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方向性はまだない

広汎性発達障害児への応用行動分析を読んで

今回読んだのはこちらの本。 この本は、前回読んだ本(発達障害児の言語獲得―応用行動分析的支援(フリーオペラント法))で紹介されていた本で、こちらを先に読んでおいたほうがよいということだったので、Amazonで注文して買っていた。

広汎性発達障害児への応用行動分析(フリーオペラント法)

広汎性発達障害児への応用行動分析(フリーオペラント法)

前回の記事はこちら。

patorash.hatenablog.com

この前の本は、この本の実践編のような感じで、この本は佐久間先生が直に書いている文章である。発達障害児の言語獲得では、佐久間先生は物腰柔らかな先生のように書いてあったのだが、この本では結構過激な表現が多くてビックリした。文部科学省や役所や東電、教育現場への批判など、出るわ出るわで、面白いのは、「現役世代は言えないだろうけれど、私は引退しているし生い先短いから書いてやる!」というところ。

そのあたりの批判はさておき、応用行動分析に着目して本を読んでいくと、発達障害児の言語獲得のほうで書かれていた手法の詳細が書かれていた。

好子(こうし)になる

健常児と発達障害児の違いはどこか?当時、お菓子などを好子にして言語獲得を促す手法が論文化された。佐久間先生によると、それまでは言語獲得ができることはなくてとても画期的だったのだが、時間がかかりすぎることなどが課題となった。勉強会を開いて考察をした結果、健常児は母親が褒めた時の声などが好子になっているが、発達障害児はなぜかそれが備わっておらず、他の好子で代替することで言語獲得できた、ということだった。

母親が褒めた時の声などが好子になるというのが先天的に備わっているということはないはずなので、発達障害児に対しても、なんらかの方法で親が好子になれば、お菓子を使ったりしなくてもよいのではないか?という考えに至ったようである。そこで、好子になるためには、信頼関係を育てることが大事。今までと同じことをしていても信頼関係は育たない。そもそも、発達障害児は周囲にあまり興味がない。そこで、発達障害児のことを模倣することで周囲に興味を持たせ、信頼関係を育てていくということだ。

脳に障害があるから、で済ませようとしてしまう傾向があるらしいが、本当にそうなのかわからない。そう言ってしまえば、悪く言えば切り捨てしやすい、親にも諦めをつけさせやすい、ということらしい。

しかし、もしかしたら、そうではなく、なぜか好子がないだけなのかもしれない。

好子になるには?

以下、引用である。

  1. アタッチメント(愛着関係)の形成を妨げるようなことを可能な限り排除する。
  2. 過保護にして、赤ちゃん扱いにして十分に甘やかす。わがままは可能な限り受け入れる。
  3. 自分が受容されている。共感されているんだということを病児に伝える。これに逆模倣が有効。

好子になるには、再三書いてあるが、逆模倣である。大人が子を模倣するから、逆模倣と呼ぶらしい。佐久間先生によると、発話がほとんどなかった子のカウンセリングをするようになった時、おんぶしてるときに飛んだら喜びながら声が出たので、それを真似していたら声がでてくるようになり、「さて、次からどうするか?」と考えていたら、勝手にどんどん発話が増えていった、というエピソードがあった。

また、自閉症の子だけに限らず、多動の子にも有効とのことだったが、くすぐりや、皮膚を様々な方法で刺激してあげる、というのがよいらしい。くすぐりが通用するのは対象の子が大きくなってくると難しいらしいが、小さなころは滅茶苦茶良いらしい。なんといってもくすぐられて笑ってしまうから、楽しいのだろう。くすぐられるとわかった時点でもうちょっと笑ったりして楽しそうだったりすると書いてあったが、うちの子もそう。

そして、徹底的に甘やかすことだとある。端的にいうと、健常児だったらやっているであろう「しつけ」をやめること。年相応のことをやらせないと、という日本人のある種の強迫観念みたいなものがあると思うが、それを押し付けると愛着関係が壊れる。しつけはしなくても、言語を獲得できたらかなりやりやすくなるし、しつけは後でもできるから、今は言語獲得に力を入れよう、ということだ。

実践の補足

実践の補足の章では、実際にフリーオペラント法を試す場合の補足が書いてあった。

甘やかし

まずは徹底的な甘やかし。しつけのことが騒がれだしたのは昭和中期の頃からで、別にそれまでは特に言われたなかったこと。自律は促さなくてもよいらしい。自律するべきときが来たら、する。人に頼れなくなるという弊害もあるとか。うーむ、そういうのは結構ありそうではあるが、自律できないままの人もいたりするから、極端は良くないってことかな。

くすぐりと皮膚刺激

くすぐりや皮膚刺激について。強烈な笑いは親密な人間関係がないとできないこと、ということのようで、くすぐり笑いによって親密な人間関係を作ることができる?(錯覚させる?)。そういう体験談は結構あったらしい。若いころのエピソードで、それを学会で発表したら大物教授に「そんなのは欧米では聞いたことがない」とこき下ろされたらしい。しかしそれは文化の違いで、カナダ人にくすぐりの効果の話をしたら「効果があるのはわかったが、自分たちの国で同じことをすると幼児わいせつの嫌疑を受けかねない」と言われたらしい。だから、欧米ではくすぐり技法がなかったということのようだ(今はどうなのだろう?)

皮膚刺激は全身を色んな方法でこすってあげるが、嫌がるところは避けて、境界線を丁寧にマッサージすることで徐々に広げていくのがよいとか。効果が出るのは遅いが、効果抜群らしい。愛着関係の形成、感覚統合の促進、偏食が改善、抱っこが好きになるなど。

あとは静かな抱っこ20分。これは抱っこが20分続くようになったらゴール。最初はどこかに行こうとしても止めるが、2回目は開放する。というのを何回もするようだ(詳細は本を)。そのときに皮膚刺激を与えたりしてもよいと解釈した。これはADHDの子にも効果的で症状が大幅に改善するらしい。

逆模倣

逆模倣が有効であった事例の話の後、なぜ逆模倣なのか?という話があったが、肝は模倣と自発的などうかである。健常児は自発的に模倣をするようになり、言語なりを獲得していく。自発的な模倣行動が見られるようになれば、あとは模倣すべきモデルを提示すればよいだけ。なので、自発的な模倣行動を増やすための動機付けが大事。 大好きな人の模倣、楽しいことの模倣、自分でもできそうなことの模倣。大人が「これやってみよう、あれやってみよう」と言っても、それは受け身になり自発的ではない。大人が子供の逆模倣で子供を楽しませて、真似したいと思わせることが重要。自発的に何かをするまで待つので、強制もなく、失敗もない。

指導の優先順位

発話が最も大事だが、臨機応変に変えることも例外的にはあるらしい。排泄の問題が家庭で重要な問題になっているときとか。しかし、そうでなければ言語発達を最重要視するべき。言葉がわかるようになれば大概のことがスムーズになる。それ以外のことはそれ相応の年になれば自然に解決するケースもあったりするが、言語はそうはいかないらしい。

喃語の発生頻度

これはもう多ければ多いほどよい。おしゃべりだと言語発達は順調に進む。自発発生を促すようにしていく。喃語の頻度が低いと発語の少なく言語獲得は遅くなる。

単語が出だしたら

タブーが多い。まず、単語を話したら、同じことを言わせようとしないこと!周囲は嬉しいから促そうとしてしまいがちだが、それ以来言わなくなることが多い。本人もなぜそれが言えたのかわからないからだ。また、訂正もしてはいけない。訂正は誰だってされたら嫌なものだから、また言いたくなくなる。話さなければ言葉の訂正は受けなくて済むから、話さなくなったりすることもある。訂正は、大きくなったら自分で気づいて訂正するから、それまでは放っておく。

言葉の意味を知っていても話せない

この例として出されていたのが、日本人の英語で、読めるけれど話せない、という状態だった。絵カードとかを使った指導をすると同様のことが起きやすいとか…。人の言葉の意図の理解が出来なければ、コミュニケーションは成立しないので、単語を覚えただけでは難しい。言葉通りに捉えても難しい。しかし模倣ができるようになると意図がわかるようになるとか。

不適応行動への対応

不適応行動とは、やってほしくない行動のことだ。例えば、自傷行為、他傷行為、排泄に関わることなど。

他傷行為

他傷行為をするにしても、なんらかの理由があるはずであり、それを大まかに分けることができる。「思い通りにしたいため」の場合、佐久間先生オリジナルの「反応強度分化強化法」を用いる。みんな、子供に「これは悪いことなんだよ」と理解させようとするが、そんなことはできないし、例え理解できていたとしても、できるとは限らない。皮肉のメッセージとして「大人だってダイエットしたり禁煙をしたほうがよいのは理解しているのに、できていないではないか」と書かれていた。あー耳が痛い…(私はタバコは吸わないが、ダイエットができていない…)。

反応強度分化強化法は、そんな理解させるようなことはなく、ただ実行するのみ。例えば、叩いてくる子がいたとして、

  1. ものすごく強く叩かれたら、なるべく無反応
  2. 弱めに叩いてきたタイミングで大げさに反応する

思い通りにはなってやるが、こちらの反応強度を変えることで弱いほうが言うことを聞いてくれると思わせる。次の段階で、適応行動の形成に取り掛かる。拒否をするわけだが、一旦受け入れて拒否をする。無視ではない、というところがミソなのだろう。このあたりのニュアンスは本を読んでもらいたい。

「嫌なことの回避行動として」については、歯医者に行きたくなくて暴れるなど。これは、嫌なことを大好きに変える、とあり、「そんなことできるのか?」と思ったが、できるエピソードが載っていた。それが「スモールステップ法」で、嫌いなことを好きなことで上書きしていくらしい。トイレが嫌いな場所だったら、トイレで大好きなお菓子を与えるとか。本の中では、環状線が苦手な子が好物のアンパンを使って克服していく例が載っていた。徐々に駅の中に入っていってアンパンを食べて、最終的には環状線に平気で乗れるようになったとあって、すごいと思った。

注意引きのための他傷行為は、社会性を得るためのプロセスで起きる行動なので、見守っておくのがよいらしいけれど、トラブルになったりしそうで怖い。しかしここを強制的にやめさせると、後々の社会性に問題が出たりするという話もあり…じゃあどうすれば…。あまりひどい場合は反応強度分化強化法で対処すればいいいらしい。基本は、当事者同士で解決するのを見守るのがよいが、トラブルを恐れる先生が強制的に解決しようとするとか。まぁ先生の立場からすると、そうなるのは納得ではある…。

あとは理由のわからない他傷行動もあるらしい。試しに叩いてみるとか、ふと嫌なことを思い出してパニックになったりとか。それはもう慰めたりするしかない。

自傷行為

自傷行為に対しては前に紹介されていた全身をマッサージ(擦ったり)するのがよいらしい。時間はかかるが効果ゼロということはほぼないらしいし、不安低減につながっているぽいので時間を見つけてはマッサージしてあげるのがよさそう。親子の触れ合いにもなっていいんだろうなと思う。

苦痛の緩和としての自傷行為もあるとか。これは、例えば虫歯とか口内炎とかの痛みを紛らわすために他のところを痛くする、みたいな話だが、その対象の痛みを取り除かないことにはどうしようもない。なぜか母親はそれを見抜くのがうまい、と書かれていた。日常的に子供を観察しているからだろうか?セラピストだとなかなか見抜けないらしい。

また「嫌なことの回避行動として」も自傷行為があり得る。やりたくないことのために怪我をすると、やらなくて済むから。ということなのだが、それも反応強度分化強化法がいいらしい。

何事もすっぱりと割り切れるわけではなく、複合的な要因のため、これらを応用しながら挑んでいくのがよいらしい。

その他、不適応行為について

本では他にも色々と語られている。五感の感覚を育てる意味でも、マッサージをすることと、ブランコやシーソーなどの遊びを通じて五感をちゃんと育てていくことが大事。好みの偏りを、そういう性格、として放置せずに、感覚統合にはちゃんと取り組んでいけばいつかは徐々に改善して落ち着くらしい。

あとは、「本当にそれは不適切行動ですか?」ということ。同年代の健常児と比べているだけでは?マナーっていうけれど、しつけでは?しつけはまだしなくてもいいって再三書いてるでしょ?というメッセージだなと思った。

発達障害児をめぐる諸問題

ここは佐久間先生の不満が爆発している。発達障害児に対する国、自治体、学校、先生の扱いの酷さ(先生は人によると思うが)の話が色々と出てくる。しかし、そうなんだろうなぁ…と思わされる。欧米モデルを真似て作った制度が全然日本とマッチしていないとか、問題があるのは発達障害児ではなく、自治体、施設、先生側の不勉強さのほうだとか。過激な表現は多いが、本当に怒ってるんだなと思えた。 本の最初のほうに書かれていたことなのだが、本来勉強が必要な層を「出来損ない」として足切りして出来る人たちだけを伸ばそうとするのは、本当に正しいのか?と…。今の教育制度がそうなってしまっている。勉強が必要な人達に対してこそ、粘り強く教えていかなければならないのに。誰のための教育なのだ?という怒りのメッセージが強く印象に残った。

感想

発達障害児の親や、療育施設の人達には本当に一度は読んでほしい本だなと思う。いや、自治体や教育関係者にも、かもしれない。佐久間先生のメッセージが届いてほしいなと思う。

うちの子のように、まだ言葉が出てこないで思い悩んでいる自閉症児の親御さんには、おすすめしたい。気が楽になるし、家でできることも増えるし、気苦労は減らせると思う(しつけをやめるとか)。

うちではまだこれらのことを始めて2か月程度のところではあるが、喃語の発生頻度はかなり増えてきているし、昨日は本のキャラクターを指さしながら話していた。キャラ毎に、でも同じキャラを指すときは同じ喃語だったので、本人の中では呼び方が決まっているようだ。こんなことは今までなかったのですごく驚いたが、同じことを言わせようとするのはタブーなので、我慢した。

話は逸れたけれど、この本に書かれていることは科学的ではないかもしれないけれど、まだあまり解明されていない発達障害のことを今は知恵で捉えてよくしていこうというアプローチであり、ものすごく多くの知見と希望が詰まっているということだ。脳障害で片付けずに長いこと取り組んできた佐久間先生たちの知見をありがたく拝借していきたい。

仕事の説明書読書会7回目のまとめ

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

前回はこちら。

patorash.hatenablog.com

今回は雑談が多かったので殆ど進まなかったといっても過言ではない!😂

質と量の観点で改善を進める

目標を達成するシーンにおいては、「質を上げる」か「量を増やす」かの2つに分類される。 成果資料と購買プロセスの図を元に、転換率が変化しない場合、単純に来客数を倍に増やせば売上は2倍になるという話があり、それが「量を増やす」のほう。 しかし実際は単純に量が2倍に増えるということは難しいので、転換率を上げるというのが「質を上げる」ということだった。

どちらも改善するのがベストではあるが、二兎を追う者は一兎をも得ず。しかも、量を増やすという一兎を追ってもオペレーションが追い付かず転換率を下げる結果になったりするので注意したい。 量を増やそうとしたタイミングで、今まで来なかったお客さんがなぜ来るようになったのか?なぜ購入しないのか?を考えるのがミソ。

質を上げる

質を上げるには、行動プロセスを細分化し、その転換率を見ていき、どこがボトルネックになっているのかを見る。 根気よくやっていかなければならないのが改善。小さな積み重ねを続けてきて結果を出しているのがトヨタであると紹介してあった。

ところで何かの本かWebサイトで読んだことがあるのだが、小さな改善にこだわると本当に小さな改善しかできず、イノベーションが生まれにくいという話もあったかと思う。「やり方を変える」でないと達成できないケースもあるということだ。まぁ今回の例は転換率を上げる、なので、改善が功を奏すところだ。

既存顧客のロイヤリティを高めるという点で質を上げるという話もあった。今やっている仕事がまさにここが問題になっているところなので、興味深く読んだ。

量を増やす

ここでは、市場を拡大させることについて書いてあった。

  • 潜在市場・・・全体の市場
  • 有効市場・・・自社が提供可能かつアクセス可能な市場
  • 対象市場・・・有効市場のうち、特定のセグメント
  • 獲得市場・・・対象市場のうち、獲得を目指すべき市場

眼鏡市場を例に書いてあったのだが、これが「めがねしじょう」なのか「めがねいちば」なのかが最初わからず、読書会が混乱した。読み進めたら「めがねしじょう」だとわかった。

市場を拡げるという例で、JINS SCREENが紹介してあった。目が悪い人だけをターゲットにするのではなく、普段眼鏡はしないけれどPCの作業で疲れ目に困っている人を対象にして大ヒットしたわけだ。 こういうのは他の本でもNintendoのWiiのことが紹介されていたりしたなーと思った。ターゲットをゲーマーだけじゃなくてファミリー向けや女性向けにのフィットネスに変えたりしたとか、そういうやつだ。

質と量を意識した改善サイクルを検討する

ここではAmazonの戦略について語られていた。Amazonは利益を投資とお客さん(出展者)への還元を繰り返すことで更に出店しやすくなる→品揃えが豊富になる→お客さんがAmazonで買うというサイクルを作っていた。これはAWSの話でも聞いたことがある。気づいたら利用料が安くなっていた、みたいなやつだ。Amazonは儲けはほとんど出ていないという話のようであるが、それは投資と顧客への還元を積極的に行っているからという話を雑談で掘り下げていってたのだが、株主には還元されているのか?とか、AmazonがZOZOみたいなことをすれば一瞬で勝てるんじゃないかと思うのになぜやらないのか?みたいなことを話し合った。そして、楽天はどうなんだろう?という話に及び、楽天は出店し辛くなってるってよく見かけるけれど…というので、楽天大丈夫なんだろうか?とか、楽天の商品ページの見せ方(通称:楽天メソッド)は読んでいてだんだん洗脳されていく、という話題でだいぶ盛り上がった。

楽天で椅子の紹介ページを見ていると、だんだん素晴らしい椅子に感じてきて、もうこれを買うしかないだろ!ってなるという話。まぁ私もそれを買っているのだが。私が育児休業中に買ったのは、これ。

  • A「ここに書いてあるエピソード、冷静に読むとクレームに対応したっていう話なだけなんじゃけどな」
  • B「普通ですね」
  • A「いや、それを迅速にやってて、地道に改善を繰り返しているところがすごいのよ」
  • B「もうお店の人のような話し方になってるじゃないですか」
  • C「完全にファンですね」
  • D「自分的には胡散臭く感じます」
  • A「いやいや、よく読んでみろって…。これだけのことをしてるのすごくない?」
  • C「信者がいる…」

※Aさんはワルノリすることが多々あります

ゲームの順番を意識する

ゲームの順番はプレイ順ともいえる。ファイヤーエムブレムの話が出てきて、スーファミでやってた自分としては「わかるわ~!」って感じだったのだけれど、他にやってる人が少なくてピンときてなかった模様。なので味方の傭兵が会心の一撃を出して壁になるはずだった敵を倒してしまい、連続で攻撃を受けて死んでしまう話をした。あと傭兵が仲間になるはずだったキャラを会心の一撃で殺してしまって泣く泣くリセットボタンを押す話もした。

ゲームの種類のところは私は恐らく初めて見たような気がするのだが、新卒の子が「大学の授業で習いました」って言っていた。

  • 情報対象ゲームと情報非対象ゲーム
  • 同時進行ゲームと交互進行ゲーム

ここでは、コンペを例にしてあった。コンペの参加方法や提案ルールが同じレベルで提供されている場合は情報対象ゲームであるが、上層部の好みや判断軸を知っているメンバーがいたら、情報非対象ゲームとなる。

同時進行と交互進行の違いは、同時進行の場合は相手の行動を予測することが大事なカギとなるが、交互進行の場合は相手を観察して戦略を練ることができる。交互進行だと後攻が有利になりやすい印象がある。

相見積りを取られているときに先に出すか後に出すか

ここでは、「いかにして情報非対象ゲームにするか」がポイントで、そもそも相見積もりをする背景を考えていくところから書いてあった。これがまた、あるあるネタである。企業のルールとして相見積りを取らないといけない(が、本当は本命の会社は最初から決まっていて、当て馬が欲しい)とか…。 基本は信頼関係を構築するために相手から情報を聞き出して情報非対象ゲーム化することにある。また、一貫性の原理を使う話など。今思うと、この原理は説得のために私がよく使っている戦略と同じだと感じた。

会議や商談中にどのように振舞うか

このあたりは割と会議が多い弊社的には参考になりそうだった。開発者はあまり自分から話さない人が多い傾向があるので、それだと相手を知ることが難しいから本当に雑談力ってのは大事なんだよっていうことを我々年配者が話していた。ここでゴルフとかの話ですかね~みたいな話が出たけれど、Aさんが「もはやゴルフをやっているのは老人とブルジョワだけで、現在の決裁権がある人たちはガンダム世代だよ。なんでお台場にガンダムが立つのかって言ったら、そういう世代が決裁権持ってるからだよ。もし自分にガンダム立たせられる決裁権がきたら、絶対ハンコ押すし」とか言ったりしていて盛り上がった。

あとは、人生のでかい買い物(結婚式・家・車)では交互進行ゲームになるから即決せずに後攻であることを楽しみなさい、という話もかなり盛り上がった。「社会人になってから自分がお客さんという立場になれるチャンスは滅多にない。ゲームだと思って相見積り取って競わせてみればいい」と言われ、確かにな~と思う反面、そういうことをされてきたからこそ、そういうのしたくないな~という気持ちもあり…。とはいえ、チャンスをうまく使うようになりたいなとは思った。

他にも交渉で色々値切った話とかが出てきたりして楽しかった。

仕事の説明書読書会6回目のまとめ

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

前回の記事はこちら。

patorash.hatenablog.com

今回は6章の最初から。なお、情報処理試験前ということで、お休みの人が多かった😇

リスクとリターンを意識する

リスクとリターンの関係などを、テトリスの例を取って説明してあった。テトリスは積み上げ過ぎたら負けだが、一気に消せれば高得点が狙える。積み上げれば積み上げるほど高得点が狙えるが、消せないでゲームオーバーになる可能性も高い。

大きなリスクを取って大きなリターンを得ることが爽快感に繋がる。本から引用すると、

ゲーム性 リスクを取ってリターンを得る楽しさ
攻略   リスクを抑えてリターンを得る工夫

とある。仕事はリスクを抑えてリターンを得る攻略を追求するべき。今まで学んできた分析や戦略の策定手法は、リスクを抑えるためのアプローチであったのだ!

立場によってリスクとリターンの扱いが異なる

1位と2位では、リスクとリターンによって得られるものが違う。1位の人は2位に抜かれないように振舞えば順位を落とさなくて済むので、リスクを減らして安全にする。2位の人は大きな得点を取らないと1位になれないので、リスクを取って大技を狙う。アイススケートとかだと、よくあるかなと思う。1位は大技を入れずにノーミス狙いでいくけれど、2位は4回転を多く入れていこうとするとか。

現状の立ち位置を理解する

リーダーとフォロワー、そしてフォロワーをさらに細分化した説明があった。

リーダーの戦略

リーダーの戦略はフォロワーを抑えつつシェアの拡大・維持をすること。新たなものが出てきたら、ブランド力・資金力・技術力で同質化戦略を取って後続を抑えこんだり、後れを取り戻す。

後続の戦略

後続企業のすることとしては、リーダーと同じことをしても負けてしまうので、

ということをする。リーダーが簡単に真似できないことをやらなければならない。

チャレンジャー・フォロワー・ニッチャーの話のところで、あまりにニッチすぎてもダメっていう話があった。様々な企業が小さなSNSを立ち上げたのところは身に覚えがありすぎる…。SNSmixiが全盛だった頃に、前の会社で上司が音楽SNSを作ると言って運用していたみたいだったが、たしかユーザーが200人も集まらず過疎っていて更新もされないので更に過疎に…という感じだったのを覚えている。結局あれは集客もできずにメンテコストだけがかかったと記憶している。思い付きで作っただけで、戦略の策定や分析など、全く行っていなかったんじゃないかと思う。

ちなみに当時はエンジニア向けSNSがあったので私も登録していたが、mixiのエンジニアコミュニティのほうが優勢でだんだん見なくなった。そちらは比較的集客を頑張ったりしていたと思うが、それでも成立させるのは難しそうだった。

リーダーに勝つために「競争のルールを変える」

逆転の競争戦略[第4版]の著者の山田英夫氏の理論が紹介されていた。リーダーが嫌がる戦略を立てるわけだ。

  • 同質化したくてもできない状況(Can't)
  • 同質化できるがしたくない状況(Won't)

そして、企業資産または市場資産を攻める。

企業資産は、リーダー企業の保有する資産を負債化させるような戦略で、全国に配置された営業スタッフが逆にコストになるように仕向けるなどの例があった。
市場資産の例では、スーパーファミコンが優勢だったころに、プレイステーションセガサターンという異なるハードウェアを投入してスーパーファミコンのソフトを活かせないようにして、競争力を下げるなど。

論理の自縛化は面白かった。これまでリーダー企業が発してきたキャッチフレーズ・キャッチコピーに対して矛盾する製品を後続企業が出した場合、同質化戦略を取れないということだった。もし同質化戦略をとれば、キャッチコピーと矛盾しているため、企業のイメージダウンにつながりかねない。特保コカ・コーラの例は読書会参加者にウケていた。

事業の共喰化もまた面白かった。掲載課金型広告が成果報酬型広告に押されてきても、安易に同質化戦略がとりづらいという話だった。成果報酬型にしてしまうと、売上が下がる懸念があるので切り替えにくいのだが、その間に成果報酬型の後続企業がシェアを伸ばすことができたとあった。

状況に応じた戦略を立てる

プロダクトライフサイクルの話があった。導入期・成長期・成熟期・衰退期の話だ。この中で、プロダクトではなく企業内部においても起きる変革についての説明があったが、そこは涙なしでは読めないというメンバーがいた。

成長期

仮に採用が進んだとしても別の問題が発生する。(略)そのため慌てて評価制度や人事制度などを作ることになるが、ここでの合意形成は決して楽ではない。
(略)
専門的な知識を保有する人から見ると既存のプログラムは突貫工事に近い形で作ったプログラムのため、効率の悪いプログラムになっていることがある。そのため、新たに参画した技術力の高いメンバーが作り直す。そうなると今まで広く浅くなんとかプロジェクトを形にした人の居場所が狭くなり、適性があろうがなかろうがマネジメントの役割を与えられ現場を離れるケースもある。

雑談で、「あれ?これって弊社のこと?」とか冗談交じりで言っていた。

成熟期

従来は多少の不具合やWebサイトの停止は進歩のため仕方がないと割り切っていたものが、サイトの停止による売上の減少や信頼の失墜を恐れ、安全な運用が求められる。大きなチャレンジがやりにくくなるのがこのフェーズだ。そのため、今までのクリエイティブさ、イノベーター魂が若干薄まり面白みをあまり感じなくなる人も出てくる。

雑談で、「あれ?これって弊社のこと?」と(略

競合から顧客を守る

競合から顧客を守るためのスイッチングコストをどのようにして高めるか、という話だった。顧客は商品の品質や価格だけで判断しているわけではない。新しく操作を覚えなければならないとか、操作法を関係者に周知しなければならないとか、過去のデータが使えなくなるかも、等を気にするとなかなか新しいものに切り替えにくい。

逆に、他所からのデータ移行に対応する等によって競合のスイッチングコストを下げることもできる。

雑談では、ブログの移行のスイッチングコストとかありますね、という話をした。はてなブログでは、WordPress形式のバックアップデータを取り込めるようにしてあるので、WordPressからのスイッチングコストは低い。その後は、自社製品ではどうか?等の話で盛り上がった。

立ち向かうべき課題が適切か確認する

信長の野望の話が出てきた。自国や他国の状況を見て、攻めるところを決めたりするように、ビジネスにおいても状況を見定めて判断しなければならないが、ビジネスにおいてはゲームほど単純に数値化できない。検討材料に使う1つが6Rである。

  1. 有効な市場規模
  2. 競合状況
  3. 成長性
  4. 到達可能性
  5. 顧客の優先順位/波及効果
  6. 反応の測定可能性

これらを複合的に検討する必要がある。

検討した結果、6Rを満たすことができなかった場合、参入を見送るよりも、どうすればその障壁を乗り越えられるかを考えることが重要になる。それが乗り越えられれば、他所からの参入障壁を高めることができる。

市場規模が分からない場合は4Pではなく4C

まだこの世に同様の製品・サービスがない場合は4Cで考える。よく例で使う、馬車(プロダクト)ではなく速く移動する(用事)ことにお金を払っているのがでてきた。これならば、自動車(プロダクト)がまだ世の中になかったとしても市場規模を算出することが可能。安価になれば、今まで馬車が高くて手が出せなかった人たちも、自動車なら手を出すかもしれないので、市場規模が大きくなる。

グロースハック

再来訪、再購入、紹介というサイクルを作る仕事をグロースハックという。なんとなく言葉は知っていたが、このあたりはまだちゃんと理解できていなかったかもしれない。例では、ティザーサイト活用型と、インセンティブ方式型の紹介があった。

ティザーサイト活用型だと、最近はクラウドファンディングや、何人以上が購入するんだったら作ります、のようなのがある。peaks等、本の執筆のとかでそういうのがありますよという話をした。あとは本で登場したドロップボックスのやつはよくできてるよねーという話をした。

今回は参加者は少なかったが、その分雑談とかはまぁまぁ盛り上がった。若者はどういうゲームをするのか?とか。ファミコンをやったことないという人もいたので(スーファミはある)、ジェネレーションギャップが凄かった。なお、私は兄弟で戦国時代が好きだったので信長の野望はよくやってた。ゲーム開始と同時に謀反で滅んだりとか、よくしていたものだ…。

発達障害児の言語獲得を読んで

発達障害児の言語獲得―応用行動分析的支援(フリーオペラント法)

発達障害児の言語獲得―応用行動分析的支援(フリーオペラント法)

うちの長男が発達障害でまだ話すことができないため、なにかしらのヒントがないか?と思って買ってみた。なお、読んだ際にわかったのだが、著者の佐久間先生が先に出している本を先に読んでおいたほうが良さそうではあった。

広汎性発達障害児への応用行動分析(フリーオペラント法)

広汎性発達障害児への応用行動分析(フリーオペラント法)

広汎性発達障害児への応用行動分析(フリーオペラント法)に関しては、Amazonで注文していて、まだ届いていないので届き次第読んでいこうと思う。

本の概要

この本は、重度の自閉症のあいちゃん(仮名)がセラピーを通じて徐々に発話していく過程が描かれていた。もちろん、セラピーだけではダメで、家でのあいちゃんへの接し方などの指導も入っていた。フリーオペラント法の基本は、大人が子供の言動を模倣してあげること。大人が子供の模倣をする→大人が反応してくれていることを認識する→もっと反応してほしくなるので、大人の真似をし始める、ということのようだ。

本を読んで学んだこと

私がかなり思い悩んでいたことなどについて、肩の荷が軽くなるようなことが多く書かれていたので、それについて書いておく。

しつけは不要

まずはこれが一番驚いた。発達障害の子はそもそもしつけがし辛いのだけれど、他の本の影響もあって、根気よくやっていかなければならない、と思っていた。ところが、佐久間先生はしつけは不要だという。それは何故か?しつけは大人が子供にこうあってありたいという思いを強制するものであるため、まだ理解できない子供の自発的な行動を抑制してしまうことになる。 健常児であれば、言葉が理解できるようになっているため、徐々にその場にふさわしい行動を教えていくこともできるが、言語が理解できない状態の発達障害児の場合はますます行動に抑制がかかり、話せなくなるとのこと。これを読んで、あまりキツイしつけはやめようと思った。

応用行動分析の本はABAの本なども読んだが、お菓子などを使って、よい行動を強化するという話があったりもしたのだが、それについても本書では懐疑的な感じで書いてあった。それもしつけの一種であり、できるように誘導しているからなのだろうか?本の中では、正しい行動ができるようにはなっていたが、当の本人はビクビクしていてちっとも楽しそうではない、と書いてあってショックだった。同じ応用行動分析でも違うのだなと感じた。ABAの本では、「『周囲からは動物の調教みたいでかわいそう』と言われるが、本当にかわいそうなのはちゃんとした行動ができないまま放置されることではないか?」と書かれていて、私もそれには非常に共感していた。発達障害の話だとヘレン・ケラーの教育を行ったサリバン先生の話がよく出てくるのだけれど、サリバン先生のように、その子のために根気よく行うことが大事と書かれていて、「厳しくても子供のため…」と思うようなときもあったのだが、本書では「みんながサリバン先生になってしまったら、子供は誰に甘えられるのか?心を許せるのか?」みたいなことが書かれていてハッとした。

フリーオペラント法は、子供の自発性を伸ばして、興味を広げていき、言語獲得や社会性の習得をしていくという哲学であるため、自発性を伸ばすためならしつけをしなくてもいいということだった。なので、遊びの片付けもしなくてもいいし、食べ物を食べるときも手掴みでいい。むしろ手を使うことはよいことなのでできるだけ長く手掴みで食べさせてもいい、くらいに書かれていた。「しつけは後からでもできる」、「言語の獲得に全振りしたほうがいい」という言葉にはとても励まされる。ちょっとABAのことに対しては全部鵜呑みするのは危険かも…と思い始めている。悪い行動の消去とかはいいかもとは思うが。

日本は何かと子供が騒いでいるとすぐ親のしつけが悪いだの、騒いでいるのに親は止めなくて無責任だのと言われて、しつけが厳しすぎるくらいで、成長するにしたがって無気力になるらしい。悪いことをしなくなる。ただし、自発的な行動もしなくなる、という…。なんかあんまり主張しない最近の若者が増えているようなのを見ると、本当にそうなのかも…と思う。周囲から言われてもあんまり気にしないようにしていきたい…。

偏食とは戦わない

自閉症の子はどこかしらの感覚が過敏なことが多くて、服を脱ぎたがったり、食べ物の好き嫌いが激しかったりするらしいのだけれど、うちの子もばっちり当てはまっている。去年の今頃は服を脱ぎまくって本当に大変だったのだが、最近は落ち着いてきている。長袖じゃなくて半袖になったからかな?等と妻と話していたのだが、本を読んだ後に思うのは、どうも感覚が慣れてきたからなのではないか?本の中では、くすぐったり、乾布摩擦をしてあげるのがよいらしい。そういえば、よくカウントダウンをしてくすぐっていたのだが、それがよい影響を与えていたのかもしれない。因みにカウントダウンは、何が起きるのかを予測するようになったり、待てるようになったりするのでよいらしい。うちの子は0になったらくすぐられるのがわかっているから、2秒前くらいから期待してニヤニヤしだしていた。

見出しとは違うことを書いていたけれど、偏食は口の中が過敏な状態ということらしい。そのせいか、うちの子は歯磨きをほとんどしない。しないというかやろうとしても逃げられる。無理やり磨くのは妻と私の二人がかりでも相当大変なことであるし、なにより本人が物凄く嫌がるので、最近はあんまり磨いていない。ここまで書いて、歯磨きは口内の乾布摩擦みたいなものだからいいことなんだろうになぁ…とふと思った。 とにもかくにも、過敏な時期は収まってくるので、なんとか栄養バランスのよい食事を…と粘っても、親は疲れるし子も強要されて消極的になるので実りは少ないから偏食とは戦わないほうが身のため、という紹介がされていた。模倣から入るのがおすすめということなので、楽しそうに、美味しそうに食事を一緒にしていると、だんだん興味を持ち始めるという言葉を信じることとする。

科学を信用しすぎない

科学的なアプローチは大事かもしれないが、ちょっと寄りすぎじゃないか?ということらしい。そもそも、発達障害に関してはまだあまり解明されていない。脳科学の研究でこういうことがあった、としても、症例はそこまで多くはないし、子供ごとの個体差も大きいため、本当に効果的なのか等の判定方法が曖昧だということらしい。あとは、仮説をあたかも科学的な結論として扱うケースがあることが危険であると書いてあった。もしその仮説が間違っていた場合、もうリカバリーできない状態になっているかもしれない。 また、科学を信じようとするあまりに先人たちが蓄積してきた知恵(科学的にはまだ解明されていないが、効果がありそうなもの)をおざなりにする風潮に警告してあった。そこで分断が生じてしまい、知恵が引き継がれずに消失してしまう危険性に言及していた。

自発的な行動を尊重する

本人が自発的に模倣して言語なり行動なりを獲得していくように寄り添ってあげることが大事なのだなということを学んだ。教えてあげようとしても、それはしつけとなってしまい、自発性を奪うことになりかねない。そうなるくらいならば、じっと観察して、本人がやる気のあるときに手伝いをするのがいいのかなと思った。 兄弟げんかや、兄弟の食べ物を勝手に奪ったりすることもあるのだが、以前よりは見守るようにした。泣いた場合は泣いたほうを慰めるようにする。奪うのは食べたいからだろうけれど、大人が無理やり奪い返しても社会性が育つわけではないので、時には喧嘩も必要ということだろうなと思う。

テレビから模倣

本の中では、テレビ番組の模倣をしていたりするようだったので(ひとりでできるもん、とか)、テレビも多少ならよいのだろうか?と思うようになった。以前はテレビ番組を見せると楽なのでよく見せていたが、それが原因で発達遅延になるケースもあると本で読んで、うちもその可能性があるかも…と思ってここ数か月はテレビ自体を全くつけないようにしている。テレビを延々とつけていると、ずっと見てしまって喋ることも動くこともなく見続けてしまうので本当によくなさそう。多少はいいのかもしれない。ちなみにテレビをつけなくなってから、うちの子たちはよく喋るようになったと感じる。まだ単語とかではないけれど。テレビ番組であっても、模倣したくなるようなものがいいんだろうなと思う。

感想

現時点では、他の本で学んだことと総合すると、自発的な行動を伸ばしていく手伝いをするという点でとても共感できた。「言語獲得ができていて他がダメというケースは見当たらないので、まず言語獲得を最優先にしてしつけは殆どしない」というのがよかった。なにしろできないことが多いので、それが気になってしつけようとすればするほど、自分たちも子供もストレスを感じていた。しつけないほうがよいというのが、本当に目から鱗で、最近はもうスプーンを使わずに手掴みでご飯を食べてても、「よく食べるようになったねー」とか「おいしいねー」って話しかけているし、いろんな料理を作ってなんとか野菜を食べさせようとすることも減った。野菜が入っている好きな食べ物の回数を増やすようにした。子供もときどき「おいちー」って言うようになってきた(はっきりではないけど)。

佐久間先生の他の本も読みつつ、この本もまた読み返していこうと思う。

仕事の説明書読書会5回目のまとめ

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

前回の記事はこちら。

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5回目は5章の途中から。

定型化された分析手法

よく使う分析手法として、移動平均ヒストグラム、ファンチャートについて紹介されていた。

トレンドを把握するための移動平均

日々の売上の棒グラフを見ていると、平日と週末とでは売上が異なるため、変化の傾向がわかりにくい。そこで、移動平均を使ってトレンドを把握する。

注意する点としては、移動平均だけを見ていると、スパイクした場合に(一時的に爆発的に値が上下する)それを検知できない。そのため、トレンドだけでなく日々の値も重要となる。

雑談では、SNSとかで取り上げられて云々とかはあるけれど、これはインフラやアプリケーション開発をやっていても、例えばYahoo砲(Yahooニュースに載ることでアクセスが集中すること)でサーバの負荷が一時的に一気に上昇することがあったりするので、日々の値は重要だし、普段のサーバの負荷のトレンドを見るという意味では、移動平均も重要ですよという話をした。

データの分布を確認するヒストグラム

ヒストグラムは横軸に階級、縦軸に度数を持たせて、どのようにデータを分布しているのかを見る。平均値だけに注目すると、実は平均値周辺の値は低くなっていたりする。本の中では3つのケースが紹介されていた。どのケースでも平均購入額は同じになっていたが、全然印象が異なる。平均だけで語ってはいけないなと再確認できた。

データの基準を定めて推移を確認するファンチャート

あるときの値を100%として、それと比較することでの変動率を見る。売上だけに注目していると、大した変化がなさそうに見えるが、地道に売り上げが伸びてきていたり、徐々にさがってきていることが可視化される。

売上と費用に関する指標

利益は売上ー費用である。利益の構造と目指すべき姿について、取り上げてあった。

  • パターン1:売上はそのままで、費用を減らす(効率化)
  • パターン2:売上を増やして、費用はそのまま(改善)
  • パターン3:売上を増やして、費用も減らす(選択と集中
  • パターン4:売上を増やして、費用も増やす(積極投資)

雑談では、現場ではパターン1がよく求められるなぁと。費用を減らすのは、組織の内部の話なので比較的やりやすい。しかし、これをやりすぎると本来必要であったものまで削ってしまう可能性が出てくるので、本当に気を付けなければならない。 改善は、費用の使い方を改善するという話だ。効果的に潜在顧客にアプローチできるようになれば、投資費用は同じでも効果的となる。 選択と集中は、そういうケースもあるという話ではある。それとは別で「やり方を変えろ」という話も出てきた。改善や効率化では太刀打ちできないレベルのことになると、そもそものやり方自体を全く異なるアプローチに変えることとなる。このあたりの話は本田宗一郎さんの話だっただろうか…昔読んだ本で、これ以上燃費を良くするには改善じゃなくてやり方を変えないとダメ、そこに知恵を絞れ、みたいなことを言ってたかと思う。 積極投資は、できれば一番いいところだ。攻勢に転じて、攻めれば攻めるほど利益が出るので、費用も惜しみなく投資しても問題ない。勢いのある会社はこういうところがある。また、コストカットばかりを掲げるところは魅力的に映りにくいという話もあった…。個人的には改善や効率化は好きなのであるが、確かに切り詰めることばかりを考えていると、大きな考えがしにくくなるなぁ…と思うときがある。

費用に関する指標

クリック単価(CPC)や顧客獲得単価(CPA)の話が出てきた。これらは低いほうが望ましい。

売上に関する指標

売上に関する指標は多く出てきた。1訪問あたりの売上、1訪問者あたりの売上。顧客一人当たりの売上平均額(ARPU)。課金顧客一人あたりの売上(ARPPU)。顧客生涯価値(LTV)。これらを読んでいるときに、沖縄のWeb制作会社の話を思い出した。

tokyofreelance.jp

サブスクリプションをやろうとすると、月額で考えるよりもLTVで考えて、この顧客は〇〇万円まで払ってくれるであろうから、ここまでなら広告費出せるとか、最初はここまでの赤字は覚悟できるけれど数年後には黒字に転じるはず、みたいな戦略が立てられる。

顧客の獲得と売上に関する指標を比較する

投資回収率(ROI)と広告回収率(ROAS)の話が出てきた。ROIが100%を上回る状態であれば、健全に広告が運用できていると言える。積極投資が可能だ。

4種類の分析アプローチ

本より引用すると、

  • 現状把握型分析
  • 問題探索型分析
  • 仮説検証型分析
  • 価値創造型分析

現状把握型分析

現状を数値化・グラフ化して推移を見える化・パターン化など、可視化することで判断をしやすくしている。

問題探索型分析

読んでいるとわかるが、これは本当に大変そうだ。依頼者も問題がわからないから、あたりを付けてほしいというところのため、いろんなパターンでの分析を泥臭く行っていかなければならないという話であった。大変だからこそ、価値があるのだろう…。

仮説検証型分析

「〇〇という条件下においては、他のものよりも向上する」みたいなものを検証する分析。仮説検証もやってみるグループとやらないグループに分けて実際にそうなるのかを証明しないといけないので、大変そうではある。しかし仮説が立てられるからこそ、アクションを導くことができるので、正しければ迷いなくそのアクションを継続できる。

価値創造型分析

価値創造型分析は分析結果そのものが価値を生む、というものだった。Amazonのリコメンドや、機械学習による与信審査など人の手によって行われていた分析をコンピュータ任せにできる。

まとめ

データ分析はなんらかのアクションを導き出すためのものだから、大雑把にでも把握できることが大事。データをグラフ化し、比較できるようにする。そこから見つけられる変化やパターンから仮説を立てて検証していく。データ分析なしでは問題の原因を探れずに闇雲になってしまう。問題定義と問題解決の質を高めるにはデータ分析が必須と言えるだろう。

雑談では、勤務年数の長い人から「すぐに役立つかと言われると別に…」みたいな言われ方をしたりしてしまったのだが、読書会の目的は「仕事に対する新たな考え方・視点をインストールすること」なので、そういうことじゃないんだけどな…という気持ちになった。むしろ、「こういう視点があればあのときの提案が違っていたかも」とか、自身の経験に合わせて振り返って、それを若者に伝えてほしいなと思ったので、今度そういうことを伝えてみようかと思う。

仕事の説明書読書会4回目のまとめ(後半)

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

前回の記事はこちら。

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指標を設定するための考え方

指標を定義するときの考え方も分解。成果指標を購買プロセスで分解して、プロセス指標を定義し、それらの転換率を調査する。転換率を高めるのが改善と言える。

ヒト・モノ・カネに着目して指標を決定する

ここで出てきた図がとても分かりやすかった。ヒト・モノ・カネで行と列を作ったマトリックス図だが、ヒトとヒトならば転換率、ヒトとモノならば購入点数、ヒトとカネならば顧客単価、というようにここに当てはまるのはなんだろう?と考えるのによさそう。

AMTULモデル

顧客意思決定プロセスとして、AIDAやAIDMA、AISASという理論があったが、それらは顧客がどの段階にいるのかという指標にするには難しい。指標化するには、AMTULモデルを使うとよいらしい(似たような略称で混乱する…)。

AMTULの段階 定量化する指標
Awareness(認知させる) 再認知名率
Memory(記憶させる) 再生知名率
Trial(試験的に使う) 試用経験率
Usage(頻繁に使う) 主使用率
Loyalty(ブランドを決める) 今後の購買意向率

これらはアンケートで定量化しやすいということのようだ。「〇〇を知っていますか?」のようなYes, Noで答えるようなやつで集計するとよい。

分析する軸を定義する

分析する軸をディメンションと呼ぶ。

指標とディメンションの違いは、問題を分解する4つの切り口で紹介されていた「要素分解型」と「因数分解型」で言うことができる。

要素分解型は、足し算型・積み上げ型と呼ばれ、分解した要素の総和が全体となる。Webサイトでいえば、PCとスマホのように分けられるのが、ディメンション。

因数分解型は、掛け算型と言われ、売上=顧客数x購入単価x購入回数のように因数分解可能なもの。これらのそれぞれが指標となりうる。

この、指標とディメンションを掛け合わせることで分析することができる(各デバイス毎の購入回数とか)。

ディメンションを定義する

ディメンションを定義するには、顧客データや購買データが必要となる。ディメンションを定義するケースについて紹介されていた。

日付・時刻

これらも積み上げたら100%の購入数などになるので、購入が多い曜日や時間で分けてディメンションにすることが可能。

年齢と性別

購入者の属性をディメンションとする。会員の生年月日が分かれば年齢がわかるので、分類可能。

以前は視聴率に関してザックリとした分類をしていたが(F1層・M1層とか)、昨今においては荒いという意見があるらしい。自社のサービス利用顧客の属性が十分にわかるのであれば、細かく分類して根拠のあるところでグループ分けをするべき。この例では、年齢というディメンションと予約単価の平均という指標を掛け合わせて、変化の大きなところを発見して、グループ化していた。

都道府県

地方でグループ化したり、都会でグループ化したり、寒冷地・海に近い場所などでグループ化したり。日本には四季があるので、先にその季節を迎えるところから先取りするなどが可能。

アクセス解析に関するディメンションの定義

深く書いてしまうことは割愛するが、サイトへの流入する経路をディメンションとしたり、キャンペーンページを見たかどうかをディメンションにするなど、興味深い話がよく出てきた。ここは何回か読んでおきたいところだ。

主張に応じたグラフを選択する

どういうときにどういうグラフを選択するか、という一般的なルールの紹介があった。王道は大事であるが、「何を伝えたいか」が最も大事であるので、敢えて違うグラフを使って表現することの例を示してくれていた。

集計単位をグループ化して、差を明確にする

月次を年次に替え、折れ線グラフを棒グラフにすることで大きな差があるようなインパクトを与えていた。実際、差は大きいのだけれど、折れ線だと差のインパクトが薄まる。やはり「何を伝えたいか」が大事。

データをグループ化して特徴を与える

平日と週末のデータに関して、色分けをして特徴を与えていた。どこが週末のなのかが把握しやすくなっていた。

視覚属性を与える

文字の濃淡や太さを意図的に変えることで、認識しやすくなる。文字だけでなく、グラフにおいても、長さを変えたり、棒グラフの幅を変えたり、集団の中から目立つように大きくしたり、マークを付けたり等など。

雑談で出てきた話だと、詐欺的なグラフとか、時々あるよねーというやつ。大きな差に見せかけて実は軸の数値が0始まりじゃないとか…。実際の差は殆どないとか…。どうもアンチな話に行ってしまいがちだけれど、そういうところは気を付けないといけない。

あと、会社で使っている表やグラフがわかりにくいとか。そういう意見が出てくるのはよかった。みんな思っているのにあんまり声に出さないってのは良くない。

個人的にはディメンションって言葉は知っていたのだが、よくわかっていなかったので、今回ちゃんと知ることができてよかった。

仕事の説明書読書会4回目のまとめ(前半)

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

仕事の説明書〜あなたは今どんなゲームをしているのか〜

前回は3章と4章の途中までだった。

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今回は、前回の振り返りを少々と、4章・5章の辺り。

著者の田宮さんから書籍を寄贈していただいた

その前に…twitterにも書きましたが、弊社でやっているこの読書会のことを著者の田宮さんに気付いてもらえて、本をお持ちでない方がまだいらっしゃれば…ということで、本を寄贈していただきました!

電子書籍で読んでいる人の場合、図や表の位置が次のページにずれたりすることがあったため、電子書籍で買っていた人にとても喜ばれました。また、多めに送っていただきましたので、他部署の新人にも布教しました😉

では、読書会に戻ります。

ベン図を用いて管理する

集合の定義をすることは、プログラマだとよくある。データベースからデータを取得するときもそうだ。弊社が提供しているサービスは分析系のものが多いため、データの集合を定義するためにもよく使う。

シナジー効果を発揮する」という点は、うちの営業戦略的にもやはりそういうところがあるなぁとよく感じる。既存顧客に弊社の他の製品を売るほうが、一度他の製品が売れている分、売りやすい。論理積の箇所をどう広げていくかが重要。

ビジネスキャリアをベン図で考える

Will・Can・Mustシートを作成するというもの。

Willはやりたいこと。Canはできること。Mustは会社から求められていること。WillとCanが乖離していて、Willとの重なりが少ないと、いわゆる口先だけ。ギャップを認識してCanを増やす必要がある。

WillとCanとMustの重なりが大きくなると、会社からの期待に応えつつ、やりたいことをやっていて、できることも増えているという最もよい状態となり、高いパフォーマンスを発揮できる。

自由意志の剥奪が仕事と遊びの違いだった。Mustは会社から求められているものだから、そうなる。しかし、WillとCanとMustの重なりが多くなると、自由意志による獲得になっていく。いかに会社からのニーズに応えつつ、やりたいことに転化していくのかが、仕事を楽しめるかどうかにかかってくる。

ちょうど今週の頭のほうで、入社3年目の人たちを対象にキャリア形成を考える会をやっていたのだが、だいたい同じようなことを考えていたが、Mustが弱かった。まぁCanを見つめなおし、WillとMustを近づけていくにはどうすればいいか、というところと、現在の興味、数年後にどうなっていたいかを考える会にしたかったので、概ねよかったかなというのはある。ただ、説明に手間がかかったので、Will・Can・Mustのラベリングはとても有効だなと思えた。先に知っていたらなぁ~と悔やまれた😥

4章のまとめ

ラベリングの偉大さがよくわかった。データ分析した結果をわかりやすく見せるには、グループ化と、そのグループに適切な名前を付けることだ。弊社でもよく使っている分析手法が登場したので、みんなでワイワイと楽しく読めた。

そして5章へ。

データからアクションを導出する

よくいうことだが、データは事実でしかなく、どう解釈するか、その解釈からどう解決のためのアクションを取るか。

ここで、ドラクエの例がでてきた。ステータス表示は、ヒト・モノ・カネを網羅的に書いたレポートである、と…。言われてみたら、現在の強さの数値が表示され(ヒト)、装備が表示され(モノ)、右上にゴールドは表示されている(カネ)。どのような状態か解釈しやすいように、正常であれば白、毒になっていたら緑、瀕死になっていたらオレンジ、誰かが死んでいたら赤という表示になっている。解釈がしやすいため、次に打てるアクションを決める手助けになっている。常に白だと、死にかけているのに回復を忘れてしまうことになりかねない。意識を集中してデータを見続けなければならない。しかし、仕事はデータを見ることではなく、回復をしたり、相手を倒すためのアクションをすることだ。

見ているデータが同じでも、役職によってアクションが異なる説明があった。このあたりもゲームで例えられたんじゃないだろうか…と思った。例えば、みんなが死にかけていたら僧侶の回復では追い付かない。次の攻撃を受けると恐らく僧侶が死ぬ。僧侶が死んだら回復できなくなるので、攻撃魔法を唱えるのではなく、一旦1度の攻撃に耐えられるようにするために薬草を僧侶に使う、とか。攻撃専門職であっても、チームのために貢献するには、その場その場の適切な行動が重要になる。 「僕は魔法使いなので攻撃魔法しか唱えたくありません」とか言っていたら、チームが全滅して最終的に自分も死ぬことになる。

とはいえ、「みんなが死にかけているんだから、ちゃんと薬草を使え」とずっと言われていたら「俺、魔法使いなのにな~…。もっと攻撃魔法使いたい…」と思うようになるだろうから、瀕死にならないようにコントロールして全力で魔法を唱えられる環境を作ってあげるべきだ。それがマネジメントだろう。

問題解決とデータ分析

問題解決のフレームワークが出てきた。このフレームワークはわかりやすくて便利だなと登場するたびに思う。売上が現状、原因に顧客単価の減少と購入者数の横ばいというデータ。原因はデータを見ればだいたいわかる。

データストーリーテリング

データ分析は、レポート作成まで含めることが多く、それにはデータを見たうえで考えられる主張・意見・考察の証明や説明がいる。わかりやすいレポートの作成には、データを効果的に見せる技術が必要となる。

雑談では、データストーリテリングの事例のところが、なんかよくわからんな…と言われた。データストーリーテリングの事例の紹介なのに、ストーリーテリングが分かりにくくて残念と。ちょっと言い回しがごちゃごちゃしているかな…とは思った。「試行錯誤の結果のレポートを作成した結果」とか。 自分なりに推敲すると、「デザイナーを交え何回も試行錯誤してレポートをまとめた結果、営業スタッフ全員がそのレポートのみで、あたかも台本があるかのようにプレゼンし、次の一手を提案できた」とかじゃないかなと思う。

今回も長くなってきたので後半をまた書きます。