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方向性はまだない

仕事の説明書読書会6回目のまとめ

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

前回の記事はこちら。

patorash.hatenablog.com

今回は6章の最初から。なお、情報処理試験前ということで、お休みの人が多かった😇

リスクとリターンを意識する

リスクとリターンの関係などを、テトリスの例を取って説明してあった。テトリスは積み上げ過ぎたら負けだが、一気に消せれば高得点が狙える。積み上げれば積み上げるほど高得点が狙えるが、消せないでゲームオーバーになる可能性も高い。

大きなリスクを取って大きなリターンを得ることが爽快感に繋がる。本から引用すると、

ゲーム性 リスクを取ってリターンを得る楽しさ
攻略   リスクを抑えてリターンを得る工夫

とある。仕事はリスクを抑えてリターンを得る攻略を追求するべき。今まで学んできた分析や戦略の策定手法は、リスクを抑えるためのアプローチであったのだ!

立場によってリスクとリターンの扱いが異なる

1位と2位では、リスクとリターンによって得られるものが違う。1位の人は2位に抜かれないように振舞えば順位を落とさなくて済むので、リスクを減らして安全にする。2位の人は大きな得点を取らないと1位になれないので、リスクを取って大技を狙う。アイススケートとかだと、よくあるかなと思う。1位は大技を入れずにノーミス狙いでいくけれど、2位は4回転を多く入れていこうとするとか。

現状の立ち位置を理解する

リーダーとフォロワー、そしてフォロワーをさらに細分化した説明があった。

リーダーの戦略

リーダーの戦略はフォロワーを抑えつつシェアの拡大・維持をすること。新たなものが出てきたら、ブランド力・資金力・技術力で同質化戦略を取って後続を抑えこんだり、後れを取り戻す。

後続の戦略

後続企業のすることとしては、リーダーと同じことをしても負けてしまうので、

ということをする。リーダーが簡単に真似できないことをやらなければならない。

チャレンジャー・フォロワー・ニッチャーの話のところで、あまりにニッチすぎてもダメっていう話があった。様々な企業が小さなSNSを立ち上げたのところは身に覚えがありすぎる…。SNSmixiが全盛だった頃に、前の会社で上司が音楽SNSを作ると言って運用していたみたいだったが、たしかユーザーが200人も集まらず過疎っていて更新もされないので更に過疎に…という感じだったのを覚えている。結局あれは集客もできずにメンテコストだけがかかったと記憶している。思い付きで作っただけで、戦略の策定や分析など、全く行っていなかったんじゃないかと思う。

ちなみに当時はエンジニア向けSNSがあったので私も登録していたが、mixiのエンジニアコミュニティのほうが優勢でだんだん見なくなった。そちらは比較的集客を頑張ったりしていたと思うが、それでも成立させるのは難しそうだった。

リーダーに勝つために「競争のルールを変える」

逆転の競争戦略[第4版]の著者の山田英夫氏の理論が紹介されていた。リーダーが嫌がる戦略を立てるわけだ。

  • 同質化したくてもできない状況(Can't)
  • 同質化できるがしたくない状況(Won't)

そして、企業資産または市場資産を攻める。

企業資産は、リーダー企業の保有する資産を負債化させるような戦略で、全国に配置された営業スタッフが逆にコストになるように仕向けるなどの例があった。
市場資産の例では、スーパーファミコンが優勢だったころに、プレイステーションセガサターンという異なるハードウェアを投入してスーパーファミコンのソフトを活かせないようにして、競争力を下げるなど。

論理の自縛化は面白かった。これまでリーダー企業が発してきたキャッチフレーズ・キャッチコピーに対して矛盾する製品を後続企業が出した場合、同質化戦略を取れないということだった。もし同質化戦略をとれば、キャッチコピーと矛盾しているため、企業のイメージダウンにつながりかねない。特保コカ・コーラの例は読書会参加者にウケていた。

事業の共喰化もまた面白かった。掲載課金型広告が成果報酬型広告に押されてきても、安易に同質化戦略がとりづらいという話だった。成果報酬型にしてしまうと、売上が下がる懸念があるので切り替えにくいのだが、その間に成果報酬型の後続企業がシェアを伸ばすことができたとあった。

状況に応じた戦略を立てる

プロダクトライフサイクルの話があった。導入期・成長期・成熟期・衰退期の話だ。この中で、プロダクトではなく企業内部においても起きる変革についての説明があったが、そこは涙なしでは読めないというメンバーがいた。

成長期

仮に採用が進んだとしても別の問題が発生する。(略)そのため慌てて評価制度や人事制度などを作ることになるが、ここでの合意形成は決して楽ではない。
(略)
専門的な知識を保有する人から見ると既存のプログラムは突貫工事に近い形で作ったプログラムのため、効率の悪いプログラムになっていることがある。そのため、新たに参画した技術力の高いメンバーが作り直す。そうなると今まで広く浅くなんとかプロジェクトを形にした人の居場所が狭くなり、適性があろうがなかろうがマネジメントの役割を与えられ現場を離れるケースもある。

雑談で、「あれ?これって弊社のこと?」とか冗談交じりで言っていた。

成熟期

従来は多少の不具合やWebサイトの停止は進歩のため仕方がないと割り切っていたものが、サイトの停止による売上の減少や信頼の失墜を恐れ、安全な運用が求められる。大きなチャレンジがやりにくくなるのがこのフェーズだ。そのため、今までのクリエイティブさ、イノベーター魂が若干薄まり面白みをあまり感じなくなる人も出てくる。

雑談で、「あれ?これって弊社のこと?」と(略

競合から顧客を守る

競合から顧客を守るためのスイッチングコストをどのようにして高めるか、という話だった。顧客は商品の品質や価格だけで判断しているわけではない。新しく操作を覚えなければならないとか、操作法を関係者に周知しなければならないとか、過去のデータが使えなくなるかも、等を気にするとなかなか新しいものに切り替えにくい。

逆に、他所からのデータ移行に対応する等によって競合のスイッチングコストを下げることもできる。

雑談では、ブログの移行のスイッチングコストとかありますね、という話をした。はてなブログでは、WordPress形式のバックアップデータを取り込めるようにしてあるので、WordPressからのスイッチングコストは低い。その後は、自社製品ではどうか?等の話で盛り上がった。

立ち向かうべき課題が適切か確認する

信長の野望の話が出てきた。自国や他国の状況を見て、攻めるところを決めたりするように、ビジネスにおいても状況を見定めて判断しなければならないが、ビジネスにおいてはゲームほど単純に数値化できない。検討材料に使う1つが6Rである。

  1. 有効な市場規模
  2. 競合状況
  3. 成長性
  4. 到達可能性
  5. 顧客の優先順位/波及効果
  6. 反応の測定可能性

これらを複合的に検討する必要がある。

検討した結果、6Rを満たすことができなかった場合、参入を見送るよりも、どうすればその障壁を乗り越えられるかを考えることが重要になる。それが乗り越えられれば、他所からの参入障壁を高めることができる。

市場規模が分からない場合は4Pではなく4C

まだこの世に同様の製品・サービスがない場合は4Cで考える。よく例で使う、馬車(プロダクト)ではなく速く移動する(用事)ことにお金を払っているのがでてきた。これならば、自動車(プロダクト)がまだ世の中になかったとしても市場規模を算出することが可能。安価になれば、今まで馬車が高くて手が出せなかった人たちも、自動車なら手を出すかもしれないので、市場規模が大きくなる。

グロースハック

再来訪、再購入、紹介というサイクルを作る仕事をグロースハックという。なんとなく言葉は知っていたが、このあたりはまだちゃんと理解できていなかったかもしれない。例では、ティザーサイト活用型と、インセンティブ方式型の紹介があった。

ティザーサイト活用型だと、最近はクラウドファンディングや、何人以上が購入するんだったら作ります、のようなのがある。peaks等、本の執筆のとかでそういうのがありますよという話をした。あとは本で登場したドロップボックスのやつはよくできてるよねーという話をした。

今回は参加者は少なかったが、その分雑談とかはまぁまぁ盛り上がった。若者はどういうゲームをするのか?とか。ファミコンをやったことないという人もいたので(スーファミはある)、ジェネレーションギャップが凄かった。なお、私は兄弟で戦国時代が好きだったので信長の野望はよくやってた。ゲーム開始と同時に謀反で滅んだりとか、よくしていたものだ…。

発達障害児の言語獲得を読んで

発達障害児の言語獲得―応用行動分析的支援(フリーオペラント法)

発達障害児の言語獲得―応用行動分析的支援(フリーオペラント法)

うちの長男が発達障害でまだ話すことができないため、なにかしらのヒントがないか?と思って買ってみた。なお、読んだ際にわかったのだが、著者の佐久間先生が先に出している本を先に読んでおいたほうが良さそうではあった。

広汎性発達障害児への応用行動分析(フリーオペラント法)

広汎性発達障害児への応用行動分析(フリーオペラント法)

広汎性発達障害児への応用行動分析(フリーオペラント法)に関しては、Amazonで注文していて、まだ届いていないので届き次第読んでいこうと思う。

本の概要

この本は、重度の自閉症のあいちゃん(仮名)がセラピーを通じて徐々に発話していく過程が描かれていた。もちろん、セラピーだけではダメで、家でのあいちゃんへの接し方などの指導も入っていた。フリーオペラント法の基本は、大人が子供の言動を模倣してあげること。大人が子供の模倣をする→大人が反応してくれていることを認識する→もっと反応してほしくなるので、大人の真似をし始める、ということのようだ。

本を読んで学んだこと

私がかなり思い悩んでいたことなどについて、肩の荷が軽くなるようなことが多く書かれていたので、それについて書いておく。

しつけは不要

まずはこれが一番驚いた。発達障害の子はそもそもしつけがし辛いのだけれど、他の本の影響もあって、根気よくやっていかなければならない、と思っていた。ところが、佐久間先生はしつけは不要だという。それは何故か?しつけは大人が子供にこうあってありたいという思いを強制するものであるため、まだ理解できない子供の自発的な行動を抑制してしまうことになる。 健常児であれば、言葉が理解できるようになっているため、徐々にその場にふさわしい行動を教えていくこともできるが、言語が理解できない状態の発達障害児の場合はますます行動に抑制がかかり、話せなくなるとのこと。これを読んで、あまりキツイしつけはやめようと思った。

応用行動分析の本はABAの本なども読んだが、お菓子などを使って、よい行動を強化するという話があったりもしたのだが、それについても本書では懐疑的な感じで書いてあった。それもしつけの一種であり、できるように誘導しているからなのだろうか?本の中では、正しい行動ができるようにはなっていたが、当の本人はビクビクしていてちっとも楽しそうではない、と書いてあってショックだった。同じ応用行動分析でも違うのだなと感じた。ABAの本では、「『周囲からは動物の調教みたいでかわいそう』と言われるが、本当にかわいそうなのはちゃんとした行動ができないまま放置されることではないか?」と書かれていて、私もそれには非常に共感していた。発達障害の話だとヘレン・ケラーの教育を行ったサリバン先生の話がよく出てくるのだけれど、サリバン先生のように、その子のために根気よく行うことが大事と書かれていて、「厳しくても子供のため…」と思うようなときもあったのだが、本書では「みんながサリバン先生になってしまったら、子供は誰に甘えられるのか?心を許せるのか?」みたいなことが書かれていてハッとした。

フリーオペラント法は、子供の自発性を伸ばして、興味を広げていき、言語獲得や社会性の習得をしていくという哲学であるため、自発性を伸ばすためならしつけをしなくてもいいということだった。なので、遊びの片付けもしなくてもいいし、食べ物を食べるときも手掴みでいい。むしろ手を使うことはよいことなのでできるだけ長く手掴みで食べさせてもいい、くらいに書かれていた。「しつけは後からでもできる」、「言語の獲得に全振りしたほうがいい」という言葉にはとても励まされる。ちょっとABAのことに対しては全部鵜呑みするのは危険かも…と思い始めている。悪い行動の消去とかはいいかもとは思うが。

日本は何かと子供が騒いでいるとすぐ親のしつけが悪いだの、騒いでいるのに親は止めなくて無責任だのと言われて、しつけが厳しすぎるくらいで、成長するにしたがって無気力になるらしい。悪いことをしなくなる。ただし、自発的な行動もしなくなる、という…。なんかあんまり主張しない最近の若者が増えているようなのを見ると、本当にそうなのかも…と思う。周囲から言われてもあんまり気にしないようにしていきたい…。

偏食とは戦わない

自閉症の子はどこかしらの感覚が過敏なことが多くて、服を脱ぎたがったり、食べ物の好き嫌いが激しかったりするらしいのだけれど、うちの子もばっちり当てはまっている。去年の今頃は服を脱ぎまくって本当に大変だったのだが、最近は落ち着いてきている。長袖じゃなくて半袖になったからかな?等と妻と話していたのだが、本を読んだ後に思うのは、どうも感覚が慣れてきたからなのではないか?本の中では、くすぐったり、乾布摩擦をしてあげるのがよいらしい。そういえば、よくカウントダウンをしてくすぐっていたのだが、それがよい影響を与えていたのかもしれない。因みにカウントダウンは、何が起きるのかを予測するようになったり、待てるようになったりするのでよいらしい。うちの子は0になったらくすぐられるのがわかっているから、2秒前くらいから期待してニヤニヤしだしていた。

見出しとは違うことを書いていたけれど、偏食は口の中が過敏な状態ということらしい。そのせいか、うちの子は歯磨きをほとんどしない。しないというかやろうとしても逃げられる。無理やり磨くのは妻と私の二人がかりでも相当大変なことであるし、なにより本人が物凄く嫌がるので、最近はあんまり磨いていない。ここまで書いて、歯磨きは口内の乾布摩擦みたいなものだからいいことなんだろうになぁ…とふと思った。 とにもかくにも、過敏な時期は収まってくるので、なんとか栄養バランスのよい食事を…と粘っても、親は疲れるし子も強要されて消極的になるので実りは少ないから偏食とは戦わないほうが身のため、という紹介がされていた。模倣から入るのがおすすめということなので、楽しそうに、美味しそうに食事を一緒にしていると、だんだん興味を持ち始めるという言葉を信じることとする。

科学を信用しすぎない

科学的なアプローチは大事かもしれないが、ちょっと寄りすぎじゃないか?ということらしい。そもそも、発達障害に関してはまだあまり解明されていない。脳科学の研究でこういうことがあった、としても、症例はそこまで多くはないし、子供ごとの個体差も大きいため、本当に効果的なのか等の判定方法が曖昧だということらしい。あとは、仮説をあたかも科学的な結論として扱うケースがあることが危険であると書いてあった。もしその仮説が間違っていた場合、もうリカバリーできない状態になっているかもしれない。 また、科学を信じようとするあまりに先人たちが蓄積してきた知恵(科学的にはまだ解明されていないが、効果がありそうなもの)をおざなりにする風潮に警告してあった。そこで分断が生じてしまい、知恵が引き継がれずに消失してしまう危険性に言及していた。

自発的な行動を尊重する

本人が自発的に模倣して言語なり行動なりを獲得していくように寄り添ってあげることが大事なのだなということを学んだ。教えてあげようとしても、それはしつけとなってしまい、自発性を奪うことになりかねない。そうなるくらいならば、じっと観察して、本人がやる気のあるときに手伝いをするのがいいのかなと思った。 兄弟げんかや、兄弟の食べ物を勝手に奪ったりすることもあるのだが、以前よりは見守るようにした。泣いた場合は泣いたほうを慰めるようにする。奪うのは食べたいからだろうけれど、大人が無理やり奪い返しても社会性が育つわけではないので、時には喧嘩も必要ということだろうなと思う。

テレビから模倣

本の中では、テレビ番組の模倣をしていたりするようだったので(ひとりでできるもん、とか)、テレビも多少ならよいのだろうか?と思うようになった。以前はテレビ番組を見せると楽なのでよく見せていたが、それが原因で発達遅延になるケースもあると本で読んで、うちもその可能性があるかも…と思ってここ数か月はテレビ自体を全くつけないようにしている。テレビを延々とつけていると、ずっと見てしまって喋ることも動くこともなく見続けてしまうので本当によくなさそう。多少はいいのかもしれない。ちなみにテレビをつけなくなってから、うちの子たちはよく喋るようになったと感じる。まだ単語とかではないけれど。テレビ番組であっても、模倣したくなるようなものがいいんだろうなと思う。

感想

現時点では、他の本で学んだことと総合すると、自発的な行動を伸ばしていく手伝いをするという点でとても共感できた。「言語獲得ができていて他がダメというケースは見当たらないので、まず言語獲得を最優先にしてしつけは殆どしない」というのがよかった。なにしろできないことが多いので、それが気になってしつけようとすればするほど、自分たちも子供もストレスを感じていた。しつけないほうがよいというのが、本当に目から鱗で、最近はもうスプーンを使わずに手掴みでご飯を食べてても、「よく食べるようになったねー」とか「おいしいねー」って話しかけているし、いろんな料理を作ってなんとか野菜を食べさせようとすることも減った。野菜が入っている好きな食べ物の回数を増やすようにした。子供もときどき「おいちー」って言うようになってきた(はっきりではないけど)。

佐久間先生の他の本も読みつつ、この本もまた読み返していこうと思う。

仕事の説明書読書会5回目のまとめ

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

前回の記事はこちら。

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5回目は5章の途中から。

定型化された分析手法

よく使う分析手法として、移動平均ヒストグラム、ファンチャートについて紹介されていた。

トレンドを把握するための移動平均

日々の売上の棒グラフを見ていると、平日と週末とでは売上が異なるため、変化の傾向がわかりにくい。そこで、移動平均を使ってトレンドを把握する。

注意する点としては、移動平均だけを見ていると、スパイクした場合に(一時的に爆発的に値が上下する)それを検知できない。そのため、トレンドだけでなく日々の値も重要となる。

雑談では、SNSとかで取り上げられて云々とかはあるけれど、これはインフラやアプリケーション開発をやっていても、例えばYahoo砲(Yahooニュースに載ることでアクセスが集中すること)でサーバの負荷が一時的に一気に上昇することがあったりするので、日々の値は重要だし、普段のサーバの負荷のトレンドを見るという意味では、移動平均も重要ですよという話をした。

データの分布を確認するヒストグラム

ヒストグラムは横軸に階級、縦軸に度数を持たせて、どのようにデータを分布しているのかを見る。平均値だけに注目すると、実は平均値周辺の値は低くなっていたりする。本の中では3つのケースが紹介されていた。どのケースでも平均購入額は同じになっていたが、全然印象が異なる。平均だけで語ってはいけないなと再確認できた。

データの基準を定めて推移を確認するファンチャート

あるときの値を100%として、それと比較することでの変動率を見る。売上だけに注目していると、大した変化がなさそうに見えるが、地道に売り上げが伸びてきていたり、徐々にさがってきていることが可視化される。

売上と費用に関する指標

利益は売上ー費用である。利益の構造と目指すべき姿について、取り上げてあった。

  • パターン1:売上はそのままで、費用を減らす(効率化)
  • パターン2:売上を増やして、費用はそのまま(改善)
  • パターン3:売上を増やして、費用も減らす(選択と集中
  • パターン4:売上を増やして、費用も増やす(積極投資)

雑談では、現場ではパターン1がよく求められるなぁと。費用を減らすのは、組織の内部の話なので比較的やりやすい。しかし、これをやりすぎると本来必要であったものまで削ってしまう可能性が出てくるので、本当に気を付けなければならない。 改善は、費用の使い方を改善するという話だ。効果的に潜在顧客にアプローチできるようになれば、投資費用は同じでも効果的となる。 選択と集中は、そういうケースもあるという話ではある。それとは別で「やり方を変えろ」という話も出てきた。改善や効率化では太刀打ちできないレベルのことになると、そもそものやり方自体を全く異なるアプローチに変えることとなる。このあたりの話は本田宗一郎さんの話だっただろうか…昔読んだ本で、これ以上燃費を良くするには改善じゃなくてやり方を変えないとダメ、そこに知恵を絞れ、みたいなことを言ってたかと思う。 積極投資は、できれば一番いいところだ。攻勢に転じて、攻めれば攻めるほど利益が出るので、費用も惜しみなく投資しても問題ない。勢いのある会社はこういうところがある。また、コストカットばかりを掲げるところは魅力的に映りにくいという話もあった…。個人的には改善や効率化は好きなのであるが、確かに切り詰めることばかりを考えていると、大きな考えがしにくくなるなぁ…と思うときがある。

費用に関する指標

クリック単価(CPC)や顧客獲得単価(CPA)の話が出てきた。これらは低いほうが望ましい。

売上に関する指標

売上に関する指標は多く出てきた。1訪問あたりの売上、1訪問者あたりの売上。顧客一人当たりの売上平均額(ARPU)。課金顧客一人あたりの売上(ARPPU)。顧客生涯価値(LTV)。これらを読んでいるときに、沖縄のWeb制作会社の話を思い出した。

tokyofreelance.jp

サブスクリプションをやろうとすると、月額で考えるよりもLTVで考えて、この顧客は〇〇万円まで払ってくれるであろうから、ここまでなら広告費出せるとか、最初はここまでの赤字は覚悟できるけれど数年後には黒字に転じるはず、みたいな戦略が立てられる。

顧客の獲得と売上に関する指標を比較する

投資回収率(ROI)と広告回収率(ROAS)の話が出てきた。ROIが100%を上回る状態であれば、健全に広告が運用できていると言える。積極投資が可能だ。

4種類の分析アプローチ

本より引用すると、

  • 現状把握型分析
  • 問題探索型分析
  • 仮説検証型分析
  • 価値創造型分析

現状把握型分析

現状を数値化・グラフ化して推移を見える化・パターン化など、可視化することで判断をしやすくしている。

問題探索型分析

読んでいるとわかるが、これは本当に大変そうだ。依頼者も問題がわからないから、あたりを付けてほしいというところのため、いろんなパターンでの分析を泥臭く行っていかなければならないという話であった。大変だからこそ、価値があるのだろう…。

仮説検証型分析

「〇〇という条件下においては、他のものよりも向上する」みたいなものを検証する分析。仮説検証もやってみるグループとやらないグループに分けて実際にそうなるのかを証明しないといけないので、大変そうではある。しかし仮説が立てられるからこそ、アクションを導くことができるので、正しければ迷いなくそのアクションを継続できる。

価値創造型分析

価値創造型分析は分析結果そのものが価値を生む、というものだった。Amazonのリコメンドや、機械学習による与信審査など人の手によって行われていた分析をコンピュータ任せにできる。

まとめ

データ分析はなんらかのアクションを導き出すためのものだから、大雑把にでも把握できることが大事。データをグラフ化し、比較できるようにする。そこから見つけられる変化やパターンから仮説を立てて検証していく。データ分析なしでは問題の原因を探れずに闇雲になってしまう。問題定義と問題解決の質を高めるにはデータ分析が必須と言えるだろう。

雑談では、勤務年数の長い人から「すぐに役立つかと言われると別に…」みたいな言われ方をしたりしてしまったのだが、読書会の目的は「仕事に対する新たな考え方・視点をインストールすること」なので、そういうことじゃないんだけどな…という気持ちになった。むしろ、「こういう視点があればあのときの提案が違っていたかも」とか、自身の経験に合わせて振り返って、それを若者に伝えてほしいなと思ったので、今度そういうことを伝えてみようかと思う。

仕事の説明書読書会4回目のまとめ(後半)

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

前回の記事はこちら。

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指標を設定するための考え方

指標を定義するときの考え方も分解。成果指標を購買プロセスで分解して、プロセス指標を定義し、それらの転換率を調査する。転換率を高めるのが改善と言える。

ヒト・モノ・カネに着目して指標を決定する

ここで出てきた図がとても分かりやすかった。ヒト・モノ・カネで行と列を作ったマトリックス図だが、ヒトとヒトならば転換率、ヒトとモノならば購入点数、ヒトとカネならば顧客単価、というようにここに当てはまるのはなんだろう?と考えるのによさそう。

AMTULモデル

顧客意思決定プロセスとして、AIDAやAIDMA、AISASという理論があったが、それらは顧客がどの段階にいるのかという指標にするには難しい。指標化するには、AMTULモデルを使うとよいらしい(似たような略称で混乱する…)。

AMTULの段階 定量化する指標
Awareness(認知させる) 再認知名率
Memory(記憶させる) 再生知名率
Trial(試験的に使う) 試用経験率
Usage(頻繁に使う) 主使用率
Loyalty(ブランドを決める) 今後の購買意向率

これらはアンケートで定量化しやすいということのようだ。「〇〇を知っていますか?」のようなYes, Noで答えるようなやつで集計するとよい。

分析する軸を定義する

分析する軸をディメンションと呼ぶ。

指標とディメンションの違いは、問題を分解する4つの切り口で紹介されていた「要素分解型」と「因数分解型」で言うことができる。

要素分解型は、足し算型・積み上げ型と呼ばれ、分解した要素の総和が全体となる。Webサイトでいえば、PCとスマホのように分けられるのが、ディメンション。

因数分解型は、掛け算型と言われ、売上=顧客数x購入単価x購入回数のように因数分解可能なもの。これらのそれぞれが指標となりうる。

この、指標とディメンションを掛け合わせることで分析することができる(各デバイス毎の購入回数とか)。

ディメンションを定義する

ディメンションを定義するには、顧客データや購買データが必要となる。ディメンションを定義するケースについて紹介されていた。

日付・時刻

これらも積み上げたら100%の購入数などになるので、購入が多い曜日や時間で分けてディメンションにすることが可能。

年齢と性別

購入者の属性をディメンションとする。会員の生年月日が分かれば年齢がわかるので、分類可能。

以前は視聴率に関してザックリとした分類をしていたが(F1層・M1層とか)、昨今においては荒いという意見があるらしい。自社のサービス利用顧客の属性が十分にわかるのであれば、細かく分類して根拠のあるところでグループ分けをするべき。この例では、年齢というディメンションと予約単価の平均という指標を掛け合わせて、変化の大きなところを発見して、グループ化していた。

都道府県

地方でグループ化したり、都会でグループ化したり、寒冷地・海に近い場所などでグループ化したり。日本には四季があるので、先にその季節を迎えるところから先取りするなどが可能。

アクセス解析に関するディメンションの定義

深く書いてしまうことは割愛するが、サイトへの流入する経路をディメンションとしたり、キャンペーンページを見たかどうかをディメンションにするなど、興味深い話がよく出てきた。ここは何回か読んでおきたいところだ。

主張に応じたグラフを選択する

どういうときにどういうグラフを選択するか、という一般的なルールの紹介があった。王道は大事であるが、「何を伝えたいか」が最も大事であるので、敢えて違うグラフを使って表現することの例を示してくれていた。

集計単位をグループ化して、差を明確にする

月次を年次に替え、折れ線グラフを棒グラフにすることで大きな差があるようなインパクトを与えていた。実際、差は大きいのだけれど、折れ線だと差のインパクトが薄まる。やはり「何を伝えたいか」が大事。

データをグループ化して特徴を与える

平日と週末のデータに関して、色分けをして特徴を与えていた。どこが週末のなのかが把握しやすくなっていた。

視覚属性を与える

文字の濃淡や太さを意図的に変えることで、認識しやすくなる。文字だけでなく、グラフにおいても、長さを変えたり、棒グラフの幅を変えたり、集団の中から目立つように大きくしたり、マークを付けたり等など。

雑談で出てきた話だと、詐欺的なグラフとか、時々あるよねーというやつ。大きな差に見せかけて実は軸の数値が0始まりじゃないとか…。実際の差は殆どないとか…。どうもアンチな話に行ってしまいがちだけれど、そういうところは気を付けないといけない。

あと、会社で使っている表やグラフがわかりにくいとか。そういう意見が出てくるのはよかった。みんな思っているのにあんまり声に出さないってのは良くない。

個人的にはディメンションって言葉は知っていたのだが、よくわかっていなかったので、今回ちゃんと知ることができてよかった。

仕事の説明書読書会4回目のまとめ(前半)

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

前回は3章と4章の途中までだった。

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今回は、前回の振り返りを少々と、4章・5章の辺り。

著者の田宮さんから書籍を寄贈していただいた

その前に…twitterにも書きましたが、弊社でやっているこの読書会のことを著者の田宮さんに気付いてもらえて、本をお持ちでない方がまだいらっしゃれば…ということで、本を寄贈していただきました!

電子書籍で読んでいる人の場合、図や表の位置が次のページにずれたりすることがあったため、電子書籍で買っていた人にとても喜ばれました。また、多めに送っていただきましたので、他部署の新人にも布教しました😉

では、読書会に戻ります。

ベン図を用いて管理する

集合の定義をすることは、プログラマだとよくある。データベースからデータを取得するときもそうだ。弊社が提供しているサービスは分析系のものが多いため、データの集合を定義するためにもよく使う。

シナジー効果を発揮する」という点は、うちの営業戦略的にもやはりそういうところがあるなぁとよく感じる。既存顧客に弊社の他の製品を売るほうが、一度他の製品が売れている分、売りやすい。論理積の箇所をどう広げていくかが重要。

ビジネスキャリアをベン図で考える

Will・Can・Mustシートを作成するというもの。

Willはやりたいこと。Canはできること。Mustは会社から求められていること。WillとCanが乖離していて、Willとの重なりが少ないと、いわゆる口先だけ。ギャップを認識してCanを増やす必要がある。

WillとCanとMustの重なりが大きくなると、会社からの期待に応えつつ、やりたいことをやっていて、できることも増えているという最もよい状態となり、高いパフォーマンスを発揮できる。

自由意志の剥奪が仕事と遊びの違いだった。Mustは会社から求められているものだから、そうなる。しかし、WillとCanとMustの重なりが多くなると、自由意志による獲得になっていく。いかに会社からのニーズに応えつつ、やりたいことに転化していくのかが、仕事を楽しめるかどうかにかかってくる。

ちょうど今週の頭のほうで、入社3年目の人たちを対象にキャリア形成を考える会をやっていたのだが、だいたい同じようなことを考えていたが、Mustが弱かった。まぁCanを見つめなおし、WillとMustを近づけていくにはどうすればいいか、というところと、現在の興味、数年後にどうなっていたいかを考える会にしたかったので、概ねよかったかなというのはある。ただ、説明に手間がかかったので、Will・Can・Mustのラベリングはとても有効だなと思えた。先に知っていたらなぁ~と悔やまれた😥

4章のまとめ

ラベリングの偉大さがよくわかった。データ分析した結果をわかりやすく見せるには、グループ化と、そのグループに適切な名前を付けることだ。弊社でもよく使っている分析手法が登場したので、みんなでワイワイと楽しく読めた。

そして5章へ。

データからアクションを導出する

よくいうことだが、データは事実でしかなく、どう解釈するか、その解釈からどう解決のためのアクションを取るか。

ここで、ドラクエの例がでてきた。ステータス表示は、ヒト・モノ・カネを網羅的に書いたレポートである、と…。言われてみたら、現在の強さの数値が表示され(ヒト)、装備が表示され(モノ)、右上にゴールドは表示されている(カネ)。どのような状態か解釈しやすいように、正常であれば白、毒になっていたら緑、瀕死になっていたらオレンジ、誰かが死んでいたら赤という表示になっている。解釈がしやすいため、次に打てるアクションを決める手助けになっている。常に白だと、死にかけているのに回復を忘れてしまうことになりかねない。意識を集中してデータを見続けなければならない。しかし、仕事はデータを見ることではなく、回復をしたり、相手を倒すためのアクションをすることだ。

見ているデータが同じでも、役職によってアクションが異なる説明があった。このあたりもゲームで例えられたんじゃないだろうか…と思った。例えば、みんなが死にかけていたら僧侶の回復では追い付かない。次の攻撃を受けると恐らく僧侶が死ぬ。僧侶が死んだら回復できなくなるので、攻撃魔法を唱えるのではなく、一旦1度の攻撃に耐えられるようにするために薬草を僧侶に使う、とか。攻撃専門職であっても、チームのために貢献するには、その場その場の適切な行動が重要になる。 「僕は魔法使いなので攻撃魔法しか唱えたくありません」とか言っていたら、チームが全滅して最終的に自分も死ぬことになる。

とはいえ、「みんなが死にかけているんだから、ちゃんと薬草を使え」とずっと言われていたら「俺、魔法使いなのにな~…。もっと攻撃魔法使いたい…」と思うようになるだろうから、瀕死にならないようにコントロールして全力で魔法を唱えられる環境を作ってあげるべきだ。それがマネジメントだろう。

問題解決とデータ分析

問題解決のフレームワークが出てきた。このフレームワークはわかりやすくて便利だなと登場するたびに思う。売上が現状、原因に顧客単価の減少と購入者数の横ばいというデータ。原因はデータを見ればだいたいわかる。

データストーリーテリング

データ分析は、レポート作成まで含めることが多く、それにはデータを見たうえで考えられる主張・意見・考察の証明や説明がいる。わかりやすいレポートの作成には、データを効果的に見せる技術が必要となる。

雑談では、データストーリテリングの事例のところが、なんかよくわからんな…と言われた。データストーリーテリングの事例の紹介なのに、ストーリーテリングが分かりにくくて残念と。ちょっと言い回しがごちゃごちゃしているかな…とは思った。「試行錯誤の結果のレポートを作成した結果」とか。 自分なりに推敲すると、「デザイナーを交え何回も試行錯誤してレポートをまとめた結果、営業スタッフ全員がそのレポートのみで、あたかも台本があるかのようにプレゼンし、次の一手を提案できた」とかじゃないかなと思う。

今回も長くなってきたので後半をまた書きます。

仕事の説明書読書会3回目のまとめ(後半)

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

前半はこちら。 patorash.hatenablog.com

4章に入った。4章は「数値化・言語化によりビジネスの解像度を上げる」というタイトルだ。

数値化と言語化の必要性

言語化すると数値化できる

ゲームのレベルデザイナーの話が出てきた。レベル2とはどういう状態か、を言語化すると自然とステータスの値が決まってきてレベル2の状態を数値化できるという話だった。

これは2章の問題解決のフレームワークの理想の状態を表すことのことだなと感じた。理想は注文がいっぱい入ることだが、いっぱいとはどういう状態か?本では生産可能な1日300個となっていた。状態を言語化すると数値が決まってくる。多分こういうのは、営業可能な数値とか、開発可能な工数とか、そういうのも言語化してから数値化できるんじゃないか?と考えた。

数値化すると言語化できる

ここでは、ソーシャルゲームのヘビーユーザー、ライトユーザー、ビギナーを、利用日数や経過時間でラベリング、グループ化していた。

ヘビーユーザーの定義を言語化して共有しておくと、説明がなくともヘビーユーザーというだけでみんながわかる、というのは確かにそうだ。ラベリングの力を感じた。パータンランゲージとか、デザインパターンもそうだもんなーと思った。共有できていると話が早い。

ラベルを用いて管理可能な状態にする

PPM分析の話が出てきた。PPMという略語は忘れていたが、問題児・花形・金のなる木・負け犬の4つに分けるやつだ。いろんな本に出てくるので何度か見たことある。Product Portfolio Managementか。

問題児は市場成長率が高いが競合も多いのでシェアを増やして花形に育てなければならない。通常、生まれたばかりの製品はここに属する。シェアを増やすことが目標となる。雑談では、最近のキャッシュレス決済の競争がまさにそれで、シェアを増やすためにめっちゃみんなキャッシュバックとかで投資してるよな~という話が出た。

花形は、市場成長率も高く、シェアも高い状態。ここでの利益を問題児に投資して新たな花形にしたりなどする。花形といえど、時間が経過すると市場成長率が下がってくるので、維持する努力が必要。

金のなる木は、市場成長率は低いがシェアが高い状態。伸びしろはないんだけれど、シェアが高いのでなんとかなっている。時代が変化すると一気に負け犬になりうる。

負け犬は、市場成長率も低いしシェアも低い状態。成長が見込めないので撤退するか検討するべきだが、それは他社も同様なので、他社が早期に撤退するとシェアが伸びて金のなる木に育つことがありうる。金のなる木に育つまで耐えられる資金力があれば、の話であるが…。

雑談で、「負け犬は今の時代だとFAXですかね~」と私が言ったら、「でもFAXは今、パナソニック以外売ってないんだよ。だから、パナソニックが資金力で他社が撤退するまで耐えて、シェア取って金のなる木にしたんじゃないか?」という興味深い話が出てきた。なるほど、確かに耐えればそうなるのか…。しかし本当にパナソニックにとって金のなる木なのかどうかは謎ではある(保守は大変だろうし)。でも価格競争しなくてもいいのはええのかも。 このあたりで、フロッピーもそうですよねとか、昔のデジカメは色んな記憶媒体があった。最終的にミニSDカードを出してきたSDカードが席巻したという話をおじさん勢が話していた。20代に「スマートメディアなんて初めて聞きました」と言われた。そりゃそうだろう…。

話を本に戻すが、本でもPPM分析は例で、これらのようにラベルを作ると話が入ってきやすくなるから分析結果をラベリングすることの重要性を説いていた。ポジショニングマップの軸を変えて、ラベルを変えることで、いろんなラベリングの可能性が見えてくる。ここでは、飲食店経営の例でガッカリ・定番・穴場・過疎というラベルに分けるのが出ていた。わかりやすい。

言語化が先か、数値が先か

分析が先だと思っていたのだけれど、言語化を先にしてから、じゃあどういう2軸が決まるとラベルを定義できるのか?という逆説的な話があった。そういうアプローチでもいいんだなと。PPM分析の考え方とポジショニングマップは新商品を考えるときにすごく使えそうだ。

重要度で分ける

ABC分析の話が出てきた。弊社の製品でよく扱っているやつなので、ここはみんな「なるほど~!」という感じで読めた。重要度で分けると、弱い箇所や、案外強い箇所などが見えてくる。それがわかれば打ち手を考えられる。パフォーマンス測定やっててもよく出てくる話だが、「推測するな、計測せよ」という名言が出てくる。計測したら、対処するべき箇所が見えてくる。ABC分析も同じだなと思えた。

同じ数でグループ化する

デシル分析が出てきた。これもまた弊社の製品でよく聞いているやつ。担当製品が違うので私はよくわかっていなかったのだが、顧客の購入金額で上位から10分割してグループ化するという感じで使うらしい。購入金額の低い下位7~10に打ち手を考えることができる(セールのDMや来店ポイント等をこの層に送って来店を促すとか)。

雑談で、「10分割するからデシルっていうんだよ」と言われて、全然ピンとこなかったのだが、「1デシリットルの、デシよ」と言われて、「あ~!!そういうことか!!」と一気にわかった。「でも10分割でデシとか使うの、リットル以外知らんね」とか、そんな話した。

顧客を複数の軸で分ける

デシル分析だと、1回で高額な買い物をした人と、普通の買い物を20回した人が同じグループに属することになるので、より詳しくグループ分けするのにRFM分析を使う。

  • Recency・・・最新購入日
  • Frequency・・・購入頻度
  • Monetary・・・購入金額合計

RFM分析ではこれらを各5レベルに分けて、5x5x5=125グループに分ける。こうすることで、顧客の状態が見えてくる。

最新購入日が3か月以上離れているけれど、購入金額合計が結構ある会員は、恐らく他のお店を使うようになった離反顧客であるとか、頻度は少ないけれど来店日が最近なのは新規顧客であるとか。全てが平均的な利用率な場合は安定顧客とか。125段階に分けても、ラベルがあるとわかりやすい。

1次元で捉える

面白かったのが、RFM分析の結果を1次元にしてしまえることだった。各レベルの合計値で分類するということだ。最低値は1+1+1=3で、最高値が5+5+5=15。合計額が被るところは全て同じグループとするわけだ。ザックリと知るにはよさそう。

2次元で捉える

2つの区分だけを使って分析することもできる。本では、購入頻度と最新購入日から、常連・安定・常連離反予兆・常連安定離反・新規・新規離反予兆・新規離反に分類し、離反予兆組をいかに安定に持っていくか、安定から常連にしていくかというのが視覚的にわかりやすく見ることができた。社内のセミナーとかでもよく出てくる話だったので、再確認できてよかった。

3回目のまとめ

4章の内容は、弊社で扱っている製品でまさに使っている分析手法の説明だったりしたので、みんなすごく興味深く読んでいたと感じた。やはり身近な話題だと盛り上がりやすい。3章で若干くじけそうになっていたが、なんとか盛り返せてよかった。

仕事の説明書読書会3回目のまとめ(前半)

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

前回の記事はこちら。 patorash.hatenablog.com

今回は3回目で、前回まではフレームワークを使ってビジネスを紐解いていくというところだった。自社・競合・顧客を分析していく3C分析を基本として、それらの周辺の分析を深堀していくという内容。今回は、その続き。

STP戦略

STP戦略は、顧客を細分化してターゲット層を抽出し、そこにたいして競争優位性を設定するマーケティング戦略フレームワーク。 本からの引用。

  • Segmentation・・・顧客を細分化して
  • Targeting・・・ターゲット層を抽出し
  • Positioning・・・ターゲット層に対する競争優位性を設定する

4つのセグメント

セグメントを細分化するのには、4つの変数がある。

  • 人口動態変数
  • 地理的変数
  • 行動変数
  • 心理的変数

セグメントを整理し、セグメント毎にデータを分析することでデータの差・変化・パターンを発見することで、特徴を定義できる。

ターゲティングにおける3つの攻略法

市場の攻略法は主に3つ。

非差別化マーケティングなんてあるのだな、とビックリした。セグメントが定まらない場合やセグメントに特化しなくてもいい場合に使うのかなと思う。

集中化マーケティングは自分が無意識で考えているマーケティングのパターンだった。私の担当製品も、まずターゲットを絞って、ここに特化したものを作った感じだ。そこから、データの見せ方を変えるなどで差別化マーケティングにしていっている途中。やっていることは間違ってなかったなと思えた。

ポジショニング

ターゲット顧客にリーチできるような差別化したポジションを探さなければならない。そのために、ポジショニングマップを使う。ポジショニングマップの中でも、特に顧客の商品認識を2軸で表現したものをパーセプションマップと呼ぶ。これはよく使うやつ。「質と量」、「品質と価格」のような対照的な2軸を定義する。他社の製品をこのポジショニングマップに配置し、空いているところがブルーオーシャン。しかしながら、空いているということはすなわち、潜在顧客がそもそも少ないという可能性もある。ポジションは競合から大きく離れることがベストではない。少し近づけることで、比較して優位性をアピールできるようにするなどもよさそう。

ゲームに置き換えて考える

やっとゲームの例えがきたー!という感じの空気が流れた。カートレースでの例。私の解釈だと、以下のようになる。

  • 顧客全体・・・グランプリ
  • Segmentation・・・コース
  • Targeting・・・コースを攻略しやすいカートの選択
  • Positioning・・・カート毎の性能の違い

敢えてマリオカートで例えると、

  • 顧客全体・・・キノコカップ
  • Segmentation・・・コース
  • Targeting・・・キノコカップを攻略しやすいキャラの選択
  • Positioning・・・キャラ毎の性能の違い

ターゲティングでいえば、

という感じだろうか?なお、例えで選択しているキャラは適当。最近マリオカートやってないし。

AIDA・AIDMA・AISAS

製品の価値を正しく伝えるためには、適切な方法・タイミングが必要となる。常に同じ方法が通用するわけではない。

AIDA・AIDMA・AISASは色んな本でも登場してくるので私は知っていたが、読書会の参加者は結構知らない人が多そうだった。現代だとAISASを意識することが多いんですよという話をした。ググって共有されて認知されていくので。

カスタマージャーニーマップ

AIDA・AIDMA・AISASを可視化したものがカスタマージャーニーマップ。意思決定プロセスを整理する。思考や感情、問題など顧客視点をより深めるために使う。

ペルソナ・テーマを決める

例えば、車を買いたい人がいるとして、初めての購入なのか、それとも買い替えなのか。それだけでもう動機や希望が異なるから、当然アプローチが変わる。

意思決定プロセスを決める

カスタマージャーニーマップの横軸となる。AIDAモデルなどを参考にゴールまでの道のりを決める。

明らかにすることを決める

カスタマージャーニーマップの縦軸となる。5W1Hを意識して、行動・思考・感情・問題を設定する。

定量調査・定性調査を実施

アンケートやインタビューだが、アンケートだと2択になったりして顧客の本音が抜け落ちたりすることがあるので、インタビューのほうが好ましそう。Whyを聞き出すことが重要。

マップで得られた見解から施策を打つ

作っただけでは意味がないので、ちゃんと施策を行う。

マップを作るときの注意点

顧客視点を重視する。主観が入るとずれてしまう。顧客視点だと、自社製品以外の選択肢もある。様々な選択肢がある中でペルソナの顧客はどういう状態であるのかを考える必要がある。 また、カスタマージャーニーマップはMECEには作りにくい。なるべくMECEみたいに作ることはできるが、その場合はその分だけカスタマージャーニーマップを考えなければならない。

3章のまとめ

一気に分析フレームワークが紹介されたので、みんなめっちゃ混乱していた。「これ仕事の説明書じゃなくてマーケティングの説明書じゃない?」という意見も出てきた。読書会の参加者は全員開発者なので、ちょっとわからんわーみたいな空気になってきた。

3C分析を基本に、自社と競合と顧客を深堀していかないと、いい商品ができないんじゃないですかねー?というふうにフォローしておいた。顧客の購入の動機や感情とかを考える手法なんて、恐らくこういう本でも読まない限り、触れてもらえないと思ってこの本を選んだというところがある。

まとめのページに載っていた図はすごくわかりやすいまとめになっていた。多分、これを先に見せておいてから、ここを説明していくよ、という感じのほうがよかったのかもしれない…。(個人の感想です)

長くなってきたので、前半と後半に分けてまとめていく。