patorashのブログ

方向性はまだない

オープンセミナー岡山2020に参加した

オープンセミナー岡山2020は新型コロナウィルスの影響で延期となり、2021年になってしまいましたが、オンライン開催ということになっていました。運営委員会の皆様、ありがとうございます。

oso.connpass.com

今年のテーマは「エンジニアリング x ○○(なんか)」ということで、異業種とのコラボ話のような感じかな?と思っていたのですが、もっとエンジニアリングした話でめっちゃよかったです。まさに、○○(なんか)の部分が様々で、枠にとらわれないセッションの数々でした。

今年はオンライン開催ということもあり、セッションの動画も公開されています。気になる方はセッションの動画を見ながらトゥギャッターを見るのがお薦めです。

togetter.com

講演内容の特徴

今回のオープンセミナーの講演は、全体的に「どう課題と向き合うか」というテーマになっていたかと思います。エンジニアリングで課題を解決していくので、必然的にそうなったという感じではあります。

エンジニアリング、上から見るか、下から見るか、それとも中から見るか

上から見る(トップダウン

今回は経営者としてのセッションは藤田さんの「エンジニアリング x 家業」のみかなと思いますが、その経営課題をエンジニアリングと経営者としてのトップダウンでスピード感を持って対処していったのが面白かったです。経営の課題である

  1. 新規開拓(営業)
  2. 利益率の改善(商品開発)
  3. 外的要因による売上減(コロナショック)

について、どうエンジニアリングしていったかは、経営のヒントが詰まっています。他所でやっていることを取り込むのはよくある手ではありますが、それを改善するサイクルを早く回すことができるのは、経営者がITに強いという点だと思いました。

また、藤田さんもまた、藤田さんのお父さんとは違う形ですが、エンジニアリングから縁から縁が生まれ、その縁から事業が生まれていくというのを見ると、やはり縁が大事。そして困っていることに相談に乗ると縁が生まれていくのだなぁと感じました。

下から見る(ボトムアップ

はてなの吉田さんの「エンジニアリング x データ活用」と前田さんの「医療現場で働くシステム担当者として伝えたいこと」は内容が非常にリンクしていました。

現場を尊重しつつ、いかに課題に気付いてもらうか、現場の人たち自身でエンジニアリングできるように導くか(お手伝いするか)が、ボトムアップで重要なことだなぁと改めて思いました。

現地・現場にはデータではわからないことがたくさんあるし、かといってデータがなければ検証できない…。まさにそうなのですが、自分がそれをできているかというと、まだまだ全然足りないなぁと思わされました。特にログの収集とか。ログ設計などについても勉強していかなければと強く思いましたし、蓄積しても活用されなければただのゴミになってしまうというのも、本当にそうなので、現場にいかによい形でフィードバックを返して、モチベーションを高めていくかが重要だなと感じました。

前田さんのスライドの中にでてきた「大切なこと」は印刷してノートに貼り付けておきたい…。現時点で動画は公開されているけれど、スライドがアップされていなかったので、アップしてもらいたいです。そして印刷したい。

エンジニアだと、ゴールが見えてしまうとすぐにそこに持っていきたくなるけれど、そこは現場との調整が必要だし、今困っていない人たちにいきなりゴールの説明をしても響かない。戦略性をもって、如何に課題に気付いてもらうか、ということをセッション後のやりとりで言われてたけれど、それってめちゃくちゃ時間のかかること。そこを丁寧すぎるくらい伴走するって言われていたけれど、これは新人育成でも同じだろうなと思えたので、今後に活かしていこうと思います。

中から見る

末田さんの発表の「フォーク、ナイフ、ものづくり」は、エンジニアリングとは?を問う内容でした。

ITはトレンドが発生しやすく、しかも短命であったり、似たような技術スタック同士で争っていたり(いい表現だと切磋琢磨しているとも言える)するので、そのトレンドに振り回されない振舞い方として、まず俯瞰的に捉えるというのは大事だなと再認識しました。 鳥の目(俯瞰的に見る)、虫の目(近くで多様な視点で見る)、魚の目(トレンドを見る)という比喩がぴったりだなと思いました。

最近は近視眼的になりがちだったので、自分を顧みたくなるとてもよいセッションでした。なぜこの技術は生まれたか?以前はどうやっていたか?を遡って、なぜ最先端のこれに優位性があるのか?まで調べていくのは、大変そうだけれど、知的欲求を満たせて楽しそうです。

GMOペパボの田中さんの発表からは、SUZURIのこだわりが伝わってきました。物販サービスの中からの、こだわりポイントの披露なので、セッションを見ていて楽しく、すごい!と思うところが多々ありました。服のしわの歪み方とか、ステッカーを貼ったシーンを想像させるとか、もう既に物が出来上がっているようなワクワクがあるなと思いました。SUZURIで商品を買ったことは、RubyKaigi2020 TakeOutのTシャツを買った時くらいかもしれません。しかし気になって見てみると、さまざまなクリエイターさんとコラボしていて、見ているだけでも楽しいですね。

suzuri.jp

ヨシオリさんのセッションは、最先端のリモートワーク事情という感じで、すごかったです。会社がそもそもリモート前提の組織で、非同期コミュニケーション前提でドキュメント化が徹底されているところが凄かったのですが、やはりそのバックボーンとなる組織の文化を醸成していくための方針が凄かったです。それぞれの役割の明確化と責任の明確化をはっきりしていること。これがしっかりしている組織はスピード感もあるし、尊重しあえるのだろうなと思います。

ドキュメントのツールがアトラシアンのツールを使われているという話で、創業者が元アトラシアンの方という話だったのですが、前回のオープンセミナー岡山2019で聞いたヌーラボの橋本さんが言われていた「ツールを導入するということは、そのツールを作っている会社の哲学を導入するのと一緒」というのを思い出しました。ちゃんとアトラシアンの哲学を適用できれば、めちゃくちゃいいということなのだろうか…。

patorash.hatenablog.com

Confluenceの評価が180度変わったという話だったので、アトラシアン製品の哲学についても調べてみたいと思いました。随所で出てくるキーワードは、アトラシアン由来のようでした。DACIとか。

www.atlassian.com

通しての感想

課題を解決することの楽しさと共に、課題を設定することの難しさ、巻き込むことの難しさ、しかし、巻き込めた時にこそ効果が最大化できて、エンジニアリングの可能性は無限大だなぁと感じました。エンジニアリングの力を改めて感じることができて、来週からも頑張ろう!という気持ちになれました。多分、参加された皆さんがモチベーションかなりアップしたんじゃないかと思います。

素晴らしいオープンセミナー岡山でした。実行委員長の id:a-know さん、ありがとうございました。そして、お疲れ様でした。実行委員の皆様もありがとうございました。