- 作者: メンタリストDaiGo
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2018/09/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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倒れない計画術というタイトルに惹かれて買った。よくよく計画倒れになってしまう自分には学びが多そうだと思った。いつも通りマインドマップにまとめたが、相変わらずすごい量になってしまう。マインドマップの書き方の本もそういえば積ん読にあったな…。あれも読まないと…。
この本はメンタリストのDaiGoさんの本で、氏の本は初めて買ったのだけれど、科学的・論理的でソースも豊富に紹介されていて非常に好感がもてた。
段取り力を上げていこう!というのがテーマ。「はじめに」で、DaiGoさんは旅行にいくとき用のカバンに事前に準備した状態で置いておくことで、旅行の準備を大幅に短縮。持っていくものリストを持ちながら6時間かかっていたのが、1分になったらしい。しかしそのための準備のためのカバンの選定のため、カバンを20個買って試して…として今の状態にたどり着いたらしい。段取りの改善のためのお金・手間・時間の投資は惜しまないという。段取りの醍醐味は改善にあるという話もあった。
計画にまつわる誤解
最初に、計画倒れになる原因を認識しておく必要があるということで、紹介されていた。
- モノサシがないまま動き出す
- あれもこれもできると思い込む
- 挫折を計画していない
ざっくりいうと、普段の自分のパフォーマンスを計測しとけ、マルチタスクするな、計画外のことが起きることを考慮にいれとけ、ということだったが、そのあたりについても科学的アプローチがある。
シングルタスクにせよ
マルチタスクは弊害が多く、作業効率の低下、作業時間が長くなる、作業ミスが発生しやすくなる、とデメリットだらけ。しかし、忙しそうにしているから「仕事をしている充実感」だけはある。そのため、生産性は低いのに満足感が高いということになってしまう。
そうではなく、シングルタスクにして1つのことに集中して、終わらせて次のタスクへ、次のタスクへ…とこなしたほうが、生産性が高い。そして、計測しておけば充実感も得られる。
タスクフォーカス
タスクフォーカスというのが紹介されていた。これは、15分刻みでタスクを行い3〜5分休憩する、を繰り返すものだった。1時間で3タスクこなすという感じだ。読みながら、これってポモドーロテクニックじゃんと思った。ポモドーロテクニックに関しては別の本があって、6年前くらいに読んで、昔のブログに書いてた。
本はこちら。
- 作者: Staffan Noeteberg,渋川よしき,渋川あき
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2010/12/16
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タスクフォーカスのいいところは、時間を短くとることで集中力が続くこと。そして人間の集中力が持つのは1日4時間程度らしいので、集中力があるうちにクリエイティブなことを行い、集中力が切れてきたら単純作業に移行するといいと紹介されていた。
人はどうすれば上手くいくかばかり考える
段取りを立てる時に、どうすれば上手くいくかばかりを考えるため、不測の事態が発生したらモチベーションが一気に下がってしまい、どうにでもなれ効果が発動してしまう。
段取りの中に最初から失敗・挫折・計画外のことが起きることを織り込んでおくことが勧められていた。
ここでは「確証バイアス」について触れられていた。「こうあってほしい結論」を決めつけて、それをサポートする情報のみ集めるようになり、合致しないものは無視する傾向のことをいうらしい。たしかにそういうのはあるかも…。理由から結論を導くのではなく、結論から理由を探すような形になっていて、合致しないものを外すため、その事態になったら計画が崩れてしまう。
どちらの情報も集めて客観視できるように努めなければならない。
MACの原則
2章はすごく参考になった。MACの原則と、疑問型セルフトークだ。
計画はゴール設定がすごく大事で、ゴール設定がダメだと「どうにでもなれ効果」が発動するか、満足する結果が得られない。
そこで、MACの原則に則ってゴールを設定する。MACは以下の通り。
M・・・Measurable(測定可能性) A・・・Actionable(行動可能性) C・・・Competent(適格性)
Measurableは数字として測定可能であること。Actionableはゴールにたどり着くまでのプロセスを明確に書き出せること。Competentはゴールを達成することが自分の価値観に合っていること。これらを全て満たしていなければ、計画を実行するのは困難であり、1つも欠けてはならない。Actionableがないと、机上の空論となる。コンピテントのみだと理想論となる。
疑問型セルフトークでMACの原則をサポート
ここがすごく腑に落ちてよかった。ポジティブ思考の害について書かれていた。
以前に読んだ本の知識では、ポジティブ思考になって目標を達成することについて考えたら、脳は想像と現実の区別がつかないから達成したものとして、恒常性(ホメオスタシス)によって自動的にそこのレベルまで引き上げられるように働くという話だった。が、なんか納得いっていなかった。しかしそれもまた「自分がポジティブ思考で信じきれていないのがいけないのかな…?」というネガティブなのかポジティブなのかわからん感じになっていた。
ここで、ポジティブ思考で脳が想像と現実の区別がつかないので「目標をやり遂げた」と勘違いして、満足感を得てしまって行動を起こす前にモチベーションが下がって計画が失敗するという説明があった。読んでいて本当にここに救われた。
「自分はできる!」ではなく、「自分はできるのか?」という疑問形で働きかけることによって、脳が目標を現実的なものとして考え始めるらしい。質問の形式は5つあるのだけれど、それは本を読んでほしい。これをしていくことで、MACの原則に則った目標が出来上がる。
ちなみになぜMACの原則に則っていたほうがいいかというと、人間は感情に左右されるの生き物なので、Competent(適格性)を満たしていることを確認していないと、都度「本当にやりたいことなの?」という確認が入ってしまうため。
計画通りに進めるためのテクニック
日本人は、段取りに力を入れるのが合っている。理由は、国民の98%がネガティブで、それが遺伝子レベルで決定しているから(もちろんそうでない人もいるが少数派)。ネガティブなのは、悪いことではない。人の気持ちを配慮するから信頼感を得やすい、不安でよく勉強するから記憶力がいいなど。自分がどっちのタイプかを理解した上で、とるべき戦略が決まる。
ポジティブ派は、トライアンドエラーを繰り返せばいい(傷つきにくいから)。 ネガティブ派は、事前準備を心がけて入念に段取りするほうが上手くいく。無理にポジティブになろうとしてトライアンドエラーをしようとすると傷ついて、どうにでもなれ効果が発動する。
段取りを決めていくための7つのテクニックが紹介されていたが、これはと思ったのはif-thenプランニング。 Aをやる、とだけ決めていたら、Aができなくなった時に挫折するので、Aができる場合はAを行う。Aができない場合はBを行うと決めておいて、ゴールへ近づくのを止めないというテクニックだった。例えば、マラソンで完走するという目標を立てていて、朝に走るというアクションを決めていたとする。しかし雨が降っていて走れなくなった。こういう場合のために、事前に決めておくということで挫折を起きにくくする。もし雨が降っていたら(if)、筋トレを行う(then)のようにする。
あとは後方プランニングもあったが、これはよく聞くゴールから逆算して計画を立てるというテクニック。これも、後方で起きそうなトラブルを予想して先に手を打つことができる点と、前倒しでタスクをこなしていこうという心理になる点が有効だと思った。また、バックアッププランという考え方もよかった。
それと、行動の細分化。アクションの定義として、「本を30分読む」ではなかなか読まない。
- 朝起きたら机に移動して本を開く。
- 30分間本を読み続ける。
- 終わる頃には読み終わっている。
というように、細分化して、行動に迷いが生じる隙をなくす。
これは他の本でも読んだことがあったが、それはマニュアルを徹底するための本だったと思う。ウェイターの仕事で、「グラスを綺麗にする」だと人によって綺麗の基準が違うからバラバラになるので
- グラスを持ってタオルで拭く。
- グラスに水滴が残っていないか確認する。
- 水滴が残っていたら拭き取る。
- グラスを逆さまにして整列する。
くらいまで書いておくというやつだったと思う。こうすることで、どんな行動か想像できるようになり、やりやすくなるという。
計画倒れを招く落とし穴やQ&A
具体的なQ&Aや、計画倒れあるあるとその対処法について記載されていて、これも参考になった。特に、「効果のない段取り」を採用していないか?というものがグサッときた。自分自身、よく本を読んで人の成功体験から参考にしようと思うことがあるのだが、それは生存バイアスがかかっていて、当人が強く記憶に残っていることが効果があったと思い込んでいて薦めてくるが、実際には効果と関係がないものがあったりするらしい。なので、それを客観的に評価できるような情報を集めて確証を持たせることが大事である。
あとは自分がよくハマるのが、長期的な計画が立てられていないこと…。結果、短期的な計画ばかりを実行して満足し、人生を豊かにするための長期的な目標を達成する行動ができていない。自分の弱点がどんどんさられ出されるような感じで「すいません、すいません」という気持ちになってくるが、やはり長期的な計画は大事なのだなと改めて実感した。
昔にやりたいことリストを作っていたことがあったのだが、あんまり手付かずのままなので、それらをMACの原則に従って取捨選択して、中長期的な目標として定義していこうと思った。いい本だったので、この本のノウハウに従って倒れない計画を作っていきたい。