- 作者: 田宮直人,西山悠太朗,パブリック・ブレイン
- 出版社/メーカー: 土日出版
- 発売日: 2019/07/08
- メディア: 単行本
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前回の記事はこちら。
今回は6章の最初から。なお、情報処理試験前ということで、お休みの人が多かった😇
リスクとリターンを意識する
リスクとリターンの関係などを、テトリスの例を取って説明してあった。テトリスは積み上げ過ぎたら負けだが、一気に消せれば高得点が狙える。積み上げれば積み上げるほど高得点が狙えるが、消せないでゲームオーバーになる可能性も高い。
大きなリスクを取って大きなリターンを得ることが爽快感に繋がる。本から引用すると、
ゲーム性 リスクを取ってリターンを得る楽しさ
攻略 リスクを抑えてリターンを得る工夫
とある。仕事はリスクを抑えてリターンを得る攻略を追求するべき。今まで学んできた分析や戦略の策定手法は、リスクを抑えるためのアプローチであったのだ!
立場によってリスクとリターンの扱いが異なる
1位と2位では、リスクとリターンによって得られるものが違う。1位の人は2位に抜かれないように振舞えば順位を落とさなくて済むので、リスクを減らして安全にする。2位の人は大きな得点を取らないと1位になれないので、リスクを取って大技を狙う。アイススケートとかだと、よくあるかなと思う。1位は大技を入れずにノーミス狙いでいくけれど、2位は4回転を多く入れていこうとするとか。
現状の立ち位置を理解する
リーダーとフォロワー、そしてフォロワーをさらに細分化した説明があった。
リーダーの戦略
リーダーの戦略はフォロワーを抑えつつシェアの拡大・維持をすること。新たなものが出てきたら、ブランド力・資金力・技術力で同質化戦略を取って後続を抑えこんだり、後れを取り戻す。
後続の戦略
後続企業のすることとしては、リーダーと同じことをしても負けてしまうので、
- 差別化戦略
- 集中戦略
- 市場を変化させる
ということをする。リーダーが簡単に真似できないことをやらなければならない。
チャレンジャー・フォロワー・ニッチャーの話のところで、あまりにニッチすぎてもダメっていう話があった。様々な企業が小さなSNSを立ち上げたのところは身に覚えがありすぎる…。SNSのmixiが全盛だった頃に、前の会社で上司が音楽SNSを作ると言って運用していたみたいだったが、たしかユーザーが200人も集まらず過疎っていて更新もされないので更に過疎に…という感じだったのを覚えている。結局あれは集客もできずにメンテコストだけがかかったと記憶している。思い付きで作っただけで、戦略の策定や分析など、全く行っていなかったんじゃないかと思う。
ちなみに当時はエンジニア向けSNSがあったので私も登録していたが、mixiのエンジニアコミュニティのほうが優勢でだんだん見なくなった。そちらは比較的集客を頑張ったりしていたと思うが、それでも成立させるのは難しそうだった。
リーダーに勝つために「競争のルールを変える」
逆転の競争戦略[第4版]の著者の山田英夫氏の理論が紹介されていた。リーダーが嫌がる戦略を立てるわけだ。
- 同質化したくてもできない状況(Can't)
- 同質化できるがしたくない状況(Won't)
そして、企業資産または市場資産を攻める。
企業資産は、リーダー企業の保有する資産を負債化させるような戦略で、全国に配置された営業スタッフが逆にコストになるように仕向けるなどの例があった。
市場資産の例では、スーパーファミコンが優勢だったころに、プレイステーションやセガサターンという異なるハードウェアを投入してスーパーファミコンのソフトを活かせないようにして、競争力を下げるなど。
論理の自縛化は面白かった。これまでリーダー企業が発してきたキャッチフレーズ・キャッチコピーに対して矛盾する製品を後続企業が出した場合、同質化戦略を取れないということだった。もし同質化戦略をとれば、キャッチコピーと矛盾しているため、企業のイメージダウンにつながりかねない。特保コカ・コーラの例は読書会参加者にウケていた。
事業の共喰化もまた面白かった。掲載課金型広告が成果報酬型広告に押されてきても、安易に同質化戦略がとりづらいという話だった。成果報酬型にしてしまうと、売上が下がる懸念があるので切り替えにくいのだが、その間に成果報酬型の後続企業がシェアを伸ばすことができたとあった。
状況に応じた戦略を立てる
プロダクトライフサイクルの話があった。導入期・成長期・成熟期・衰退期の話だ。この中で、プロダクトではなく企業内部においても起きる変革についての説明があったが、そこは涙なしでは読めないというメンバーがいた。
成長期
仮に採用が進んだとしても別の問題が発生する。(略)そのため慌てて評価制度や人事制度などを作ることになるが、ここでの合意形成は決して楽ではない。
(略)
専門的な知識を保有する人から見ると既存のプログラムは突貫工事に近い形で作ったプログラムのため、効率の悪いプログラムになっていることがある。そのため、新たに参画した技術力の高いメンバーが作り直す。そうなると今まで広く浅くなんとかプロジェクトを形にした人の居場所が狭くなり、適性があろうがなかろうがマネジメントの役割を与えられ現場を離れるケースもある。
雑談で、「あれ?これって弊社のこと?」とか冗談交じりで言っていた。
成熟期
従来は多少の不具合やWebサイトの停止は進歩のため仕方がないと割り切っていたものが、サイトの停止による売上の減少や信頼の失墜を恐れ、安全な運用が求められる。大きなチャレンジがやりにくくなるのがこのフェーズだ。そのため、今までのクリエイティブさ、イノベーター魂が若干薄まり面白みをあまり感じなくなる人も出てくる。
雑談で、「あれ?これって弊社のこと?」と(略
競合から顧客を守る
競合から顧客を守るためのスイッチングコストをどのようにして高めるか、という話だった。顧客は商品の品質や価格だけで判断しているわけではない。新しく操作を覚えなければならないとか、操作法を関係者に周知しなければならないとか、過去のデータが使えなくなるかも、等を気にするとなかなか新しいものに切り替えにくい。
逆に、他所からのデータ移行に対応する等によって競合のスイッチングコストを下げることもできる。
雑談では、ブログの移行のスイッチングコストとかありますね、という話をした。はてなブログでは、WordPress形式のバックアップデータを取り込めるようにしてあるので、WordPressからのスイッチングコストは低い。その後は、自社製品ではどうか?等の話で盛り上がった。
立ち向かうべき課題が適切か確認する
信長の野望の話が出てきた。自国や他国の状況を見て、攻めるところを決めたりするように、ビジネスにおいても状況を見定めて判断しなければならないが、ビジネスにおいてはゲームほど単純に数値化できない。検討材料に使う1つが6Rである。
- 有効な市場規模
- 競合状況
- 成長性
- 到達可能性
- 顧客の優先順位/波及効果
- 反応の測定可能性
これらを複合的に検討する必要がある。
検討した結果、6Rを満たすことができなかった場合、参入を見送るよりも、どうすればその障壁を乗り越えられるかを考えることが重要になる。それが乗り越えられれば、他所からの参入障壁を高めることができる。
市場規模が分からない場合は4Pではなく4C
まだこの世に同様の製品・サービスがない場合は4Cで考える。よく例で使う、馬車(プロダクト)ではなく速く移動する(用事)ことにお金を払っているのがでてきた。これならば、自動車(プロダクト)がまだ世の中になかったとしても市場規模を算出することが可能。安価になれば、今まで馬車が高くて手が出せなかった人たちも、自動車なら手を出すかもしれないので、市場規模が大きくなる。
グロースハック
再来訪、再購入、紹介というサイクルを作る仕事をグロースハックという。なんとなく言葉は知っていたが、このあたりはまだちゃんと理解できていなかったかもしれない。例では、ティザーサイト活用型と、インセンティブ方式型の紹介があった。
ティザーサイト活用型だと、最近はクラウドファンディングや、何人以上が購入するんだったら作ります、のようなのがある。peaks等、本の執筆のとかでそういうのがありますよという話をした。あとは本で登場したドロップボックスのやつはよくできてるよねーという話をした。
今回は参加者は少なかったが、その分雑談とかはまぁまぁ盛り上がった。若者はどういうゲームをするのか?とか。ファミコンをやったことないという人もいたので(スーファミはある)、ジェネレーションギャップが凄かった。なお、私は兄弟で戦国時代が好きだったので信長の野望はよくやってた。ゲーム開始と同時に謀反で滅んだりとか、よくしていたものだ…。