバックのところは、あるあるで面白かった。あとよく聞く名言もいくつか出てきた。ヘンリー・フォードの名言は自分もよく使う。

もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、 彼らは「もっと速い馬が欲しい」と答えていただろう。

ジョブズの名言の

多くの場合、人は形にして見せて貰うまでは自分が何が欲しいかわからないものだ。

というのも、共感するので、何かしら企画をするようになったらまずモックを作ったり、ワイヤフレームを作って探りを入れるのがいいとよく思う。

あとは、サイレントマジョリティの話。声のでかい人のいうことを参考にすると、モノを言わない大多数からの評価が落ちることもあるから、慎重でありたい。

他人を驚かせる仕事をする

人は期待値を超えてくると、驚く(いい意味のほうで)。そこで、価格・早さ・質で期待値を超えるための方法などについて言及してあった。

価格で期待値を超える=安くするということなので、慎重になるべき。ディスカウントしていたものを定価に戻しただけで、値上げしたという印象にもなりかねない。

早さについては、締切よりも少し手前で仕上げるというのが期待値を上回るポイントだと他の書籍で読んだことがある。ここでも同じようなことは書いてあったが、早さを提供するために残業などオーバーワークになってはいけないというふうに諭してあった。業務の先読み・作業の定型化で効率を上げる等で対応。

質については、言われたことをそのままやるだけでは超えられない。一歩踏み込んで、気配りを見せる。そのためには相手の立場にたつ想像力が大事。

その他、期待値をコントロールする、期待値の低い仕事こそがチャンスというふうに書いてあった。敢えて期待値の低いところから始めるとハードルが低いとか、できて当たり前のところをしっかりと準備することで、相手からの印象をよくするというところだ。たしかに、できて当たり前のところがルーズだと、印象は悪くなる。ここに書かれていた議事録のこととか、まさに自分がやっていることとピタッと当てはまっている。事前にレジュメを準備し、先に議題を書いてもらい、返答できそうなことは先に書いてもらう…。至極当たり前のようなことなのだが、私がリードしていく、と決まるまでは殆ど出来ていなくて割と行き当たりばったりだった。今はかなり会議が機能している。

ルールを柔軟に変更する

ルールを変更するときの話。これは最近はよく市場側がルールを変更してくるので興味深かった。

  • より効率よく勝つための手段を発見したとき
  • 本来勝ってはならないロジックやチームが勝ってしまった時
  • 市場が変化した場合

より効率よく勝つためのルール変更はポジティブなやつ。本来勝ってはならないというのは、所謂「ズルイことは許してはダメ」ということだ。本の中では、売上上位者ボーナスを出すルールがあった時に、その月に勝てないと踏んだ人が売上がたつ日を調整して翌月に回す、などをすると期待した結果にならないからNGのため、ルール変更やむなし!という話だった。

市場が変化した場合については、例えば、法律が変わって規制が厳しくなったり、逆に緩くなったり等。これは変えざるを得ない。また、最近ではプラットフォームの上で商売をすることが増えている(Amazon, 楽天, LINE, Google, Facebook等)。そのプラットフォーマーがルールを変えてきたり、プラットフォーマー自体が競合サービスを開始したりするので、これもまた厳しい。最近だとgithub actionsとかがCI, CDサービスを潰しにかかってるんじゃないか?と言われたりもしている。プラットフォーマーからすると、既にニーズはあり、新たな収益源にしやすいので簡単だが、突如参入された側はたまったものではないだろう…。プラットフォームは利用しつつ、依存しすぎないようにしなければならないだろう。

成長できる環境に身を置く

自分の居場所を示す3つのゾーンの話は、面白かった。コンフォートゾーンは他の書籍でも出てきていて、所謂、ぬるま湯に浸かってないか?という疑念は常に抱いとけという話だったかと思う。コンフォートゾーンから少しずらしたところに身を置いておく必要がある。

ラーニングゾーンという言い方は初めて聞いた。いい言葉だなと思う。不安はありつつも成長できる場所。

パニックゾーンは多少の背伸びを超えているところになるので、まさにパニック。冷静さを失ったりもするので、上司に相談するなどして客観的に対処してラーニングゾーンに移行できるようにしていきたいところ。

成長曲線

成長曲線は曲線というだけあってまっすぐではない。なかなか成長できない「練習の高原(プラトー)」という停滞期を迎えるとある。あのなかなか伸びない時期ってプラトーっていうのか!というのが新鮮だった。停滞期があることを踏まえたうえで、踏ん張ることができれば、ラーニングゾーンに行けるが、諦めてしまうとコンフォートゾーンに逆戻り。成長は継続の力によってのみ超えられる。そのときに、新たな視点を入れるなど、さまざまな方法でプラトー克服にチャレンジしてみるとよい。

目標を正しく理解し行動に繋げる

仕事における目標設定と、個人のおける目標設定について書いてあった。仕事で設定される目標は会社からの期待であったりするので、そのメッセージを読み解いて目標を達成していければよいと思う。明確であれば、成果を強調できる。

問題は個人の目標だ。個人のほうは、ルーズになりがちなので、行動科学マネジメントのアプローチで行動を管理するとよいというアドバイスがあった。例えば、ダイエットであれば、2つ手前の駅で降りるという先行条件を設けることで、不足行動であるウォーキングを促すとか、ライバル行動であるラーメンを食べるのを避けるために、ラーメン屋のない道を通るようにするとか…。難しい。

イシューツリーで目標を細分化する

大きな目標を叶えるには、ステップに分割していくほうがよいので、ここでもイシューツリーを使って目標を細分化し、戦略レベルに落とし込むようにしてあった。大きな目標だと取り組みにくいが、小さな目標だと身近なため、取り組みやすい。肝に銘じておきたい。

自分の未来を定義する

この節で書かれていることは、中堅には響くないようではないだろうか。技術評価と行動評価の両輪をもって評価基準となるので、周囲によい影響を与えられる人は、よい人ということになる。例え技術力が高くても、それを周囲に共有できなかったり、しなかったりするのは、よいエンジニアとは言えない。自分が考える組織の理想像、そして、その中で自分はどういう存在でありたいかというビジョンなしには、闇雲に働いているだけになっていくのではないだろうか?

VUCAという略称が出てきた。これは予測不能状態ということを表す。そんな時代だからこそ、Vision・Action・Analogyが重要と語られている。時代は変化するが、変わらないものは何かを考えるというのも面白いなと思えた。

自分のレベルをどのように上げていくか考える

これもまた自分の能力をパーティ編成になぞらえて書かれていた。技術1本で鍛え上げたら勝てる可能性もあるが技術が通用しないケースなどの変化に弱い。バランスよく育っていると、ミックス効果でうまくいくことはある。色々手を出しているものの、あまりに浅い(レベルが低い状態)と敵に太刀打ちできるレベルではない。

まぁこれは正直難しい話題でもある。ミックスはバランスがいいけれど、いろんなことを学習するコストが高くなるうえに、超スペシャリストには敵わないという状態になり、私のような心の持ち主だと劣等感にやられそうになる。ただ、そのスペシャリストがすごいかどうかを見極める目とかは養えるだろう。技術特化すると確かに強いけれど、その技術が衰退するとマズいというのもある。とはいえ、技術力が高ければ他の技術力も上がりやすいというのはある。自分のケースは20代の頃の多読のおかげでミックス型を保てている感じなのだが、もともと情報系をやってきたわけではないので、ずっとその劣等感はある(だからこそその危機感で勉強するというのもある)。

次回は、8-8からなので、次で絶対に終わる!

仕事の説明書読書会9回目のまとめ

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

前回はこちら。

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今回は参加できたのでよかった!

許可を得よう

世間では、「許可を求めるな、謝罪せよ」という言葉が歩いていたりもするが、物事によっては王道を通っておかないと後々ややこしいことになったりする。特に、お金が大きく動く際は許可を取らざるを得ないし、他部署を巻き込むときもそうだ。

許可を取るときに、どういうポイントを攻めれば、許可を得やすいか?という話であった。以下、引用です。

  1. 売上が上がるか、コストが下がるか
  2. 他社に遅れをとることを嫌う
  3. 分からないことを嫌う
  4. 逸失利益を嫌う

1番はお金が関わっていて明快なので、むしろここを説明しないと説得は難しい。雑談でも出たが、分からないことを嫌うのは、「分からないことを説明できないと信頼されなくなるから、そりゃわからないと薦められないよね」というところだった。弊社だとメンツを保つとかそういうレベルになることは特にないけれど、大企業だとあるよって話をしたり…。まぁ大企業案件をやっていて納期が厳しくて交渉とかすると「俺のメンツを潰す気か!」みたいなことを言われたりとか、そういうやつですね…。

FUDというマーケテリング戦術について話があった。脅す系のやつで、恐怖・不安・疑念を使う。「〇〇を使って許されるのは小学生までだよね~」みたいなのもFUDになりそう。個人的にはこういう言い方は嫌いである。 しかしながら、多分結構この手法はみんな使ってはいると思う。雑談ですればよかったなと思うが、詐欺の手口はこれをめっちゃ巧みに使っているので注意したいところ。

失敗から学び、再度挑戦する

失敗を、失敗としてそのまま放置すると次回の挑戦権が得にくくなる。キチンと振り返りをして、課題を見つけ出しておこう。成功の糸口は、過去の成功事例からの比較で見つけられることもある、という話だった。

仕事のゴールを意識する

「今、どんなゲームをしているのか?」

ここでは、どう振り返るかのポイントが説明してあった。「今、どんなゲームをしているのか?」という自問自答はよさそうだ。4Pだと、どうしても商品をよくすることや金額にフォーカスしがちだが、プロモーションや場所のことを見直してみるとよかったりする。著者の経験から、Webサイトの商品の並び順の最適化の話があった。これはよく「おすすめ順」というので並べられる話だなと思ったが、全体最適化で売上を最大限に伸ばそうということだった。よく売れる商品を一番最初に出したら売り上げが伸びるという単純なものではなかったというのは、興味深かった。

マクドナルドがプレイしているゲーム

マクドナルドの創始者のレイ・クロックの話で、「私のビジネスはハンバーガーを売ることじゃない。不動産業だ」と話したというエピソードは、なんかの本で読んだことがある。人通りのある主要なところを押さえるという戦略で、ここでは椅子取りゲームに例えられていた。マクドナルドのハンバーガーより美味しいお店はあるが、集客という意味では美味しさだけでは勝てない。本にも書いてあるが、別にマクドナルドがおいしさを追求していないわけではないことは補足しておく。

雑談では、椅子取りゲームだから、コンビニのドミナント戦略とかもそうだよね、とか、椅子取りゲームということだと赤字覚悟で出店してライバルの参入を防ぐこともあるらしい、ということを話した。流通経路の最適化の話も出たり。

GoogleAmazonがプレイするゲームの違いについての話では、弊社はAmazon系のレコメンドを求められたりする機会が多いねとか、そういうのやってみたいという話が出たり。

7章のまとめ

遊びと仕事の違いは自由意志の剥奪であり、そこからどうやって自由意志を獲得していくかの心構えを学んだ。失敗を最小限のリスクに抑える方法や、関係者を巻き込んでいくための説得方法にアナロジーを使っていくこと、簡潔に伝えるために、ロジックツリー、イシューツリーの成果物をピラミッドストラクチャーにまとめるなど。

これらはゲームを攻略するための下準備を行おうということに尽きる。関係者を巻き込むところは、言わば根回しである。若者にはなかなかピンとこないかもしれないが、根回しをして周囲からの承認を得ておけば、自由意志を発揮して仕事ができるのだ。根回しというと仰々しいが、要は確認を取っておくということだ。レスポンスが早いところだと根回しというふうには感じないだろうけれど、他部署を巻き込む場合などは一手間加えておくと仕事がやりやすくなる。

そして、いよいよ最終章の8章へ!

仕事を楽しみながら、キャリアアップする

ビジネスを遊び場として変化させる

ゲーミフィケーションの説明が面白かった。ゲーミフィケーションは3階層になり、ダイナミクスメカニクスコンポーネントでなっているが、それぞれの関係性もまた面白かった。ソーシャルゲームの要素が全部並べられているような感じ。現実世界でのゲーミフィケーションの話では、ポイントカードやプラチナカード、いきなりステーキの肉マイレージの話などが出てきた。

ゲーミフィケーションを行う上で注意すること

ゲーミフィケーションは、やり方を間違えると組織がギスギスすると思う。そういうところについて書いてあった。

  • ゲームのルールを明確にする
  • 報酬との連動を避ける

ゲームのルールが明確でないと、ルールの抜け穴を悪用するケースが出てくる。公正なゲームでないとモチベーションが下がる。

また、報酬と連動させると、心の狭い人が報酬を独り占めしようと他人の手柄を横取りしようとしたり、ノウハウの横展開をしなくなったりする。雑務を他人に押し付けるようになったりとか。そういうのは、ゲーミフィケーションとは呼ばず、ポインティフィケーション(点数稼ぎを目的とした行為)と呼ぶらしい。また、報酬が絡むと、報酬のために頑張っていると思われたくないという層がいて、そういう人たちが困惑する。

モチベーションを育むための取組が、逆にモチベーションを削いでしまうようなら本末転倒だ。

雑談では、自動車などの大きな買い物をする際に営業がこういうこと(顧客を横取りする行為)をやってきたりして、こちらの購買意欲が削がれたとか、代理店が営業を仕掛けていたところを本店が横取りしようとして揉めた事例があるらしい、などで盛り上がった。こういう行為が有効にさせないためには、やっぱり個人を評価するのではなく、チームで評価する仕組みが重要なのではないかなぁと常々思う。

次回は8-2から。あと2回くらいで終わりそう!

仕事の説明書読書会8回目のまとめ

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

前回はこちら。

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今回は私が仕事の都合で参加できなかったため、読書会のまとめではなく、追い付くために私が読んだまとめです。

顧客の流れを意識する

マルチエントランスとワンウェイコントロール

弊社の製品では買い回り分析とかをしていたりするので、興味深い内容であった。IKEAにも行ったことはあるが、一本道で全部見なければならない反面、色々とみることができて楽しかった思い出がある。目的の物以外も衝動買いしてしまう仕掛けがどちらにもあって、なるほどなと思った。ワンウェイコントロールだと、戻るのが億劫なので、その場で結構考えさせられる。

サイトはマルチエントランスであるにも関わらず、ワンウェイコントロールしようと導線を考えたりしているような気がした。まぁある程度は導線は必要なのではあるが、この順番で学習すれば問題ないだろう…みたいに考えるのは良くないなと思った。

別の領域から着想を得る

アナロジー思考を使って、自分への理解を深め、新しい着想を得て相手への説明を容易にする。

類似には、表面的類似と構造的類似があり、アナロジーで扱うのは構造的類似。構造的類似にも物理的構造と機能的構造があり、それらについて、ゲームのハードを例に紹介してあった。

自分の思い出になるが、ファミコンはコントローラーの十字キーの下ボタンがやけに効きにくくなって、RPGの移動に苦労するようになったが、コントローラーは着脱式ではないので、分解が必要で、兄が分解していたのを覚えている。スーパーファミコンになり、コントローラーは着脱式に。プレイステーションになり、メモリカードは別売りに。買うものは増えたが、利便性は向上している。ちなみにファミコンだとドラクエ3冒険の書はよく消えるので一度挿したらクリアするまで抜くなというルールになった。

分解できないだろうと思っているものを分解していくというのは、面白いのかもしれない。昨今のクラウドサービスでも、大概のものは分解されて疎結合になっていっている。別のサービス同士でつなぎ合わせることができるので、それはそれでいいのかもしれない。わかりやすさとのトレードオフにはなると思うが。例えばプレイステーションだと、メモリカードの買い忘れとか絶対によくあったと思う。

アナロジーを用いる際のポイント

以下、引用です。

  • 相手の理解している領域を用いること
  • 構造的類似があること
  • 意外性があること

相手の理解している領域が何であるかを知っていないと、例えにくいので、相手の興味を聞き出して情報非対象ゲームにしておく必要があるなと感じた。そうなると、やはり雑談力が大事なのではないか。

例え話が苦手な人の話は回りくどく、利便性の説明をするために具体的な話に持っていきがちなので、よく「もっと抽象的に話してほしい」と思うことはたまにある。その抽象さこそが、アナロジーなのだなと思った。

6章のまとめ

自分たちが今どこにいるのか、なにを目指すべきなのかを知るための分析をもとに、現状を理解し、戦略(どのように戦うか)に落とし込むところを学んだ。また、その戦略が正しいのかを確認する手法や、仕事をゲームとして捉えた時の攻略方法として着目するべきポイントなどを学んだ。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉がしっくりとくる章だった。

そして7章へ…

7章:仕事を前に進める

仕事を前に進める心構え

今までは戦略を立てるところまでだったが、ここからは実行に移すためのヒントが詰まっていそうだった。遊びと仕事の違いは、「自由意志の剥奪」だが、仕事で「自由意志を獲得」をするために必要なことについてが書かれている。

規定演技と自由演技

アイススケートショートプログラムとフリープログラムの例があったが、ショートで高得点を取っていなければフリープログラムに進むことができない。これは仕事でも同じで、言われたことをしっかりこなせる実力がないと、自分で考えた仕事をさせてもらうのは難しい。この人には任せられるな、と思ってもらえてこそである。

小さな成功を手にする

いきなり大きな成功を目指すと、立ちはだかった壁に圧倒されてしまい、モチベーションが持たない。小さな成功でいい。少しでも前に進んだ、という達成感を足掛かりに、積み上げていく。

別の本で読んだことがあるが、成功にはストーリーが付き物で、困難が出てきて、それをクリアすると更にまた困難が出てきて、更にそれをクリアして…、最終的に目標をクリアするというのは、世界共通のフレームワークなのだという。どの物語でも、そう。それこそ、RPGのように、いきなり魔王に挑むのではなく、最初は町の近くの塔に棲みついたモンスターを倒すところからでいい。

失敗が許される環境づくり

小さく始めてテストをすることを、フィジビリティスタディというらしい。初めて聞いた。小さく始めようとはよく言っている。

ABテストができる環境を整える

仮説の検証をしてもよい環境を作る。その検証過程で損失が出るケースがあるかもしれないが、それを許容できるように調整しておく。ここでの目的は、利益ではなく、知見を得ること。

投資の損切のルールにまで言及されていたが、あまりそういう意識でやったことはなかったかもしれない。確かに必要経費だと割り切れば、損切しても精神的な痛みは少なくて済みそうだ。

周りを巻き込む

チームメンバーの理想を高める

まさにこれが今やっている読書会の目的の1つである。理想を高く持たなければ、現状とのギャップが見えずに停滞してしまう。不満点が見えてくれば、それを解消するべく様々な打ち手を考案できるし、それが各々の自由演技となって楽しんで活躍できるはずだ。

ARCSモデルの動機付けはどういう勉強会をやっていけばいいかのヒントになる。「自分の役に立ちそうだ」と思えば積極的になれると書いてあったが、まさにそう。しかし、不安を抱えたままだとやる気が削がれたり、後回しにされる。不安を解消してこそ、ようやく取り組めるようになると思う。この勉強会とは別に社内でフロントエンド技術勉強会をしているのだが、これは明らかに役に立つのはわかっているけれど、なかなか取り組むキッカケがないものに対する不安を解消できれば、という思いでやっている(自分の不安も含む)。

自信がモチベーションにつながる。

30秒で説明する

エレベーターピッチの話が出てきた。エレベーターに乗っている間に説明できるくらいでないと整理できていないということだ。エレベーターピッチはアジャイルサムライに出てくる。

ピラミッドストラクチャー

ロジックツリーに似ているけれど、問題を深堀りするのとは別に、目標を戦略、戦術レベルの図に落とし込むのがわかりやすそう。

ピラミッドストラクチャーを使う場合もMECEを意識する。

ロジックツリー・イシューツリーで発散した内容をピラミッドストラクチャーで収束してまとめるという感じなのかなと思う。これにより、30秒で説明できるくらいのボリュームに抑えることができるということのようだ。

視覚で訴える

1枚企画書のまとめ方について。1枚に簡潔にまとまっていると、アイキャッチとして有効で、その後の資料を読み進める気持ちにもなれそう。長いスライドだと、何が言いたいのかわからないのに読み進める不安感がある。

ここでは情報の整理の仕方がまとまっている。情報のグルーピング、情報同士の関係の表し方、視認性を良くするためのノウハウなど。最近買ったスライドの作り方の本などにも、同じようなことが書いてあったので、真似していきたい。

次回は、「7-6 許可を得よう」から。

広汎性発達障害児への応用行動分析を読んで

今回読んだのはこちらの本。 この本は、前回読んだ本(発達障害児の言語獲得―応用行動分析的支援(フリーオペラント法))で紹介されていた本で、こちらを先に読んでおいたほうがよいということだったので、Amazonで注文して買っていた。

広汎性発達障害児への応用行動分析(フリーオペラント法)

広汎性発達障害児への応用行動分析(フリーオペラント法)

前回の記事はこちら。

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この前の本は、この本の実践編のような感じで、この本は佐久間先生が直に書いている文章である。発達障害児の言語獲得では、佐久間先生は物腰柔らかな先生のように書いてあったのだが、この本では結構過激な表現が多くてビックリした。文部科学省や役所や東電、教育現場への批判など、出るわ出るわで、面白いのは、「現役世代は言えないだろうけれど、私は引退しているし生い先短いから書いてやる!」というところ。

そのあたりの批判はさておき、応用行動分析に着目して本を読んでいくと、発達障害児の言語獲得のほうで書かれていた手法の詳細が書かれていた。

好子(こうし)になる

健常児と発達障害児の違いはどこか?当時、お菓子などを好子にして言語獲得を促す手法が論文化された。佐久間先生によると、それまでは言語獲得ができることはなくてとても画期的だったのだが、時間がかかりすぎることなどが課題となった。勉強会を開いて考察をした結果、健常児は母親が褒めた時の声などが好子になっているが、発達障害児はなぜかそれが備わっておらず、他の好子で代替することで言語獲得できた、ということだった。

母親が褒めた時の声などが好子になるというのが先天的に備わっているということはないはずなので、発達障害児に対しても、なんらかの方法で親が好子になれば、お菓子を使ったりしなくてもよいのではないか?という考えに至ったようである。そこで、好子になるためには、信頼関係を育てることが大事。今までと同じことをしていても信頼関係は育たない。そもそも、発達障害児は周囲にあまり興味がない。そこで、発達障害児のことを模倣することで周囲に興味を持たせ、信頼関係を育てていくということだ。

脳に障害があるから、で済ませようとしてしまう傾向があるらしいが、本当にそうなのかわからない。そう言ってしまえば、悪く言えば切り捨てしやすい、親にも諦めをつけさせやすい、ということらしい。

しかし、もしかしたら、そうではなく、なぜか好子がないだけなのかもしれない。

好子になるには?

以下、引用である。

  1. アタッチメント(愛着関係)の形成を妨げるようなことを可能な限り排除する。
  2. 過保護にして、赤ちゃん扱いにして十分に甘やかす。わがままは可能な限り受け入れる。
  3. 自分が受容されている。共感されているんだということを病児に伝える。これに逆模倣が有効。

好子になるには、再三書いてあるが、逆模倣である。大人が子を模倣するから、逆模倣と呼ぶらしい。佐久間先生によると、発話がほとんどなかった子のカウンセリングをするようになった時、おんぶしてるときに飛んだら喜びながら声が出たので、それを真似していたら声がでてくるようになり、「さて、次からどうするか?」と考えていたら、勝手にどんどん発話が増えていった、というエピソードがあった。

また、自閉症の子だけに限らず、多動の子にも有効とのことだったが、くすぐりや、皮膚を様々な方法で刺激してあげる、というのがよいらしい。くすぐりが通用するのは対象の子が大きくなってくると難しいらしいが、小さなころは滅茶苦茶良いらしい。なんといってもくすぐられて笑ってしまうから、楽しいのだろう。くすぐられるとわかった時点でもうちょっと笑ったりして楽しそうだったりすると書いてあったが、うちの子もそう。

そして、徹底的に甘やかすことだとある。端的にいうと、健常児だったらやっているであろう「しつけ」をやめること。年相応のことをやらせないと、という日本人のある種の強迫観念みたいなものがあると思うが、それを押し付けると愛着関係が壊れる。しつけはしなくても、言語を獲得できたらかなりやりやすくなるし、しつけは後でもできるから、今は言語獲得に力を入れよう、ということだ。

実践の補足

実践の補足の章では、実際にフリーオペラント法を試す場合の補足が書いてあった。

甘やかし

まずは徹底的な甘やかし。しつけのことが騒がれだしたのは昭和中期の頃からで、別にそれまでは特に言われたなかったこと。自律は促さなくてもよいらしい。自律するべきときが来たら、する。人に頼れなくなるという弊害もあるとか。うーむ、そういうのは結構ありそうではあるが、自律できないままの人もいたりするから、極端は良くないってことかな。

くすぐりと皮膚刺激

くすぐりや皮膚刺激について。強烈な笑いは親密な人間関係がないとできないこと、ということのようで、くすぐり笑いによって親密な人間関係を作ることができる?(錯覚させる?)。そういう体験談は結構あったらしい。若いころのエピソードで、それを学会で発表したら大物教授に「そんなのは欧米では聞いたことがない」とこき下ろされたらしい。しかしそれは文化の違いで、カナダ人にくすぐりの効果の話をしたら「効果があるのはわかったが、自分たちの国で同じことをすると幼児わいせつの嫌疑を受けかねない」と言われたらしい。だから、欧米ではくすぐり技法がなかったということのようだ(今はどうなのだろう?)

皮膚刺激は全身を色んな方法でこすってあげるが、嫌がるところは避けて、境界線を丁寧にマッサージすることで徐々に広げていくのがよいとか。効果が出るのは遅いが、効果抜群らしい。愛着関係の形成、感覚統合の促進、偏食が改善、抱っこが好きになるなど。

あとは静かな抱っこ20分。これは抱っこが20分続くようになったらゴール。最初はどこかに行こうとしても止めるが、2回目は開放する。というのを何回もするようだ(詳細は本を)。そのときに皮膚刺激を与えたりしてもよいと解釈した。これはADHDの子にも効果的で症状が大幅に改善するらしい。

逆模倣

逆模倣が有効であった事例の話の後、なぜ逆模倣なのか?という話があったが、肝は模倣と自発的などうかである。健常児は自発的に模倣をするようになり、言語なりを獲得していく。自発的な模倣行動が見られるようになれば、あとは模倣すべきモデルを提示すればよいだけ。なので、自発的な模倣行動を増やすための動機付けが大事。 大好きな人の模倣、楽しいことの模倣、自分でもできそうなことの模倣。大人が「これやってみよう、あれやってみよう」と言っても、それは受け身になり自発的ではない。大人が子供の逆模倣で子供を楽しませて、真似したいと思わせることが重要。自発的に何かをするまで待つので、強制もなく、失敗もない。

指導の優先順位

発話が最も大事だが、臨機応変に変えることも例外的にはあるらしい。排泄の問題が家庭で重要な問題になっているときとか。しかし、そうでなければ言語発達を最重要視するべき。言葉がわかるようになれば大概のことがスムーズになる。それ以外のことはそれ相応の年になれば自然に解決するケースもあったりするが、言語はそうはいかないらしい。

喃語の発生頻度

これはもう多ければ多いほどよい。おしゃべりだと言語発達は順調に進む。自発発生を促すようにしていく。喃語の頻度が低いと発語の少なく言語獲得は遅くなる。

単語が出だしたら

タブーが多い。まず、単語を話したら、同じことを言わせようとしないこと!周囲は嬉しいから促そうとしてしまいがちだが、それ以来言わなくなることが多い。本人もなぜそれが言えたのかわからないからだ。また、訂正もしてはいけない。訂正は誰だってされたら嫌なものだから、また言いたくなくなる。話さなければ言葉の訂正は受けなくて済むから、話さなくなったりすることもある。訂正は、大きくなったら自分で気づいて訂正するから、それまでは放っておく。

言葉の意味を知っていても話せない

この例として出されていたのが、日本人の英語で、読めるけれど話せない、という状態だった。絵カードとかを使った指導をすると同様のことが起きやすいとか…。人の言葉の意図の理解が出来なければ、コミュニケーションは成立しないので、単語を覚えただけでは難しい。言葉通りに捉えても難しい。しかし模倣ができるようになると意図がわかるようになるとか。

不適応行動への対応

不適応行動とは、やってほしくない行動のことだ。例えば、自傷行為、他傷行為、排泄に関わることなど。

他傷行為

他傷行為をするにしても、なんらかの理由があるはずであり、それを大まかに分けることができる。「思い通りにしたいため」の場合、佐久間先生オリジナルの「反応強度分化強化法」を用いる。みんな、子供に「これは悪いことなんだよ」と理解させようとするが、そんなことはできないし、例え理解できていたとしても、できるとは限らない。皮肉のメッセージとして「大人だってダイエットしたり禁煙をしたほうがよいのは理解しているのに、できていないではないか」と書かれていた。あー耳が痛い…(私はタバコは吸わないが、ダイエットができていない…)。

反応強度分化強化法は、そんな理解させるようなことはなく、ただ実行するのみ。例えば、叩いてくる子がいたとして、

  1. ものすごく強く叩かれたら、なるべく無反応
  2. 弱めに叩いてきたタイミングで大げさに反応する

思い通りにはなってやるが、こちらの反応強度を変えることで弱いほうが言うことを聞いてくれると思わせる。次の段階で、適応行動の形成に取り掛かる。拒否をするわけだが、一旦受け入れて拒否をする。無視ではない、というところがミソなのだろう。このあたりのニュアンスは本を読んでもらいたい。

「嫌なことの回避行動として」については、歯医者に行きたくなくて暴れるなど。これは、嫌なことを大好きに変える、とあり、「そんなことできるのか?」と思ったが、できるエピソードが載っていた。それが「スモールステップ法」で、嫌いなことを好きなことで上書きしていくらしい。トイレが嫌いな場所だったら、トイレで大好きなお菓子を与えるとか。本の中では、環状線が苦手な子が好物のアンパンを使って克服していく例が載っていた。徐々に駅の中に入っていってアンパンを食べて、最終的には環状線に平気で乗れるようになったとあって、すごいと思った。

注意引きのための他傷行為は、社会性を得るためのプロセスで起きる行動なので、見守っておくのがよいらしいけれど、トラブルになったりしそうで怖い。しかしここを強制的にやめさせると、後々の社会性に問題が出たりするという話もあり…じゃあどうすれば…。あまりひどい場合は反応強度分化強化法で対処すればいいいらしい。基本は、当事者同士で解決するのを見守るのがよいが、トラブルを恐れる先生が強制的に解決しようとするとか。まぁ先生の立場からすると、そうなるのは納得ではある…。

あとは理由のわからない他傷行動もあるらしい。試しに叩いてみるとか、ふと嫌なことを思い出してパニックになったりとか。それはもう慰めたりするしかない。

自傷行為

自傷行為に対しては前に紹介されていた全身をマッサージ(擦ったり)するのがよいらしい。時間はかかるが効果ゼロということはほぼないらしいし、不安低減につながっているぽいので時間を見つけてはマッサージしてあげるのがよさそう。親子の触れ合いにもなっていいんだろうなと思う。

苦痛の緩和としての自傷行為もあるとか。これは、例えば虫歯とか口内炎とかの痛みを紛らわすために他のところを痛くする、みたいな話だが、その対象の痛みを取り除かないことにはどうしようもない。なぜか母親はそれを見抜くのがうまい、と書かれていた。日常的に子供を観察しているからだろうか?セラピストだとなかなか見抜けないらしい。

また「嫌なことの回避行動として」も自傷行為があり得る。やりたくないことのために怪我をすると、やらなくて済むから。ということなのだが、それも反応強度分化強化法がいいらしい。

何事もすっぱりと割り切れるわけではなく、複合的な要因のため、これらを応用しながら挑んでいくのがよいらしい。

その他、不適応行為について

本では他にも色々と語られている。五感の感覚を育てる意味でも、マッサージをすることと、ブランコやシーソーなどの遊びを通じて五感をちゃんと育てていくことが大事。好みの偏りを、そういう性格、として放置せずに、感覚統合にはちゃんと取り組んでいけばいつかは徐々に改善して落ち着くらしい。

あとは、「本当にそれは不適切行動ですか?」ということ。同年代の健常児と比べているだけでは?マナーっていうけれど、しつけでは?しつけはまだしなくてもいいって再三書いてるでしょ?というメッセージだなと思った。

発達障害児をめぐる諸問題

ここは佐久間先生の不満が爆発している。発達障害児に対する国、自治体、学校、先生の扱いの酷さ(先生は人によると思うが)の話が色々と出てくる。しかし、そうなんだろうなぁ…と思わされる。欧米モデルを真似て作った制度が全然日本とマッチしていないとか、問題があるのは発達障害児ではなく、自治体、施設、先生側の不勉強さのほうだとか。過激な表現は多いが、本当に怒ってるんだなと思えた。 本の最初のほうに書かれていたことなのだが、本来勉強が必要な層を「出来損ない」として足切りして出来る人たちだけを伸ばそうとするのは、本当に正しいのか?と…。今の教育制度がそうなってしまっている。勉強が必要な人達に対してこそ、粘り強く教えていかなければならないのに。誰のための教育なのだ?という怒りのメッセージが強く印象に残った。

感想

発達障害児の親や、療育施設の人達には本当に一度は読んでほしい本だなと思う。いや、自治体や教育関係者にも、かもしれない。佐久間先生のメッセージが届いてほしいなと思う。

うちの子のように、まだ言葉が出てこないで思い悩んでいる自閉症児の親御さんには、おすすめしたい。気が楽になるし、家でできることも増えるし、気苦労は減らせると思う(しつけをやめるとか)。

うちではまだこれらのことを始めて2か月程度のところではあるが、喃語の発生頻度はかなり増えてきているし、昨日は本のキャラクターを指さしながら話していた。キャラ毎に、でも同じキャラを指すときは同じ喃語だったので、本人の中では呼び方が決まっているようだ。こんなことは今までなかったのですごく驚いたが、同じことを言わせようとするのはタブーなので、我慢した。

話は逸れたけれど、この本に書かれていることは科学的ではないかもしれないけれど、まだあまり解明されていない発達障害のことを今は知恵で捉えてよくしていこうというアプローチであり、ものすごく多くの知見と希望が詰まっているということだ。脳障害で片付けずに長いこと取り組んできた佐久間先生たちの知見をありがたく拝借していきたい。

仕事の説明書読書会7回目のまとめ

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

前回はこちら。

patorash.hatenablog.com

今回は雑談が多かったので殆ど進まなかったといっても過言ではない!😂

質と量の観点で改善を進める

目標を達成するシーンにおいては、「質を上げる」か「量を増やす」かの2つに分類される。 成果資料と購買プロセスの図を元に、転換率が変化しない場合、単純に来客数を倍に増やせば売上は2倍になるという話があり、それが「量を増やす」のほう。 しかし実際は単純に量が2倍に増えるということは難しいので、転換率を上げるというのが「質を上げる」ということだった。

どちらも改善するのがベストではあるが、二兎を追う者は一兎をも得ず。しかも、量を増やすという一兎を追ってもオペレーションが追い付かず転換率を下げる結果になったりするので注意したい。 量を増やそうとしたタイミングで、今まで来なかったお客さんがなぜ来るようになったのか?なぜ購入しないのか?を考えるのがミソ。

質を上げる

質を上げるには、行動プロセスを細分化し、その転換率を見ていき、どこがボトルネックになっているのかを見る。 根気よくやっていかなければならないのが改善。小さな積み重ねを続けてきて結果を出しているのがトヨタであると紹介してあった。

ところで何かの本かWebサイトで読んだことがあるのだが、小さな改善にこだわると本当に小さな改善しかできず、イノベーションが生まれにくいという話もあったかと思う。「やり方を変える」でないと達成できないケースもあるということだ。まぁ今回の例は転換率を上げる、なので、改善が功を奏すところだ。

既存顧客のロイヤリティを高めるという点で質を上げるという話もあった。今やっている仕事がまさにここが問題になっているところなので、興味深く読んだ。

量を増やす

ここでは、市場を拡大させることについて書いてあった。

  • 潜在市場・・・全体の市場
  • 有効市場・・・自社が提供可能かつアクセス可能な市場
  • 対象市場・・・有効市場のうち、特定のセグメント
  • 獲得市場・・・対象市場のうち、獲得を目指すべき市場

眼鏡市場を例に書いてあったのだが、これが「めがねしじょう」なのか「めがねいちば」なのかが最初わからず、読書会が混乱した。読み進めたら「めがねしじょう」だとわかった。

市場を拡げるという例で、JINS SCREENが紹介してあった。目が悪い人だけをターゲットにするのではなく、普段眼鏡はしないけれどPCの作業で疲れ目に困っている人を対象にして大ヒットしたわけだ。 こういうのは他の本でもNintendoのWiiのことが紹介されていたりしたなーと思った。ターゲットをゲーマーだけじゃなくてファミリー向けや女性向けにのフィットネスに変えたりしたとか、そういうやつだ。

質と量を意識した改善サイクルを検討する

ここではAmazonの戦略について語られていた。Amazonは利益を投資とお客さん(出展者)への還元を繰り返すことで更に出店しやすくなる→品揃えが豊富になる→お客さんがAmazonで買うというサイクルを作っていた。これはAWSの話でも聞いたことがある。気づいたら利用料が安くなっていた、みたいなやつだ。Amazonは儲けはほとんど出ていないという話のようであるが、それは投資と顧客への還元を積極的に行っているからという話を雑談で掘り下げていってたのだが、株主には還元されているのか?とか、AmazonがZOZOみたいなことをすれば一瞬で勝てるんじゃないかと思うのになぜやらないのか?みたいなことを話し合った。そして、楽天はどうなんだろう?という話に及び、楽天は出店し辛くなってるってよく見かけるけれど…というので、楽天大丈夫なんだろうか?とか、楽天の商品ページの見せ方(通称:楽天メソッド)は読んでいてだんだん洗脳されていく、という話題でだいぶ盛り上がった。

楽天で椅子の紹介ページを見ていると、だんだん素晴らしい椅子に感じてきて、もうこれを買うしかないだろ!ってなるという話。まぁ私もそれを買っているのだが。私が育児休業中に買ったのは、これ。

  • A「ここに書いてあるエピソード、冷静に読むとクレームに対応したっていう話なだけなんじゃけどな」
  • B「普通ですね」
  • A「いや、それを迅速にやってて、地道に改善を繰り返しているところがすごいのよ」
  • B「もうお店の人のような話し方になってるじゃないですか」
  • C「完全にファンですね」
  • D「自分的には胡散臭く感じます」
  • A「いやいや、よく読んでみろって…。これだけのことをしてるのすごくない?」
  • C「信者がいる…」

※Aさんはワルノリすることが多々あります

ゲームの順番を意識する

ゲームの順番はプレイ順ともいえる。ファイヤーエムブレムの話が出てきて、スーファミでやってた自分としては「わかるわ~!」って感じだったのだけれど、他にやってる人が少なくてピンときてなかった模様。なので味方の傭兵が会心の一撃を出して壁になるはずだった敵を倒してしまい、連続で攻撃を受けて死んでしまう話をした。あと傭兵が仲間になるはずだったキャラを会心の一撃で殺してしまって泣く泣くリセットボタンを押す話もした。

ゲームの種類のところは私は恐らく初めて見たような気がするのだが、新卒の子が「大学の授業で習いました」って言っていた。

  • 情報対象ゲームと情報非対象ゲーム
  • 同時進行ゲームと交互進行ゲーム

ここでは、コンペを例にしてあった。コンペの参加方法や提案ルールが同じレベルで提供されている場合は情報対象ゲームであるが、上層部の好みや判断軸を知っているメンバーがいたら、情報非対象ゲームとなる。

同時進行と交互進行の違いは、同時進行の場合は相手の行動を予測することが大事なカギとなるが、交互進行の場合は相手を観察して戦略を練ることができる。交互進行だと後攻が有利になりやすい印象がある。

相見積りを取られているときに先に出すか後に出すか

ここでは、「いかにして情報非対象ゲームにするか」がポイントで、そもそも相見積もりをする背景を考えていくところから書いてあった。これがまた、あるあるネタである。企業のルールとして相見積りを取らないといけない(が、本当は本命の会社は最初から決まっていて、当て馬が欲しい)とか…。 基本は信頼関係を構築するために相手から情報を聞き出して情報非対象ゲーム化することにある。また、一貫性の原理を使う話など。今思うと、この原理は説得のために私がよく使っている戦略と同じだと感じた。

会議や商談中にどのように振舞うか

このあたりは割と会議が多い弊社的には参考になりそうだった。開発者はあまり自分から話さない人が多い傾向があるので、それだと相手を知ることが難しいから本当に雑談力ってのは大事なんだよっていうことを我々年配者が話していた。ここでゴルフとかの話ですかね~みたいな話が出たけれど、Aさんが「もはやゴルフをやっているのは老人とブルジョワだけで、現在の決裁権がある人たちはガンダム世代だよ。なんでお台場にガンダムが立つのかって言ったら、そういう世代が決裁権持ってるからだよ。もし自分にガンダム立たせられる決裁権がきたら、絶対ハンコ押すし」とか言ったりしていて盛り上がった。

あとは、人生のでかい買い物(結婚式・家・車)では交互進行ゲームになるから即決せずに後攻であることを楽しみなさい、という話もかなり盛り上がった。「社会人になってから自分がお客さんという立場になれるチャンスは滅多にない。ゲームだと思って相見積り取って競わせてみればいい」と言われ、確かにな~と思う反面、そういうことをされてきたからこそ、そういうのしたくないな~という気持ちもあり…。とはいえ、チャンスをうまく使うようになりたいなとは思った。

他にも交渉で色々値切った話とかが出てきたりして楽しかった。

仕事の説明書読書会6回目のまとめ

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

前回の記事はこちら。

patorash.hatenablog.com

今回は6章の最初から。なお、情報処理試験前ということで、お休みの人が多かった😇

リスクとリターンを意識する

リスクとリターンの関係などを、テトリスの例を取って説明してあった。テトリスは積み上げ過ぎたら負けだが、一気に消せれば高得点が狙える。積み上げれば積み上げるほど高得点が狙えるが、消せないでゲームオーバーになる可能性も高い。

大きなリスクを取って大きなリターンを得ることが爽快感に繋がる。本から引用すると、

ゲーム性 リスクを取ってリターンを得る楽しさ
攻略   リスクを抑えてリターンを得る工夫

とある。仕事はリスクを抑えてリターンを得る攻略を追求するべき。今まで学んできた分析や戦略の策定手法は、リスクを抑えるためのアプローチであったのだ!

立場によってリスクとリターンの扱いが異なる

1位と2位では、リスクとリターンによって得られるものが違う。1位の人は2位に抜かれないように振舞えば順位を落とさなくて済むので、リスクを減らして安全にする。2位の人は大きな得点を取らないと1位になれないので、リスクを取って大技を狙う。アイススケートとかだと、よくあるかなと思う。1位は大技を入れずにノーミス狙いでいくけれど、2位は4回転を多く入れていこうとするとか。

現状の立ち位置を理解する

リーダーとフォロワー、そしてフォロワーをさらに細分化した説明があった。

リーダーの戦略

リーダーの戦略はフォロワーを抑えつつシェアの拡大・維持をすること。新たなものが出てきたら、ブランド力・資金力・技術力で同質化戦略を取って後続を抑えこんだり、後れを取り戻す。

後続の戦略

後続企業のすることとしては、リーダーと同じことをしても負けてしまうので、

ということをする。リーダーが簡単に真似できないことをやらなければならない。

チャレンジャー・フォロワー・ニッチャーの話のところで、あまりにニッチすぎてもダメっていう話があった。様々な企業が小さなSNSを立ち上げたのところは身に覚えがありすぎる…。SNSmixiが全盛だった頃に、前の会社で上司が音楽SNSを作ると言って運用していたみたいだったが、たしかユーザーが200人も集まらず過疎っていて更新もされないので更に過疎に…という感じだったのを覚えている。結局あれは集客もできずにメンテコストだけがかかったと記憶している。思い付きで作っただけで、戦略の策定や分析など、全く行っていなかったんじゃないかと思う。

ちなみに当時はエンジニア向けSNSがあったので私も登録していたが、mixiのエンジニアコミュニティのほうが優勢でだんだん見なくなった。そちらは比較的集客を頑張ったりしていたと思うが、それでも成立させるのは難しそうだった。

リーダーに勝つために「競争のルールを変える」

逆転の競争戦略[第4版]の著者の山田英夫氏の理論が紹介されていた。リーダーが嫌がる戦略を立てるわけだ。

  • 同質化したくてもできない状況(Can't)
  • 同質化できるがしたくない状況(Won't)

そして、企業資産または市場資産を攻める。

企業資産は、リーダー企業の保有する資産を負債化させるような戦略で、全国に配置された営業スタッフが逆にコストになるように仕向けるなどの例があった。
市場資産の例では、スーパーファミコンが優勢だったころに、プレイステーションセガサターンという異なるハードウェアを投入してスーパーファミコンのソフトを活かせないようにして、競争力を下げるなど。

論理の自縛化は面白かった。これまでリーダー企業が発してきたキャッチフレーズ・キャッチコピーに対して矛盾する製品を後続企業が出した場合、同質化戦略を取れないということだった。もし同質化戦略をとれば、キャッチコピーと矛盾しているため、企業のイメージダウンにつながりかねない。特保コカ・コーラの例は読書会参加者にウケていた。

事業の共喰化もまた面白かった。掲載課金型広告が成果報酬型広告に押されてきても、安易に同質化戦略がとりづらいという話だった。成果報酬型にしてしまうと、売上が下がる懸念があるので切り替えにくいのだが、その間に成果報酬型の後続企業がシェアを伸ばすことができたとあった。

状況に応じた戦略を立てる

プロダクトライフサイクルの話があった。導入期・成長期・成熟期・衰退期の話だ。この中で、プロダクトではなく企業内部においても起きる変革についての説明があったが、そこは涙なしでは読めないというメンバーがいた。

成長期

仮に採用が進んだとしても別の問題が発生する。(略)そのため慌てて評価制度や人事制度などを作ることになるが、ここでの合意形成は決して楽ではない。
(略)
専門的な知識を保有する人から見ると既存のプログラムは突貫工事に近い形で作ったプログラムのため、効率の悪いプログラムになっていることがある。そのため、新たに参画した技術力の高いメンバーが作り直す。そうなると今まで広く浅くなんとかプロジェクトを形にした人の居場所が狭くなり、適性があろうがなかろうがマネジメントの役割を与えられ現場を離れるケースもある。

雑談で、「あれ?これって弊社のこと?」とか冗談交じりで言っていた。

成熟期

従来は多少の不具合やWebサイトの停止は進歩のため仕方がないと割り切っていたものが、サイトの停止による売上の減少や信頼の失墜を恐れ、安全な運用が求められる。大きなチャレンジがやりにくくなるのがこのフェーズだ。そのため、今までのクリエイティブさ、イノベーター魂が若干薄まり面白みをあまり感じなくなる人も出てくる。

雑談で、「あれ?これって弊社のこと?」と(略

競合から顧客を守る

競合から顧客を守るためのスイッチングコストをどのようにして高めるか、という話だった。顧客は商品の品質や価格だけで判断しているわけではない。新しく操作を覚えなければならないとか、操作法を関係者に周知しなければならないとか、過去のデータが使えなくなるかも、等を気にするとなかなか新しいものに切り替えにくい。

逆に、他所からのデータ移行に対応する等によって競合のスイッチングコストを下げることもできる。

雑談では、ブログの移行のスイッチングコストとかありますね、という話をした。はてなブログでは、WordPress形式のバックアップデータを取り込めるようにしてあるので、WordPressからのスイッチングコストは低い。その後は、自社製品ではどうか?等の話で盛り上がった。

立ち向かうべき課題が適切か確認する

信長の野望の話が出てきた。自国や他国の状況を見て、攻めるところを決めたりするように、ビジネスにおいても状況を見定めて判断しなければならないが、ビジネスにおいてはゲームほど単純に数値化できない。検討材料に使う1つが6Rである。

  1. 有効な市場規模
  2. 競合状況
  3. 成長性
  4. 到達可能性
  5. 顧客の優先順位/波及効果
  6. 反応の測定可能性

これらを複合的に検討する必要がある。

検討した結果、6Rを満たすことができなかった場合、参入を見送るよりも、どうすればその障壁を乗り越えられるかを考えることが重要になる。それが乗り越えられれば、他所からの参入障壁を高めることができる。

市場規模が分からない場合は4Pではなく4C

まだこの世に同様の製品・サービスがない場合は4Cで考える。よく例で使う、馬車(プロダクト)ではなく速く移動する(用事)ことにお金を払っているのがでてきた。これならば、自動車(プロダクト)がまだ世の中になかったとしても市場規模を算出することが可能。安価になれば、今まで馬車が高くて手が出せなかった人たちも、自動車なら手を出すかもしれないので、市場規模が大きくなる。

グロースハック

再来訪、再購入、紹介というサイクルを作る仕事をグロースハックという。なんとなく言葉は知っていたが、このあたりはまだちゃんと理解できていなかったかもしれない。例では、ティザーサイト活用型と、インセンティブ方式型の紹介があった。

ティザーサイト活用型だと、最近はクラウドファンディングや、何人以上が購入するんだったら作ります、のようなのがある。peaks等、本の執筆のとかでそういうのがありますよという話をした。あとは本で登場したドロップボックスのやつはよくできてるよねーという話をした。

今回は参加者は少なかったが、その分雑談とかはまぁまぁ盛り上がった。若者はどういうゲームをするのか?とか。ファミコンをやったことないという人もいたので(スーファミはある)、ジェネレーションギャップが凄かった。なお、私は兄弟で戦国時代が好きだったので信長の野望はよくやってた。ゲーム開始と同時に謀反で滅んだりとか、よくしていたものだ…。

発達障害児の言語獲得を読んで

発達障害児の言語獲得―応用行動分析的支援(フリーオペラント法)

発達障害児の言語獲得―応用行動分析的支援(フリーオペラント法)

うちの長男が発達障害でまだ話すことができないため、なにかしらのヒントがないか?と思って買ってみた。なお、読んだ際にわかったのだが、著者の佐久間先生が先に出している本を先に読んでおいたほうが良さそうではあった。

広汎性発達障害児への応用行動分析(フリーオペラント法)

広汎性発達障害児への応用行動分析(フリーオペラント法)

広汎性発達障害児への応用行動分析(フリーオペラント法)に関しては、Amazonで注文していて、まだ届いていないので届き次第読んでいこうと思う。

本の概要

この本は、重度の自閉症のあいちゃん(仮名)がセラピーを通じて徐々に発話していく過程が描かれていた。もちろん、セラピーだけではダメで、家でのあいちゃんへの接し方などの指導も入っていた。フリーオペラント法の基本は、大人が子供の言動を模倣してあげること。大人が子供の模倣をする→大人が反応してくれていることを認識する→もっと反応してほしくなるので、大人の真似をし始める、ということのようだ。

本を読んで学んだこと

私がかなり思い悩んでいたことなどについて、肩の荷が軽くなるようなことが多く書かれていたので、それについて書いておく。

しつけは不要

まずはこれが一番驚いた。発達障害の子はそもそもしつけがし辛いのだけれど、他の本の影響もあって、根気よくやっていかなければならない、と思っていた。ところが、佐久間先生はしつけは不要だという。それは何故か?しつけは大人が子供にこうあってありたいという思いを強制するものであるため、まだ理解できない子供の自発的な行動を抑制してしまうことになる。 健常児であれば、言葉が理解できるようになっているため、徐々にその場にふさわしい行動を教えていくこともできるが、言語が理解できない状態の発達障害児の場合はますます行動に抑制がかかり、話せなくなるとのこと。これを読んで、あまりキツイしつけはやめようと思った。

応用行動分析の本はABAの本なども読んだが、お菓子などを使って、よい行動を強化するという話があったりもしたのだが、それについても本書では懐疑的な感じで書いてあった。それもしつけの一種であり、できるように誘導しているからなのだろうか?本の中では、正しい行動ができるようにはなっていたが、当の本人はビクビクしていてちっとも楽しそうではない、と書いてあってショックだった。同じ応用行動分析でも違うのだなと感じた。ABAの本では、「『周囲からは動物の調教みたいでかわいそう』と言われるが、本当にかわいそうなのはちゃんとした行動ができないまま放置されることではないか?」と書かれていて、私もそれには非常に共感していた。発達障害の話だとヘレン・ケラーの教育を行ったサリバン先生の話がよく出てくるのだけれど、サリバン先生のように、その子のために根気よく行うことが大事と書かれていて、「厳しくても子供のため…」と思うようなときもあったのだが、本書では「みんながサリバン先生になってしまったら、子供は誰に甘えられるのか?心を許せるのか?」みたいなことが書かれていてハッとした。

フリーオペラント法は、子供の自発性を伸ばして、興味を広げていき、言語獲得や社会性の習得をしていくという哲学であるため、自発性を伸ばすためならしつけをしなくてもいいということだった。なので、遊びの片付けもしなくてもいいし、食べ物を食べるときも手掴みでいい。むしろ手を使うことはよいことなのでできるだけ長く手掴みで食べさせてもいい、くらいに書かれていた。「しつけは後からでもできる」、「言語の獲得に全振りしたほうがいい」という言葉にはとても励まされる。ちょっとABAのことに対しては全部鵜呑みするのは危険かも…と思い始めている。悪い行動の消去とかはいいかもとは思うが。

日本は何かと子供が騒いでいるとすぐ親のしつけが悪いだの、騒いでいるのに親は止めなくて無責任だのと言われて、しつけが厳しすぎるくらいで、成長するにしたがって無気力になるらしい。悪いことをしなくなる。ただし、自発的な行動もしなくなる、という…。なんかあんまり主張しない最近の若者が増えているようなのを見ると、本当にそうなのかも…と思う。周囲から言われてもあんまり気にしないようにしていきたい…。

偏食とは戦わない

自閉症の子はどこかしらの感覚が過敏なことが多くて、服を脱ぎたがったり、食べ物の好き嫌いが激しかったりするらしいのだけれど、うちの子もばっちり当てはまっている。去年の今頃は服を脱ぎまくって本当に大変だったのだが、最近は落ち着いてきている。長袖じゃなくて半袖になったからかな?等と妻と話していたのだが、本を読んだ後に思うのは、どうも感覚が慣れてきたからなのではないか?本の中では、くすぐったり、乾布摩擦をしてあげるのがよいらしい。そういえば、よくカウントダウンをしてくすぐっていたのだが、それがよい影響を与えていたのかもしれない。因みにカウントダウンは、何が起きるのかを予測するようになったり、待てるようになったりするのでよいらしい。うちの子は0になったらくすぐられるのがわかっているから、2秒前くらいから期待してニヤニヤしだしていた。

見出しとは違うことを書いていたけれど、偏食は口の中が過敏な状態ということらしい。そのせいか、うちの子は歯磨きをほとんどしない。しないというかやろうとしても逃げられる。無理やり磨くのは妻と私の二人がかりでも相当大変なことであるし、なにより本人が物凄く嫌がるので、最近はあんまり磨いていない。ここまで書いて、歯磨きは口内の乾布摩擦みたいなものだからいいことなんだろうになぁ…とふと思った。 とにもかくにも、過敏な時期は収まってくるので、なんとか栄養バランスのよい食事を…と粘っても、親は疲れるし子も強要されて消極的になるので実りは少ないから偏食とは戦わないほうが身のため、という紹介がされていた。模倣から入るのがおすすめということなので、楽しそうに、美味しそうに食事を一緒にしていると、だんだん興味を持ち始めるという言葉を信じることとする。

科学を信用しすぎない

科学的なアプローチは大事かもしれないが、ちょっと寄りすぎじゃないか?ということらしい。そもそも、発達障害に関してはまだあまり解明されていない。脳科学の研究でこういうことがあった、としても、症例はそこまで多くはないし、子供ごとの個体差も大きいため、本当に効果的なのか等の判定方法が曖昧だということらしい。あとは、仮説をあたかも科学的な結論として扱うケースがあることが危険であると書いてあった。もしその仮説が間違っていた場合、もうリカバリーできない状態になっているかもしれない。 また、科学を信じようとするあまりに先人たちが蓄積してきた知恵(科学的にはまだ解明されていないが、効果がありそうなもの)をおざなりにする風潮に警告してあった。そこで分断が生じてしまい、知恵が引き継がれずに消失してしまう危険性に言及していた。

自発的な行動を尊重する

本人が自発的に模倣して言語なり行動なりを獲得していくように寄り添ってあげることが大事なのだなということを学んだ。教えてあげようとしても、それはしつけとなってしまい、自発性を奪うことになりかねない。そうなるくらいならば、じっと観察して、本人がやる気のあるときに手伝いをするのがいいのかなと思った。 兄弟げんかや、兄弟の食べ物を勝手に奪ったりすることもあるのだが、以前よりは見守るようにした。泣いた場合は泣いたほうを慰めるようにする。奪うのは食べたいからだろうけれど、大人が無理やり奪い返しても社会性が育つわけではないので、時には喧嘩も必要ということだろうなと思う。

テレビから模倣

本の中では、テレビ番組の模倣をしていたりするようだったので(ひとりでできるもん、とか)、テレビも多少ならよいのだろうか?と思うようになった。以前はテレビ番組を見せると楽なのでよく見せていたが、それが原因で発達遅延になるケースもあると本で読んで、うちもその可能性があるかも…と思ってここ数か月はテレビ自体を全くつけないようにしている。テレビを延々とつけていると、ずっと見てしまって喋ることも動くこともなく見続けてしまうので本当によくなさそう。多少はいいのかもしれない。ちなみにテレビをつけなくなってから、うちの子たちはよく喋るようになったと感じる。まだ単語とかではないけれど。テレビ番組であっても、模倣したくなるようなものがいいんだろうなと思う。

感想

現時点では、他の本で学んだことと総合すると、自発的な行動を伸ばしていく手伝いをするという点でとても共感できた。「言語獲得ができていて他がダメというケースは見当たらないので、まず言語獲得を最優先にしてしつけは殆どしない」というのがよかった。なにしろできないことが多いので、それが気になってしつけようとすればするほど、自分たちも子供もストレスを感じていた。しつけないほうがよいというのが、本当に目から鱗で、最近はもうスプーンを使わずに手掴みでご飯を食べてても、「よく食べるようになったねー」とか「おいしいねー」って話しかけているし、いろんな料理を作ってなんとか野菜を食べさせようとすることも減った。野菜が入っている好きな食べ物の回数を増やすようにした。子供もときどき「おいちー」って言うようになってきた(はっきりではないけど)。

佐久間先生の他の本も読みつつ、この本もまた読み返していこうと思う。