patorashのブログ

方向性はまだない

オープンセミナー岡山2019に参加してきた

6月29日(土)に開催されたオープンセミナー岡山2019に参加してきました。

oso.connpass.com

今年のテーマは「Technology X Society」で、講演タイトルからは技術で社会を良くしていく話、ということかなと考えてました。

当日のツイートはtogetterにまとめられています。毎度毎度ありがとうございます。

togetter.com

講演内容の特徴

今回は講師の方々は経営層寄りの方が多く、本当に興味深いというか心に刺さる話が聞けました。

テクノロジーで社会を変える系

テクノロジーで社会を変えていくという点では、Kyashの中澤 望さんの講演で、Kyashのビジョンや戦略を知ることができました。その中で、「情報、コミュニケーションは進化したが、お金はまだまだ。お金を進化させたい」という話がありました。こういうところでFinTechが熱くなってるんだなというのが伝わってきました。確かにお金のやり取りにはリードタイムといいますか、売上が上がってから実際に支払われるまでにかなりのタイムラグがありますし、手数料も結構取られます。これをKyash払いにすることで、利用者側の都合で売上をすぐKyashとして利用できるのは、コスト的にも体験的にも大きな変化だと思います。クレオフーガがAudioStockの売上をKyash払いで受け取れるようにしたという話がありましたが、これはクリエイターにとっては売上をすぐに受け取れるし、すごく良い試みだと思いました。個別だと大きな売上が立ちにくいマーケットだと、売上を受け取る前に力尽きてしまいそうなので、すぐに売上を受け取られるという成功体験を得やすいというのは、クリエイターのモチベーションアップにもなりそうだなと思いました。

ビズ・クリエイションの初谷 昌彦さんの講演も、住宅業界を変えていきたいという熱意と、戦略が面白かったです。モデルハウスではなく、住宅見学会のスケジュールや場所を見える化して、リアルな家を見学してもらうというのは、家を既に建てている私からすると、「当時あってほしかったなぁ~!」と思いました。モデルハウスの見学や、住宅見学会に行くのって、めちゃくちゃ楽しいんですが、基本的に有名どころのビルダーしか情報が入ってこないので、工務店の情報とかほぼありませんでした。うちも色んな住宅展示場を回ったりしましたが、基本的には大手しかありませんでした。調べるのも労力がかかるので、住宅雑誌を買ったり、サイトから資料取寄せしたり等はしました。資料を読むのも面白いのですが、検索性はありませんし、同じようなことが書いてあるようにも感じ始めるので、実際に見て、説明が丁寧か、とかがやはり大事だなと思います。 うちが建てたところは結構IT化されていたので、やりとりはメール or LINEで、建設中はWebカメラで様子を見たり、途中経過の画像が随時追加されていったりしてよかったのですが、初谷さんの話だとやはり工務店はまだまだIT化されていないということでした。が、それがまた余地があって面白いのだろうなと思います。建設Techも楽しそう! 大手が儲かって下請けが搾取される構造になっているのが課題で、そこに取り組んでいるというのがIT業界にも似たところがあるので共感した人は多かったんじゃないかなと思います。

経営者目線や組織の話系

アイネットの山本 由佳里さんの講演は、起業ではなく父親からの事業継承で社長になったというならではの話だったなと感じました。エンジニア上がりだからこそ感じる違和感や責務を持って、社長業をされているからこその重い言葉や熱い筋の通った信念があり、こういった方が社長でアイネットの社員は幸せだろうなと思いました。 エンジニアの幸せの秘訣についての中で、励ましの言葉になったのは、「アイデアなんてなくてもいいと思おう」でした。アイデア勝負な昨今でろくなアイデアが浮かばない自分はダメなんじゃないだろうか?と割とすぐに考えてしまいがちだけれど、アイデアは地続きでしか出てこないから、出てくるまで気長に待ちながら技術を磨くなりしていればいいかなと思えました。 IT業界に限らない話かもしれないけれど、結構、「呪いの言葉」みたいなものがあって、その呪縛に知らず知らずに囚われてしまって、幸せを感じづらくなっているんじゃないか?と講演を聞いて思いました。経験がないから、年だから、マイナーな言語だから、男だから、女だから…のような言葉。 あと小さい案件から大きな経験を得たというの、めちゃくちゃ同意で、これは個人開発でも言えることなんだけれど、小さい案件で一通りの経験ができるというのは本当に尊いことだと後でわかりました。

ヌーラボの橋本 正徳さんの講演も面白かったです。twitterで質問を集めて途中途中で回答しながら進めていくのはリアルタイム感があってよかったです。ヌーラボの製品はbacklogとcacooは知っていましたが、typetalkは知りませんでした。cacooは時々使っていますが、他は全然使ったことがなく…。 一番大事なことに掲げていたのが「哲学」でした。ビジョンより大事って言われてたけれど、確かにそうだなと思いました。「ツールを導入するということは、そのツールを作っている会社の哲学を導入するのと一緒」というのは、重い言葉だなと思います。安易に値段を基準にしてツールを導入してしまうと、その哲学に引っ張られてしまうこともあるだろうな、と思います。個人で色々ツールを探していて、そのときに感じていたものを言葉にしてもらえたなと思いました。 組織設計が主な話題だったと思いますが、自分的にはアンガーマネジメント研修いいなぁ…と思いました。 個人的には怒ってるまでいってないんだけれど声がでかくなるみたいで怒ってると思われてしまうことがあり、気を付けているんだけれどずっとそのイメージが残っているのか最近でも延々とそのことを指摘されることがあってもう正直ウンザリしているんですが、延々と言われるくらいなら研修受けてみたいなぁと強く思いました。指摘されるだけだと、個人で気を付けてるつもりでも、別にそれからフィードバックをくれるわけでもないし…。 そういえばリーナスもそういう研修受けたという話だし、アンガーマネジメント、効果絶大なのでは…。

翔泳社の岩切 晃子さんの講演は、手書きスライドでOHPを思い出しました。講演内容は「全ては未来会議から始まった」というタイトルで、組織パターンという書籍のワークショップに参加して、それを仕事にも使ったという話だったのですが、講演中に気持ちが昂ってしまうほど、壮絶であり、しかしとても大勢の良い仲間に協力していただいて成し得たのだなと思います。生の講演ならではのことでオフレコだけれど貴重な体験を沢山話していただけて、とても感銘を受けました。心理的安全の確保や、小さくてもいいから成功体験を早く作ることなど、ノウハウもありつつの素晴らしいお話でした。

スーパーマン

高野さんの講演「ひとりでできるもん!」は、かけなびさんが「あなたしかできないでしょ!」と言ってたけれど、超すごかったです。バスの運行システムを1人で作成して全国から声がかかるようになってて、またそのシステムがめちゃくちゃ良くできていてコストも安い…。ゲーム作りから様々なノウハウを得て、絵も音楽も動画もシステム開発も全部1人でやってしまうというのはほんまにスーパーマンだなと思います。え、音楽も!?って思いましたもん。それがまさかの、バンドをやっていたから音楽も作れたというエピソード、そして、実は調理師免許も持っているとか…。 1人でできるメリット、デメリットのところで、「人を使うのが苦手だから。そして絶対にブラック企業になる」というふうに語っておられたので、これが正解なのだろうなと思いました。特異だけれど、こういうケースもあるのだろうと。 なんていうか、技術トレンドの選択が~とかよりも、やってみてからでいいじゃん、という気持ちになりました。もっと頑張らんと!という勇気をいただけました。

全体を通して

普段なかなか聞けない話を聞く機会を得られて本当によかったです。OSO最高!阿部さんすごいなー!と思いました。 また、旅するagile本箱という展示があり、休憩時間にパラパラと読んだのですが、気になる本があったので、また注文して読んでみようと思います。

実行委員の皆様、お疲れさまでした。ありがとうございました。